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近世江戸の変化朝顔

―園芸文化の成立過程の再検討―

歴史遺産コース 藤井謙昌

 江戸時代に流行した変化朝顔を研究対象としました。突然変異で生まれた変化朝顔は、蒔いた種子からごくわずかな確率で出現します。以前、歴博の朝顔展でその種子をいただき、三年をかけて変化花を咲かせることができました。この希少で、奇妙で、儚い一日花に出会えたとき、江戸の人々と心が触れ合えたような気がしました。この花もまた、受け継がれてきた歴史遺産の一つであろうと考え、当時どのような愛好家がいて、どのような関係性のもとで園芸文化を築き上げていたのかを明らかにすることを研究テーマとしました。  
 知識ゼロからのスタートで、頼ったのは授業で学んだ芋づる式探索法でした。二、三冊の入門書からひたすら芋掘りを進めて、百冊ほどの参考文献に辿り着き、なんとか論文にまとめることができました。そうした中で、「江戸の花」というイメージが強い変化朝顔が、意外にも大阪を先進地としていたことが明らかになり、研究の締めくくりには、土地勘のない大阪に古地図片手に調査に赴くという、東京下町育ちの私にとって想定外の展開になりました。
 人はなぜ花を美しいと感じるのでしょうか。朝顔に限らず、日本人が花を愛でてきた歴史に関心を持っており、これからも学び続けていきたいと思っています。

藤井謙昌

歴史遺産コース

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