和の伝統文化コース 杉本 由紀子
栃木県日光市は京都とともに湯葉の産地である。日光湯波は、日光東照宮例祭の特殊神饌に献備され続けてきたが、近畿地方の寺社の神饌には、湯葉は献備されている例がない。また、日光湯波について「強力な植物たんぱく源として社寺の神官・僧侶にも重用され、製造業者は社寺の保護を受けつつ御用湯波所として生産を続けた。販売が許され一般に利用されるようになったのは、明治になってからである。」が定説となっているが、実証できる文献が発見できなかった。
そこで、庶民のハレの日の食品へと変遷する過程を、江戸時代から現代までを中心に、食文化の観点から、日光市史・江戸時代の料理書や旅行案内書などの文献を調査し明らかにしたいと考えた。
日光山内の度重なる存続の危機に翻弄されながらも、僧房の精進料理だけでなく、日光山の神々への神饌として伝承されてきた。江戸時代には普茶料理の影響を受けて、揚巻湯波が主流となった。江戸時代末期から、庶民は祭の神饌として購入し献備していた記録を発見した。日光湯波は「感謝・祈り・再生」の精神性を守りながら、流行も取り入れた革新性のある食文化として、今も創意工夫を続けて進化していた。
栃木県の食文化「日光湯波」の変遷 ー江戸時代から現代を中心にー
栃木県
杉本 由紀子
和の伝統文化コース
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