アートとしての介護
芸術学コース 沖野正宏
私自身が現役のケアワーカーとして働く中で、介護現場ではマニュアルやエビデンスでは説明できないような「魔法や奇跡のような瞬間」とでも言うような出来事が日常的に生まれています。しかしそれが外部からではなく、現場内部からの声としてきちんと言語化されたことは今までほとんどありませんでした。
今回はこの論文を通じて、介護現場における「気づき」「ふれる」「場の創出」という現場での実践を取り上げ、再現することが難しい現場での即興的な創造的行為をアートとして再構築し、その価値を改めて可視化することを目指しました。さらに私自身の音楽経験から、「音楽的介護」として、DUBと介護を結びつけるという、おそらく世界初の試みに挑戦しています。
介護はいわゆる「誰にでもできる仕事」ではなく、創造的な実践を伴うアートなのだと言うことを証明するためにこの論文は書かれましたが、私にとっては、この論文自体がアートでありDUBなのです。絶望感あふれる日本の高齢者福祉・介護問題についてほんの少しだけでも希望や未来を語れたのであれば幸いです。
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