- 2016年7月21日
- イベント
【特別講義レポート】『移行期的混乱を生きる』内田樹さん
20日に行われた前期最終の特別講義は、ゲスト講師に内田樹さん(凱風館館長・神戸女学院大学名誉教授・京都精華大学客員教授)にお越しいただきました。
アートプロデュース学科の学生と学内からの多くの聴講者とで普段にも増して会場はいっぱいになりました。
この日のテーマは「移行期的混乱を生きる」。
大学教育の抱える問題と日本社会の現状という大きな話題から、コミュニケーション力とは、何かを学ぶとはどういうことなのかという身近な話題まで盛りだくさんにお話しいただき、80分という時間がとても短く感じられました。
「物事を”効率的に学ぶ”ことは無理だし、してはいけない。理解に急がず時間をかけて、身体を使って学ぶ。そのための時間が大学生にはある。」
「コミュニケーションスキルとは、流暢に自分の意見を話すことではない。沈黙の時間を大事に。」
「人と話す時に”分かった”や”分からない”は使わない。”もっと話して”と伝えよう」
などのここに書ききれないほどの多くの言葉が、胸に染み混んできました。
内田さん、貴重なご講義をありがとうございました。
学生のレポートから
・アクティブラーニングをはじめ、すごく身近に感じる話題を毒とユーモアを交えてお話し下さり、考えるとっかかりをたくさん与えられた気がします。しっかりぼーっとして、学び休みをとおして内田さんのお話を咀嚼していきたいと思います。そういう小さい理解の積み重ねが、きっとこれから自分自身の層をつくっていくのだろうと思いました。自己完結で終わるのではなく、その理解と社会問題や自分自身の新しい課題とをコネクトしていければ、さらに多面的に物事について考えられるようになるのではないでしょうか。ちゃんと立ち止まって考える時間を意識的に作っていこうと思いました。
・「わかっていない」ことは駄目なことだと思っていたのですが、この話はアートについてもいえることだと感じました。アートの本質を知った、わかったという時点でそれ以上作品を見ようとしない。むしろわからないからこそ興味が湧く。わからないことは自分にとって学べる道が無限にあるのではないかと思いました。
・ルールがあるものは結果が決定してしまっている。この考えが非常に面白いと思った。目標とそこに到達するまでの過程を具体的に細やかに決めることは良いことのような気がしていたが、そうすることによって「楽してしまう」「得るものを少なくしてしまう」ことに意外と多くの人が気が付いていないのではないかと思った。確かに「こうすればこうなれる」とわかっていれば、学ぶ意味自体なくなってしまう。楽な道ばかり選んでしまうことがどんなに危険なことかを認識することができた。
・内田さんが「目標点が定まっていないくらいの曖昧さでいい」とおっしゃっていてとても安心しました。目標が定まっていないからこそ何でも得ようとしていたし、何でも考えたり、とにかく自分なりの努力をしていたし、そしてそれでいいのだと思えました。今は何にでも手を伸ばして点を増やしていき、後に少しずつそれらを繋いで線にしていけたらなと思います。
・過去の自分を見事に掘り起し、今現在の自分の考え方を刺されたようでした。学びを傷つけてきた自分への反省と、反省できた自分への称賛。モヤモヤとした気持にもなれて最高の80分でした。卒業する前に、このタイミングで内田先生の話が聞けて本当に良かったです。肯定できる選択が少ない人生ですが、人生には「yes」と言い続けます。
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