魚を知ることは、日本を知ること
―『ととけん』の向こうに見える日本の文化―
アートライティングコース 渡邉 公絵
聞き書きは、実際に取材してみるまで収穫の有無がわからない。もしかしたら、記事にするほどの中身の濃いエピソードは無いかもしれない。それでも、ヤルと決めたからには何か聞き出さなくてはいけない。つまり、書き手はライティングスキル以前に、話を引き出す力、話しやすいと思ってもらえる「人間力」のようなものが試される。
そんな「出たとこ勝負」のようなリスクがあることは確かだけれど、自分ではない誰かのストーリーを、主観を交えて書いていくルポルタージュは、卒業“論文”にはなりえない。アートライティングという“制作”だから許される手法だ。通信大学生活の集大成は、この自由を楽しもう、と思って取り組んだ。
取材対象であるととけん協会会長が、ひとつ質問したら十答えてくれるような話し好きだったこと、心揺さぶる感動ストーリーとまではいかなくても、じゅうぶん「読み手に伝えたい」と思える話が聞き出せたこと、そしてインタビューの後、私自身が2025年度の3級を受験してみて、「魚への関心は、日本文化への関心」という会長の言葉に強く共感できたこと。数々の幸運が重なって、無事に仕上げることができた。ととけん協会会長、ときに温かくときに厳しく導いてくださった先生方、相互評価でコメントをくださった皆さんに、心から感謝したい。
渡邉 公絵
アートライティングコース
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