《Echo of Formlessness−Meaningless sounds》
Chopin 雨だれ Op.28-15
書画コース 岡本和美 (Kazumi Okamoto, M)
2026 年、墨、阿波和紙 53 ㎝ x 110 ㎝
―非・無意味―
《Echo of Formlessness- Meaningless sounds(カタチなきものの残響-無音)》シリーズは、「書くという行為」よりも「聴く(考える)という行為」として志向する制作である。
ここでの「書」は、意味や言葉を書く行為ではない。かといって、カタチを描くことでもない。
それは、自己の記憶とその解放の“間“に立ち現れる「音の存在」を顕在化させる行為である。「残響」は音でもカタチでもない、言葉やカタチが消え去った後になお残る「存在の残像」のようなものである。
むしろ、カタチ無きものの方が、より強く印象に残ることもある。
それは決して「無意味」なコトではない。私には「非・無意味」な存在として立ち現れてくるのだ。
※ 《Echo of Formlessness- Meaningless sounds》シリーズに付された曲名は、幼少期によく耳にしていた「音」に由来している。
私の制作は、言語を意味伝達の手段としてではなく、音や気配として捉え直し「見えないもの」「聞こえないもの」——すなわち感覚的には捉えがたいが、確かに存在しているものを、書くという行為を通して可視化する試みである。その背景には、子供の頃に体験した、意味や名称によって分節される以前の、未分化な世界覚がある。成長とともに世界が「見えなくなる」のは、対象そのものが失われたからではなく、言語や概念、説明といった認識の枠組みが重なり、知覚がそれらによって覆われていくためであると考えられる。時折生じる、不可視のものが立ち現れる感覚は、その知覚が一時的に幼少期の記憶と重なり合うことによって生起するのではないだろうか。そんな事を考えながら制作を続けています。
このコースのその他作品