キャラクターデザイン学科

あそびラボの探究ログ Vol.01 岩下くるみ+中嶋和花の『ときめきヤノリアル』

あそびラボの探究ログ

Vol.01 岩下くるみ+中嶋和花の『ときめきヤノリアル』

 

どーも、キャラデの村上です。

これまで「ゼミ通ヒーローズ」という名称だったゲームゼミの連載ブログが、学科の新制度に伴い装いを新たに復活させることになりました。ゲーム関連の授業やプロジェクトで面白いものを作ったり研究している学生をピックアップし、インタビュー形式で紹介していく連載企画になっています。

 

村上

ゲーム授業の中で「ゲーミフィケーション」という課題を毎年行っています。これは、ゲームが人を夢中にさせるメカニズムをゲーム以外の社会活動や教育に応用するというものです。この授業では毎年「図書館の利用を促すためのゲーミフィケーション」というお題を出していて、その中で面白い作品があったので紹介したいと思います。

 

岩下くるみ(以下岩下)

岩下くるみです。企画を担当しました。今回は図書館利用を促す目的のために、キャラデの矢野学科長をモデルにしたゲームを企画しました。図書館で本を借りて、それを読んで返却する際にAIの矢野先生から本の感想とかを質問をされて、本の読み込みが浅かったり深掘りができてなかったらガンガン突っ込まれるので、それを論破していくうちに段々先生との関係が深まっていくような、そんなゲームです。

岩下くるみさん

 

中嶋和花(以下中嶋)

中島和花です。この企画の中のタイトルとかビジュアルを担当しました。

中嶋和花さん

 

村上

図書館利用のためのゲーミフィケーションは毎年の恒例行事ではあるんだけど、過去の作品は割と装置に頼ったものが多くて、それはそれでバカバカしいものもあって面白くて。

今年はそこにキャラクターの要素を加えて、キャラクターと何かをしたいとか何かをしてあげたいというような、関係性そのものが面白くなるゲーミフィケーションを企画しよう、ということだったね。ではこのチームの企画の詳細を聞いてみようかな。

 

岩下

まず、「矢野先生なら多分こういうことを言ってくるよね」みたいな雑談から始まりました。

 

中嶋

多分矢野先生は面白おかしくマウント取ってくるっていうか。本人はそんなつもりはないんだろうけど、学生からはそう見えるので、それをなんとか論破してギャフンと言わせたいけど、論破するたびにもっと難しい事を突っ込んでくるから、やればやるほどAIが賢くなっていってなかなか論破できない、そんな内容です。

 

村上

例えば、そのどんな事を聞かれるの?

 

中嶋

まずプレイヤーがあらすじを入力すると、矢野先生が「それはつまり、誰が何をする話?」って聞いてきます。次に「起承転結の構成はどうなってる?」と続いていく感じです。

 

岩下

小説だったらストーリーの弁償法とか。「テーゼとアンチテーゼは何でしたか?」みたいなことを突っ込まれます。

 

中嶋

ストーリーアークとか、アーキタイプとか、そういう難しいことをたくさん聞いてきて、そこでズレたことを書き込むと怒られます(笑)

 

岩下

どんどん国語のテストみたいなことを聞いてきますね。主人公の心情とか。最後に「作品のテーマは何ですか?」と本質部分に迫っていきます。

 

村上

最終的には何をしたらクリアできる?

 

岩下

もし論破することができたら、フィードバックを交えて矢野先生のおすすめの本を紹介してくれます。「あなたの性格ならこの本が面白いと思うよ」みたいなこと言って終わりです。紹介された新しい本を読み終わったら、その感想を打ち込んでステージ2に進みます。

 

村上

なるほど、その流れはいいね。

 

中嶋

ステージ1がなかなか終わらないんです。多分何を言っても論破されるし、こちらが論破しようとすると反撃を食らうというか、もっと深いことを聞いてきます。これを延々繰り返して、で次の本のテーマ分析まで辿り着いたらまた次の本を紹介。その本についてはもう熟知したということで、いいものの見方をしてるねって褒められてクリアです。

 

村上

じゃあその企画の面白さってどこなんだろう。

 

中嶋

先生と仲良くなれる(笑)。

 

岩下

まあ、矢野先生のキャラクター自体が面白いっていうのもありますよね。普段だったら先生との間に壁があるけど、ゲームの中だったらその壁を取っ払って仲良くできるし、普段できない親密な雰囲気も出せるみたいな。

 

村上

中身が普通にChat GPTだから、本のことを聞くだけじゃなくて、普通の会話もやろうと思ったらできるわけか。

 

岩下

そうですね。先生に面談してもらうとか、恋愛相談でも、なんでも(笑)

 

村上

恋愛相談かぁ…どんな答えが返ってくるんだろうな。難しい横文字をたくさん使ってきそうな気がする。ちなみに、みんなが思う矢野先生ってどんな人?

 

中嶋

優しいですね。

 

岩下

なんか一癖も二癖もある。すごい自分に自信満々だけどみんなに優しくて。大体普通こういう事するんだろうな、みたいな行動を逆張りして違う行動をすることが多くて。

 

村上

例えば?

 

岩下

矢野先生本人が言ってたんですけど、「もし一緒に歩いてる彼女に『足速いね』とか言われたらどうする?」っていう話で、先生が「俺速いよ、って言ってもっと速く歩く」みたいなことを言ってて。なんかユーモアある人なんだなって思って。

 

中嶋

毒っ気もありますね(笑)。

 

岩下

何考えてるかわかんないんですよ(笑)

 

村上

その掴みどころがないところが面白いよね。ゲーム的に言うとツァイガルニク効果かな。

 

中嶋

…それ、なんでしたっけ?

 

村上

授業で話しただろ(苦笑)。「手が届きそうで届かないものに人は夢中になる」心理。

 

岩下

そう、それですね。何考えてるか分からないから知りたくなるっていう。

 

村上

やり取りしてるうちに分かって来そうだけど、結局全然分からなくて、そうやってどんどん離れていくから追いかけたくなる。

そもそも、この企画を立てるときに、なんでこれをやると図書館利用率が上がると思ったの?

 

岩下

私的には、なんか矢野先生が褒めてくれるっていうので、承認欲求も満たされると思いました。読んでちゃんと感想を伝えなきゃいけないし質問にも答えなきゃいけないので、ちゃんと答えられたら自分でやり遂げたっていう達成感もあると思います。

あと普通の読書って、自分が興味あることを知って「あー面白かった」で終わるけど、これだったらちゃんと読んだっていうのがわかりますよね。わかるから、次もまた読んで、もっと深い部分を考察してみようっていう意欲が湧くかなと思って。

 

中嶋

本を読むモチベーションになるよね。

 

岩下

論破されまくって悔しいから、次こそはこっちが論破してやるっていう気持ちもあるかもしれません。

 

村上

普通ならそこで「もう、面倒臭いわ!もうええわ!」ってなりそうなところを、そうならない理由は?

 

岩下

そこが矢野先生のキャラクターかもしれない。

 

村上

なるほどね。これを企画する上で付加価値というか、他にこんな仕様があったら面白くなるんじゃないか?みたいなアイデアはあった?

 

岩下

ログインボーナスみたいなもので出席日数の設定があったり、回答にSランクからFランクの評定がついてて大学の成績表みたいな表示があったら面白いなあ、みたいなのはありましたね。

 

村上

何をしたらS評価になるの?

 

岩下

完全論破ですね。

 

中嶋

一冊目を論破すると次のステージに進めるわけだから、二冊目を紹介された人は、一度はS評価をいただけるわけです。で二冊目のやり取りの中で、もしかしたらBとかCに落ちるかもしれないです。

 

村上

てことは、ステージをクリアするときは必ずSランクになってるってことになるから、それでも上を楽しもうと思ったら、SSとかSSSみたいなものを用意しておいてもいいのかもね。一応クリアはしたけどパーフェクトではないよっていう。

 

岩下

リズムゲームとかでよくある仕様で、クリアしたらとりあえずBとかCは付くけど、コンボで繋げたらAになって、フルコンボでSが付くとか、盛り上がりそうですね。

 

村上

メニュー画面を見るとこれまでに読んだ本のタイトルがずらっと並んでて、一冊目はSSだけど二冊目はBとか。そうなると、全部の本をSSにしたくなってもう一度本を読みこんで矢野先生を論破する。で、コンプリートしたくて頑張るみたいな感じかな。

 

岩下

そうですね。あとの付加要素としては、基本的には育成ゲームという点ですかね。育成っていうのは、プレイヤーである自分自身が育成されるってことです。

 

中嶋

矢野先生を育成するわけではない(笑)

 

村上

論破すること自体が面白くて、やりとりしているうちに徐々に作品の本質を理解できるようになっていって、気が付けばたくさん読書してたよ、と。つまり知らぬ間に自分が育成されていたということだね。ゲーミフィケーションならではの本音と建て前が共存していて理想的な展開だと思います。

今回はゲームというよりはAIを使ってゲーミフィケーションのシミュレーションをするところで終わってるけど、ゆくゆくは矢野プロンプトを配布して、誰でもこのやりとりが楽しめるようになるといいですね。

 

おわり

 

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