こども芸術大学

6月9日(木) 学生さんと子どもたち

ブログの更新が少し遠のいていましたが、この間もこども芸術大学の子どもたちは毎日色々な遊び、沢山の発見に触れています。

今日はその中からひとつお届けします。

 

ご存知のようにこども芸術大学は京都造形芸術大学内に併設されています。芸大内にある醍醐味のひとつは、芸術作品やそれに携わっている人たちとの出会いではないでしょうか。

登校するために歩く道すがらには、平面や立体、映像など様々な方法で表現された作品が見られます。

こども芸術大学は本大学の正門をくぐってから、何段もの階段を登り、幾分か歩いた先にある「未来館」という建物の4階にあります。

 

ある日、ベランダで育てているトマトに水遣りをしていたら、年長の男の子に「あそこになんかおる」と呼びかけられました。すると、ベランダの柵の隙間から1階にある人形のようなものが見えます。しかし、足らしきものしか見えません。そこで「よし、なんなのか正体を見に行こう」とちょっとした学内探検が静かにスタートしました。

 

階段とエレベーターを使い、まずは2階に。そこで彼らが発見したものは…。

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なんと、お化けの足です。

こっそり覗いたその部屋の中にとんでもないものを発見した子どもたち。

なぜか左足の作品ばかりだったので「片足のおばけなんちゃう」「かさもあるやん。かさおばけかもしらん」などという声が聞こえてきます。

 

そして、たどり着いた1階。

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見ていたものはやはり人形だったのですが、顔はかなりのインパクトがありました。

 

やっぱり人形だったんだねと言いながらの帰り道、大きな白い物体に向かう学生さんの姿を見つけました。

「なにを作ってるんですか」という子どもたちの問いに丁寧に受け答えをしてくれる学生さん。発泡スチロールの塊で犬を形作るそうです。

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子どもたちはその作品への興味もさることながら、削り落ちていく発泡スチロールを雪に見立てて遊び始めます。

しかし、学生さんも製作中なので邪魔をしてはいけません。子どもたちと話し合った結果、持って帰れる分だけ頂くことになりました。

近くに落ちていたビニール袋いっぱいに発泡スチロールを詰めて4階まで戻り、子どもたちは「なつなのにゆきがっせん」という新たな遊びを始めました。ところが、持って帰ってきた量では雪合戦をするには足りません。

「このバケツいっぱいにほしい」という子どもたち。

製作している学生さんの邪魔をしないように、発泡スチロールをもらうにはどうしたらいのか。

 

そこで年長さんたちと考えた結果が「ばけつのえれべーたー」という案です。

バケツに長い紐をつけ、4階から1階の学生さんの場所までうんせうんせと降ろしていきます。

「うまくいくかな」「がくせいさん、きづいてくれるかな」という声とともにスルスルスルとバケツは降りていきます。

「バケツだけではわからないかもしれないんじゃない」という意見があり、しっかりとお手紙も添えました。

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どしーんと無事に着いたバケツ。

子どもたちはおおはしゃぎです。「おてがみよんでくれるかな」「いつひもをひっぱろうか」という期待感に包まれた4階のベランダ。

そして、1時間ほど経った後、試しにバケツをスルスルスルと引き上げてみました。

すると、、

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バケツにはすりきりいっぱいの発泡スチロールとお手紙が入っていました。

 

その後もこの「ばけつえれべーたー」ではいくつかのやり取りがありました。

子どもたちは発泡スチロールのお礼にベランダのプランターで育てていたバジルを1階まで届けます。

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しかし、なんのはっぱを送ったのか手紙に書くのを忘れていた子どもたち。次の便では「ばじるのはっぱです。おひるごはんにぱすたにしてね」とお便りをばけつえれべーたーに託します。IMG_9060

学生さんがこの一連の出来事を随時SNSでもアップしてくださるという現代風なレスポンスがあり、しかし行っているのはバケツを紐で上り下りさせるとても古風な方法という、とても面白いやり取りでした。

下校時には受け答えしてくださった学生さんたちが4階まで遊びに来てくれて、子どもたちはお手紙交換の相手と直接お話することが出来ました。

 

学生さんと子どもたちが交流した、ある日の出来事でした。

 

かなこさん、けんいちさん、がくせいさん、ありがとうございました。

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20160608新宅03 20160608新宅加奈子コメント     

 

(村瀬浦人)

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