- 2025年11月25日
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【卒業生紹介】心豊かになる幸せレシピを発信|古田真由美さん
油画コースを卒業後、多方面で活躍する卒業生たち―。
今回は、ご自身のフランス在住経験を活かし、心豊かになる幸せレシピをInstagramで発信されている、料理研究家の古田真由美(旧姓:茆原真由美)さんをご紹介します。
古田さんは2001年に京都芸術短期大学洋画コース専攻科(現:京都芸術大学油画コース)を卒業。
アパレルメーカーの生地デザイナーなどを経て、現在はInstagramを中心に「mayumillion」の名前で料理研究家として活動されています。
そんな古田さんに大学時代の学びと現在の仕事との繋がり、そして将来を模索している在学生や、油画コースを志す高校生へのメッセージを伺いました。
■学生時代は「濃過ぎる4年間」
どんな学生時代でしたか?と質問すると、「とにかく濃い時間だった」と笑顔で話してくれた古田さん。
当時の洋画コースは40名程のクラス。
さらに専攻科に進むと12名となり、朝から晩まで学校に籠もって制作に向き合うため、家族よりも一緒に過ごす時間が長かったそう。
授業時間を超えて教授陣やクラスメイトと議論を交わしたり、三重県大王町波切や倉敷など学外への研修旅行なども多く、濃密な学習環境に恵まれていました。
そんな充実した時間をともに過ごした仲間とは今でも交流があり、頻繁にプチ同窓会があるそうです。
■アパレルメーカーの生地デザイナーから料理研究家へ
大学卒業後、古田さんが進んだのは「布」の世界でした。
当初は総合職を目指していたものの、経歴を期待されてデザイン室に配属されました。1年目にプロデュースした生地が大ヒットし、企画室長に抜擢。さらに新規事業部の立ち上げに携わり、部長職も経験。クリエイティビティを武器に、役割の中で自身の力を存分に発揮しました。
10年のキャリアを経て、ライフステージの変化を機に次の道へ。韓国アパレルECや歯科助手などの異業種も経験しました。
そして結婚を機に「家でできることってなんだろう?」と考えたとき、思い浮かんだのが”料理”でした。
幼少期に過ごしたフランスで、”無理せず楽しむ、気取らない食卓”の文化に魅了されました。
フランスでは、親しい人たちが集まる場には、各家庭の自慢の家庭料理を持ち寄ります。
特別なごちそうではなく、手間をかけすぎずに美味しく作れる料理が中心です。
引っ越しが多かった幼少期、家族との食事の時間が何よりも幸せだった古田さん。
家族をつなぐ中心には料理があり、その料理を作るお母さんのお手伝いをする中で、料理に魅了されていきました。
学生や会社員時代にも海外に行く機会に恵まれ、各国の家庭料理を口にした経験も、今の活動に大きく影響しているそうです。
■芸術で磨いた感性が活かされる出版・編集作業
古田さんの料理写真には、1枚1枚ストーリーがあります。
本学で学んだ「構図」「色」「光の捉え方」にこだわり抜いているからです。
撮影前にデザインマップを作り、世界観を言語化する。
そのクリエイティブのプロセスには、本学で学んだ撮影や色彩の基礎的な経験がしっかりと息づいています。
■古田さんが見据える将来とは
食は身体をつくる大切なもの。そこから健康にも真剣に向き合い、現在は「健康管理士」資格取得に向けて勉強中。
そして将来はフランス人に和食を教える教室を計画中だそうです。世界中で和食ブームが起こる中、料理教室の経営は軌道に乗る見込み。ここにもビジネスで磨かれたセンスが活かされています。
■在学生・高校生へ―「悩む時間にこそ意味がある」
モチーフと向き合い、じっくりと時間をかけてデッサンするなんて、誰もが体験することではありません。
制作が思うようにうまくいかず、投げ出しそうになる時もあるかもしれませんが、苦しい受験を経て本学に入学した皆さんは、きっと油絵が好きなはず。
自分の制作を進める中で、悩み、考えることは尽きないけれど、絵としっかりと向き合ったその先には、きっと明るい未来が待っています。
長時間モチーフを観察する力、集中力、深く考え表現する力…
それらは将来必ず、皆さんの人生を支えてくれます。
「自分のペースで大丈夫。好きなことに真剣に向き合う時間は、自分を支えてくれる力になります。」
■おわりに
芸術の学びは、絵を描く技術だけではありません。
自分と向き合い、世界を見つめ、言葉にできない感覚を感じる力を養うこと、そしてそれを表現することです。
古田さんの料理には、そんな芸術の精神がやさしく溶け込んでいます。料理を通じて人の心を豊かにしてくれる古田さんの活動は、これからも広がり続けていきます。
今後も多方面で活躍する油画コースの卒業生をご紹介していきます。
次回もお楽しみに。
■あとがき
筆者も古田さんの新刊レシピを見ながら作ってみました。
どれも特別に難しい工程はないけれど、普段とは違う豪華な一皿が完成。
いつもより華やかになった食卓を前に、自然と笑みがこぼれました。
大切な人と食卓を囲むのも良し、ひとり時間を楽しむのも良し。
あなたを幸せな気持ちにさせてくれる一皿を作るため、ぜひ古田さんのレシピ本を参考にしてみてください。











