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絵巻から読む『狭衣物語』

芸術学コース 中村 めい

 卒業研究では、東京国立博物館が所蔵する《狭衣物語絵巻》について取り上げた。『狭衣物語』は、『源氏物語』の影響を色濃く受けた平安時代後期に成立した物語であり、東京国立博物館には鎌倉期に制作された絵巻、これを模写した近世初期、幕末期、昭和期の作品が所蔵されている。
 物語の絵や絵巻は『源氏物語』『伊勢物語』が中心であり、『狭衣物語』の絵巻は現存する作品が少ないだけでなく、これまでの研究の歴史も圧倒的に少ない。しかし、《狭衣物語絵巻》はやまと絵の伝統的な手法を重視している一方で、動きのある表現や人物の心情を表すかのように丁寧に手を描くなど特筆すべき点が見られる。また、同時代の仏教絵画の影響も感じさせるなど、個性的な側面をのぞかせる。このような《狭衣物語絵巻》について、可能な限り文学・美術の両側面を融合し、絵巻の独自性を読み解こうと試みたのが本研究である。物語絵の中心は確かに源氏絵・伊勢絵であるが、傍流とされる物語の絵や絵巻にもまた異なる魅力があることを強調したい。

中村 めい

芸術学コース

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