本文へ移動

和の伝統文化コース 漆畑 美紀【同窓会賞】

 江戸の町は、理想の地の条件である「四神相応の地」と災厄(鬼)の出入り口である「鬼門・裏鬼門」という平安京の思想を取り入れてつくられたという通説がある。しかし、徳川政権と信仰の関わりについて語られることは少ないことから、江戸の都市空間における「鬼門」に的を絞り、寺社の配置を中心に幕府と鬼門思想の関係を導こうとこの研究に着手した。
 論点を狭く、根拠を深く追求しようとするほど、様々な事項が絡み、何度も迷宮入りし、卒業成果物を提出する段階に及んでも、ぎりぎりまで文章の組み直しをする事態に陥ったが、最終的に徳川政権が、幕府の祈願所造営を鬼門地域に集中させていることにより、鬼門を重要視していたという結論に辿りついた。
 一方、この研究を通して、信仰を含めた思想が人々を動かし、社会をつくり、文化が生まれるということに気づくことができた。和の伝統文化コースで学んだ伝統文化は、思想の上に成り立ち、互いに関連している。思想を伴わずに形だけ継承されるものは、いずれ消えていく危険性があるだろう。
 私はこの卒業をひとつのステップとして、今後、世界における日本の思想と文化の特異性をさらに研究したいと考えている。


徳川政権と信仰の関わり ―寺社の配置にみる鬼門地域の重要性―
東京都

漆畑 美紀【同窓会賞】

和の伝統文化コース

このコースのその他作品