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記憶は揺らぐ

レンチキュラー印刷を活用した記憶の表現

グラフィックデザインコース 渋谷 睦子

レンチキュラーアクリルパネル、A4規格〜A3規格サイズ大、全5点

過去の記憶というものは、何かしらの記録媒体と照らし合わせた時に齟齬を感じることがままある。美しいと感じていた記憶の中に潜む不安や違和感、逆に怖かったはずの記憶に後から重なる郷愁。思い出すたびに感情や時間によって揺らぎ、変質していくのかもしれない。
本作品は、過去の記憶に結びついたモチーフを用い、像が不安定に変化する視覚体験を通して、掴めそうで掴めない記憶の性質を可視化する試みである。
「思い出は確かに存在したはずなのに、確実に再現しきれない」ものであるという感覚を記憶の揺らぎと定義づけ、アクリルパネルという形で具現化した。

不確かな像をアクリル板に映し出すレンチキュラー印刷は、見る角度によって異なる像が現れ、視点を固定しなければ内容が確定しない光学プリズムを用いた印刷技法である。モザイクや版ズレで表現した不完全な像を、レンチキュラーフィルムによってさらに不安定化させる。それにより、記憶が常に揺らぎ続ける状態を物理的な視覚体験として成立させている。
鑑賞者にとっては、身体を揺らして視点を変えることで、記憶の映像の不確定さを体幹をもって体感できる作品となる。

以下、5つのモチーフを通して作品の向こうにある空気に触れたい。

※上図は印刷原稿の解説。 モチーフのパーツをレイヤー分けして階層化することにより、人間の両眼視差(右と左で見える映像位置のずれ)とレンチキュラーレンズを合わせることで、立体的に表現可能となる。

全体写真

渋谷 睦子

グラフィックデザインコース

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