芸術学コース 川路 靖子
研究テーマとしたガンダーラ仏教美術は、長年興味を持っていましたが、系統立てて学んだことがないため選択したものです。石彫やストゥッコであらわされた仏像や仏伝図、本生図については多くの研究がありますが、私自身は、実際にそれらを造らせ奉納した人々はどのような人々であるのか、ということに関心がありました。やや後の時代の中央アジアには、ブッダの説法を聴く人々を、地元の王侯貴族などと思われる姿であらわしたものがあります。おそらく寄進した人々が自らの姿を仏伝や本生譚の登場人物に重ねた、あるいは置き換えたものと思われます。これに対し、今回の論文で取り上げたのは、仏陀や菩薩の台座の脇や下部、あるいは画面の外側に合掌する姿であらわされた人々です。服装などからも一般の在家者であると思われるこれらの人々の姿は、いつ頃どのように登場し、変遷したのかを図像表現の変遷を通してあきらかにできればと考えました。ガンダーラの石彫には制作年代を推定できる紀年銘が少なく、年代の確定には至りませんでした。しかし、多くの専門書や論文に取り組んだ時間は、楽しく充実したかけがえのない経験となりました。
埼玉県
ガンダーラ美術における供養者像の表現について
川路 靖子
芸術学コース
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