- 2016年2月27日
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【速報】2015年度 卒業展 受賞情報
2015年度 京都造形芸術大学 卒業展における、情報デザイン学科の受賞情報速報をお知らせします。
記載情報は以下の通りです。
氏名|Name|コース
「作品タイトル」
表現メディア|展示場所
※ 情報デザイン学科は2013年度1年生から「情報デザインコース」「イラストレーションコース」の
112コース編成になりました。
11現4年生「コミュニケーションデザインコース」「映像メディアコース」「先端表現デザインコース」の
11カリキュラムは「情報デザインコース」として統合されています。
【学長賞】1名
水野 開斗|MIZUNO Kaito|映像メディアコース
「Image ものをみることについて」
インスタレーション|人間館 NA310b
【選評】仕組みを知るのは面白い。日常生活の中では当たり前過ぎて気にも留めないようなところにデザインの種はある。「エデュケーショナル」という共通テーマ(※)に則って、「見る」という行為の仕組み、私たちが何気なく使っている「イメージ」という概念についての考察を、水野は◯(正円)に着眼し、視覚的愉楽から思考を誘う精錬されたデザインアウトプットで見事に具現化してみせた。
※ 映像メディアコース卒業研究「共通テーマ」
【優秀賞】4名(コース別、五十音順)
関屋 晶子|SEKIYA Syoko|コミュニケーションデザインコース
「ME&HER typography」
プロダクト|人間館 NA309b
【選評】書体を日常品に置き換えて遊ぶ企画。たとえばumbrella の持ち手は小文字のu、メガネのglasses はダブルデッキになった小文字のg、ちょっぴり楽しい世界ができました。商品企画としてのおもしろさを評価しました。
時吉 あきな|TOKIYOSHI Akina|イラストレーションコース
「ブラントワール京都30700号室」
インスタレーション|望天館 B24
【選評】原画と複製物としてのイラストレーションとの境界に目を向け、原画と複製物がだいたい同じだと認識できる状態を「ほぼイラストレーション」としてテーマにしている。「ほぼイラストレーション」の確認に留まらず、「ほぼ」や「だいたい同じ」を逆手に取り、たまに実家からやってくる愛犬から見た風景を構築し、あえて微妙な違和感を発生させる空間づくりを目論んだ優れた作品である。
山名 真奈|YAMANA Mana|イラストレーションコース
「やまのやまい」
絵本|人間館 NA311
【選評】作者の看病体験がこの作品の根底にある。山が緊急入院するという導入から、よくある自然保護の絵本かと先読みする読者は、パンクな展開に唖然とするだろう。絵と文とモンタージュのダイナミズムと現代性。きわめて健全に受け継がれたヘタウマとバッド・チューニング。飄々と見えるのが不思議なほど破壊的なナンセンスがわれわれの日常の倦怠を引っくり返してくれる。新しい絵本作家誕生の予感。
折山 黎|ORIYAMA Rei|先端表現デザインコース
「羊と向き合う」
インスタレーション|人間館 1Fラウンジ
【選評】折山黎は、小学校の時クラスで羊を飼い大変可愛がっていた。その羊がある日持ち主に返却され、その後羊がどうなったかが気になっていた。卒業制作を通して、家畜としての羊、ペットとしての羊、食料としての羊、キャラクターとしての羊等、様々な面を見せる羊と「向き合う」ことを行った。屠殺場に行き、皮や骨に触れることによって得られたものは、答えではなく、新たな「問い」を生み出した。その問いかけとしてのモノ達が展示されている。
【奨励賞】19名(コース別、五十音順)
大山 文子|OYAMA Ayako|コミュニケーションデザインコース
「PAVE」
立体 |人間館 1Fラウンジ
【選評】まずプロダクトとしてその完成度が高い。充分インテリアとして耐えうる。チェス、バッグギャモンなど、これもボードゲームとしての価値である。次に実際にプレイしてその奥深さに驚く。ルートを作りながら進む双六は経験がない。短時間では存分に体験していただけないのが非常に残念だ。彼女の長所は自己表現に拘らず、多くの意見を昇華させる力である。試作をゼミ内で繰り返しプレイすることで多くのアドバイスを受け、最もゼミを活用していた。
小川 洋子|OGAWA Yoko|コミュニケーションデザインコース
「らくごくらぶ」
ミクストメディア|人間館 NA306
【選評】落語には必ず「見せ場」があります。その見せ場を文字にして視覚化し見せ場だけを映像にして落語を学ぶ落語倶楽部。口伝で伝えられてきたことをわかりやすく情報を編集したことを評価しました。
杉本 尚樹|SUGIMOTO Naoki|コミュニケーションデザインコース
「分けましょう和束」
プロダクト|人間館 NA306
【選評】宇治茶の中の和束茶ブランドのプロモーション。学生自らが継続的に現地プロジェクトに参加し、内部からリサーチを重ねることで問題発見から解決の方法を探る制作プロセスは、7 つの能力そのものの実証である。宇治茶発祥の地でありながら、個別のブランド力が弱い「和束茶」。高級で絶対の自信を持つ商品力を、まずはお試しのパッケージデザインから展開させているのは、周知力を高かめる魅力的なアプローチである。
鈴木 英恵|SUZUKI Hanae|コミュニケーションデザインコース
「他人想記」
冊子|人間館 NA309b
【選評】市井のひとびとから見えてくる想像。名前も職業も年齢もわからない人々を描き僅かな情報から「その人」を想像する楽しさ。鈴木にしか描けない繊細な線と発想力、表現力を評価しました。
降矢 瑞生|FURIYA Mizuki|コミュニケーションデザインコース
「flying」
アニメーション|人間館 NA309a
【選評】終始アニメーションに興味を持ち、コミュニケーションデザインで幅広く学ぶカリキュラムを、アニメーション制作に展開できたことが今回の結果である。卒業研究で難しいことの一つとして、スケジュールコントロールがある。繰り返し修正を加えながら、緻密な背景までもひとりで手描きアニメーションとして仕上げることは至難のことだ。一貫してアニメーション制作にエネルギィを注ぎ、ゼミ内で誰よりもコツコツと制作に時間を割いてきたことは充分に評価できる。
松内 桃子|MATSUUCHI Momoko|コミュニケーションデザインコース
「色覚異常の可視化」
ミクストメディア |人間館 NA306
【選評】これからの時代、ヴィジュアルコミュニケーションを行ううえで、色覚異常への問題を避けて通ることは難しい。とはいえ学びの場で正面から向きあうのはもっと困難である。そんな大きな問題にテーマとして正面から向き合い研究できたことは、それだけで充分に評価できる。しかもその難しい問題を見事にさらりと、誰にでもわかるように表現できていることはプロでも見習うところが多く見受けられる。身近な問題発見から解決まで見事だ。素晴らしい!
三好 綾|MIYOSHI Aya|コミュニケーションデザインコース
「 暮らすまち」
写真|人間館 1Fラウンジ
【選評】自分の育った町がとなり町など数個の町と合併して香川県三豊市になった。しかし昔からの町の存在は今も変わりなく、逆に市としての認識を低く感じている。このことを問題として卒業研究を開始。この研究制作はひとりで全ての取材・編集・デザインを行うのではなく、「自分にできること」とは何か、「地元の人にもできることがあるはず」と考え、本人は写真家として活動。この制作から「地域を共につくるきっかけ」を提案したことに評価した。
妻鹿 美咲|MEGA Misaki|コミュニケーションデザインコース
「suntory「 七つの海」」
ポスター|人間館 1Fラウンジ
【選評】卒業研究着手当初より、2 つの研究テーマを探求していた。ひとつは「水」をモチーフになにか新しいイメージが創れないだろうか。もうひとつはアドバタイジングである。前者はドローイングとして身体からあふれ出す軌跡であり、後者は企業研究からの理論に基づく。両者を融合させることで、新しい企業イメージを創造している。オーソドックスに見えがちだが、研究として「表現」「思考」2 つを着地させたことは見事であり、そのプロセスが完成度を導いている。
中野 愛菜|NAKANO Ena|イラストレーションコース
「よるをつぐ」
パネル・映像|望天館 B23
【選評】美しく儚(はかな)いものを求めてきた作者がたどりついた風景……風景というより情景。情報デザインの「報」よりも「情」に彼女は深く分け入った。描かれた原風景の中に不意に現われ消えていくものの一部でも共有する人は、忘れていた大切なことを思い出し、またここに帰ってきたくなるだろう。絵画と動画と音楽がスタティックに合わさって湧き出た静けさは、自己表現の喧噪の中のオアシスのようでもある。
永井 麻央|NAGAI Mao|イラストレーションコース
「a course」
アニメーション|人間館 NA301
【選評】鑑賞者を壮大な旅に連れ出す線画によるアニメーション。そこに繰り広げられるスペクタクルは、制作の中心軸にある厳密な快感原則による効果のため、モノトーンでありながらも実にサイケデリックだ。独特な視点の移動が、次々に立ち現れる風景を予測不可能にし、その楽しさは見事にエンターテイメント性をも獲得している。ダリの引用も効果的である。アナログ動画の可能性を広げた作品といえるだろう。
藤川 明莉|FUJIKAWA Akari|イラストレーションコース
「Counterpoint」
ポスター|人間館 NA311
【選評】藤川は、アナログとデジタルを行き来する方法論により、物質の透明性と音楽の重層性を巧みにリンクさせた。抽象的な美しさが際立つドローイング、思考のプロセスを映像化したアニメーション、シルクスクリーンによる透明感の演出等、メディアの使い分けも興味深い。湧き出る多様なイメージを的確に捉え繊細かつダイナミックに展開した意欲的な作品である。
南田 真吾|MINAMIDA Shingo|イラストレーションコース
「ツアー」
インスタレーション|人間館 NA311
【選評】Google ストリートビューを題材に、壁面をディスクトップ、キャンバスをウィンドウに見立て、仮想空間をトレッキングする作者自身の網膜イメージをシリーズ絵画として表現。トレッカー(ストリートビュー専用カメラ)の撮影現象による風景のメタモルフォーゼ、デジタル画像特有のグリッチ、ディスクトップ上のアイコンを再現し、Web やGUI の先進技術を批判(的)にとらえ、観光と情報のゆらぎを明示化。
山川 友美|YAMAKAWA Tomomi|イラストレーションコース
「名刺」「マゼンタ」「100%ラグラン」
「CARROT SALE」「モデルシラサギ」
ミクストメディア|望天館 B24
【選評】イラストレーションを広義に「通常はこうなるだろうというイメージを現実化させること」ととらえ、イメージの複製物としてイラストレーションを描こうとしている。しかし、そう簡単にイメージは現実化されず、ズレが発生する。そのズレを「ノーフィクション」というテーマにし、一ヶ月に一作品を作成し、様々な現実におけるイメージとのギャップを提示する優れた作品である。
石津 祥|ISHIZU Sachi|映像メディアコース
「立ちのぼる」
映像|人間館 NA301
【選評】この作品の魅力は、何と言っても被写体と絵作りのアンバランスだろう。主人公の女は、男の前では決して見せない年頃の女性らしからぬ姿をカメラの前に晒している。しかし、それは息をのむほどに美しくキレのある映像となって切り取られている。観る者は、ここに作者のテーマを垣間見る。“いつだって女は女だ”と作者は語った。鋭い感受性と確かな技術が高く評価された。
野村 怜史|NOMURA Reiji|映像メディアコース
「fin」
実写映像|望天館 B41
【選評】4年間、劇映画一筋に研究と制作を続けてきた作者の集大成というべき力強い作品となった。物語の展開を巧みに利用しながら、映像の表現特性、特に回想表現を基軸にした時間感覚の再構成に挑戦し自分のものとしている点が高く評価できる。照明や構図、キャメラワークなどにも工夫がみられ、全体として完成度の高い作品となった点が評価された。
林 亜由子|HAYASHI Ayuko|映像メディアコース
「Video-tope」
インスタレーション|人間館 NA302
【選評】自身の制作した映像世界の中に、生身の自分が入り込みたいという冀求。些細な、しかし作者にとって根源的な発想は、映像と音とのシンプルな仕掛けによって、緻密にブラッシュアップされた。「つくる者」と「つくられるモノ」との往復体験を、映像の仮想機能を巧みに活かし、「自己」と「環境(情報)」の関係を意識させる装置としてデザインしている。
衣川 智子|KINUGAWA Tomoko|先端表現デザインコース
「文字と線、線と装飾」
ポスター、冊子|人間館 1Fラウンジ
【選評】欧文書体と花形装飾は同じ平面の印刷物としてまとめて捉えられがちだが、歴史や起源からは全く異なった発展を遂げ活字となっている。双方の共通点として人間が自然を見本に生み出し法則をつけ美を求めてきた。「トラヤヌス帝の碑文」を衣川智子は自身のストロークによって、「文字」と「装飾」という二つの歴史から不可視化した線をふりかえる試みをした作品。
松村 優里|MATSUMURA Yuri|先端表現デザインコース
「re—view」
インスタレーション|人間館 NA312
【選評】田中一光著『田中一光自伝われらデザインの時代』から歴史の視覚化を試みた。著者自身の生涯をふりかえり、グラフィックデザインの歴史とその社会的役割、仲間のデザイナーとともに築いたデザイン界の経緯、それらの時代における背景を「田中一光」を中心として1950 年代から1980 年代をダイアグラムによって視覚化した作品は松村優里の視点を通して大切なことを伝えようとしている。
横田 凌一|YOKOTA Ryoichi|先端表現デザインコース
「カミのオング」
インタラクティブ|人間館 1Fラウンジ
【選評】横田凌一は、身近な素材である紙に注目し、紙に触れることによる様々な変化を、自身がプログラミングした電子音響システムに導入することにより、身体と紙の接触によって生まれるゆらぎのある音が生まれる装置を制作した。これらの装置に触れることにより、楽器を演奏するような感覚となり、普段紙を触っているという当たり前の行為も、実は音楽を奏でていることであるというメッセージを発している。
京都造形芸術大学 卒業展/大学院 修了展
日程:2/27(土) – 3/6(日)
時間:10:00~18:00
場所:京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス
http://www.kuad-sotsuten2015.com/
3/5-6 同時開催!オープンキャンパス
https://www.kyoto-art.ac.jp/opencampus/sotsuten/
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