「春秋座はアクセスが悪い」?

6月 01日, 2011年
カテゴリー : プロデューサー目線 

「春秋座はアクセスが悪い」とよく言われます。確かにJR京都駅からは⑤番の市バスで50分もかかってしまいます。地下鉄で烏丸丸太町まで来て、204の市バスに乗り換えても35分はかかるでしょう。しかし、大阪からの場合は京阪電車の特急に乗り、終点出町柳まで来ると③番の市バスで15分です。
私は昨年の9月から敬老乗車証なるものを購入し、有効に使わせていただいていますが、そこで気がついたのは「上終町京都造形芸大前には実に多くのバス通っている」ということでした。市バスの③番、⑤番、204番、京都バスの55番。上終町(かみはてちょう)と言うといかにも辺鄙なところを連想させますが、実はとても便利なところです。
時間は多少かかるけれど、ゆとりを持ってお出かけいただければそう疲れずにたどり着けます。10月中には、あの大階段を上らずに済む新しいエレベーターも完成いたします。
大阪に出かけることを考えたら、京都市内にお住まいの方はどれだけ楽か分かりません。
また繁華街で食事をするとなると、結構高くつくものですが、春秋座の近くにはリーゾナブルで静かで、おいしい、雰囲気のいい店がいくつかあります。
今回は私が責任を持ってお勧めする3店をご紹介しましょう。まず日本そばのお好きな方には「皆川」をお勧めします。いかにも京都らしい店構えで、打ち水した石畳、和紙に毛筆で書かれたメニューが目を引きます。私のお気に入りは「揚げ玉入りおろしそば」。甘めのたれに具がいっぱい入っていておそばの味を引きたたせています。ちなみにお昼をここで取る時はこのメニュー一点張りで、私が注文する前に「揚げ玉入りおろしそばですね」と言われます。何とかの一つ覚えみたいで恥ずかしいのですが、ぜひ、一度お確かめください。
洋食党の方には「猫町」があります。大正ロマンを感じさせる、重厚なテーブルや柱時計が心を和ませてくれます。土、日以外はご夫婦お二人で切り盛りしていて、ボリュームのある本格的な洋食を出してくれます。奥には7~8人で会食を楽しめる個室があるのでお友達と観劇の後など寄るには最適です。
京風中華なら、徒歩1分で行ける「叡」が一押しです。こちらも、ご夫婦だけでやっている12名くらいしか入れない可愛い空間ですが、味良し、雰囲気良し、その上リーゾナブルな料金で感動してしまいます。京都にはこじんまりとした構えで本物を提供するお店が時々ありますが、まさに「叡」はそのお手本のような店です。ご主人の陳武さんと奥さんの直子さんは高校時代の同級生同士だそうで、抜群のコンビネーションがリピーターを増やしているのかもしれません。ことに「叡」のチャーハンは芸術的です。また、ランチについている前菜は大原の野菜で季節感たっぷり、直子さんの説明でおいしさ倍増です。
今回ご紹介した3つの店の詳しい情報はネットで調べられます。ここではお勧めだけになりますがお許しください。
とにかく「春秋座はアクセスが悪い」と言う風評に惑わされることなく、お出かけいただきますようお待ちしています。

橘市郎
(舞台芸術研究センター プロデューサー)