キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズvol.24 土木田彩と「ゲームのサウンドについて語る」の巻

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※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

ゼミ通ヒーローズ Vol.24

土木田彩と「ゲームサウンドについて語る」の巻

 

今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ十三期生で現2年生のゼミリーダー土木田彩さん(千葉敬愛高等学校出身)と、ゲームの音楽や音響などサウンド全般について語っていきます。

 

 

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ゲームゼミ2年生のゼミリーダー土木田彩さん。

 

 

村上 まずは定番の質問から。なんでこの大学に来たの?

 

土木田 夏に弁論部の全国大会に出ていて、それまでは文学部に行こうと思ってたんですよ。でもなんか急に自分で何か創りたいなって思って。それで京都が好きだったので、色々調べてたらこの大学が出てきたんですよ。急に大学に電話して「明日見学したいんですけど!」って言ったら色んな学科を見学させてもらいました。スタジオとか工房を見て、最後に屋上から京都の街並みを一望して、「ここに来たい!」って思いましたね。

 

村上 千葉県出身ということだけど、関東の大学は考えなかったの?

 

土木田 関東から出たかったんですよ。あ、別にネガティブな意味ではなくて、色んな場所に行って色んなところで働きたいなって思っていたので、とにかく大学は関西でと考えてました。

 

村上 芸術大学で学ぶといっても色々な領域があるけど、最初は具体的に何をしたかったの?

 

土木田 その時はまだ何も分かってなかったです。でもここは学科が多いじゃないですか。就職のことも視野に入れていたので、エンタメ系の色んな業界に直結しているキャラデがいいかなって。

 

村上 で、今年度二年生に進級してゲームゼミに入って、しかもゼミリーダーにもなって。

 

土木田 中立の立場でちゃんとチームをまとめたいとは思ってるんですけど、山中先輩(ゲームゼミ十期生のリーダー)ほどはうまくできないかも…。

 

村上 最初は音楽プロデュースゼミに行くかゲームゼミに行くかで迷った時期もあったよね。

 

土木田 そうですね。シンプルに音楽が好きで、昔から宇多田ヒカルとか聞いてたんですけど、歌詞よりもリズムとかメロディに惹かれてたんですね。で、映画を観ているうちにBGMに注目し始めるっていうか、ゲームミュージックとかサウンドトラックを聞くようになって、この学科にきて「音楽プロデュースゼミ」があるというのを初めて知ったんです。でも音楽を中心に学ぶのかゲーム全般を学ぶのかで迷って、ゲームゼミだとやりたい放題できそうな印象があって(笑)。企画もあってシナリオも書いてプログラミングも学んで…ゲームゼミは物凄く忙しいとは思うんですけど、色々やりたかったのでここを選んじゃいました。

 

村上 さっきサラっと「弁論部の大会」って言ってたけど、弁論にも興味があるの?

 

土木田 なんか私、人前で話すの全然緊張しないんですよ。中学校の時に友達が生徒会に立候補することになって、その応援演説をしたんですけど、その時に「あれ、私全然緊張せずにうまく話せる!」って思って、そこから弁論部に入って色んな大会に出ました。私、結構凄いんですよ(笑)。私の高校には放送部がなかったので、声優希望の人とか歌手希望の人とかアナウンサー志望の子とかが弁論部に入ってましたね。私も歌唄うの好きだし。

 

村上 弁論、歌、音楽の流れでサントラにも興味が出てきたのかな。

 

土木田 意識してなかったですけど、そうかも知れないですね。

 

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京都芸術大学でのイラストバトルイベント「MINUTES」にて司会進行を務める土木田さん。(左奥)

 

 

村上 今回はゲームの音楽とか音響効果について語る回なんだけど、好きなゲームミュージックってあるの?

 

土木田 一番好きなのは『メタルギア・ソリッド』のアラートの後の緊迫感あるBGMがシリーズを通して好きですね。それまでは環境音や生活音だけで進行してたのに、敵に見つかった瞬間に一気に空気が変わって緊迫感が出るじゃないですか。あれが凄く良いなって。

 

村上 『メタルギア』の音楽を作ったのは、映画音楽の巨匠「ハンス・ジマー」の弟子「ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ」って人だね。ハンス・ジマーといえば、一般の人でも分かるところだと『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか『ライオンキング』『バットマン』の音楽を作った人。弟子のハリーはゲームの『Call of Duty』も手掛けてたかな。

 

土木田 そんな凄い人が…!『メタルギア』って洋画っぽい雰囲気ありますよね。独特のタッチのビジュアルも凄いですけど。

 

村上 『ドラゴンクエスト』とか『ファイナルファンタジー』みたいな耳に残る楽曲というよりは空気感を大事にするところが好きなのかな。

 

土木田 マリオみたいに一般の人が聞いても分かるようなキャッチーなものも好きなんですけど、やっぱりキャラクターとかストーリーとかステージに溶け込むようなBGMが好きなんですよね。

あと『モンスターハンター』の曲も好きなんですよ。『英雄の証』っていう曲。これも初代からずっと変わらないですよね。世界観に合ってるから好きなのかメロディが好きなのか分かんないんですけどね。あと私、一番最初の『バイオハザード』の音楽も好きなんです。あ、やっぱり『メタルギア』と共通するものがありますね。これもメロディらしいメロディではなくて、空気感を作る感じですね。不気味なバイオリンの旋律だったり物音みたいなパーカッションが入ったり。超怖かったですね。

 

村上 『バイオハザード』は「そこを歩くという恐怖」ってキャッチコピーもあったけど、やたらと恐怖感を盛り上げる音楽がガンガン鳴っても怖くないし、「居る」ことを怖いと感じる空気のような音が重要視されてるよね。

 

土木田 初期の『バイオハザード』って技術的な制約もあったんでしょうけど、カメラが固定されてるじゃないですか。あれもまた怖いんですよね。自分で見たいところが見れない不自由さというか。

 

村上 監視カメラの映像を見てるような、ゾンビに喰われる姿を冷たい目線で淡々と見せつけるような感じがして、確かに怖かったよね。個人的に一作目が一番好きだったな。今の『バイオハザード』は映画的演出でカメラはガンガン動くし、ガンアクションをカッコよく見せようとするしで、「カメラマンがそこにいるなら怖くないな」って思ってしまう。

 

土木田 カメラが動かないと、他には誰もいなくて、自分一人がそこに置き去りにされてるような感じが出ますもんね。

 

村上 うーん、『バイオハザード』だけで何時間でも話せてしまう。音の話に戻そう。ゲーム音楽といえば、今ならスクウェア・エニックスさんとかコナミさんが筆頭に挙がるよね。

 

土木田 コナミさんといえば音ゲーですもんね。

 

村上 音ゲーの走りといえばその前にSCE(現SIE)からリリースされた『パラッパラッパー』っていうタイトルがあって、その後コナミさんが音ゲーのシリーズを続々出して知名度を上げていって、音楽そのものがゲームになるんだっていう新しい可能性を示してくれた。

 

土木田 そっか、『パラッパラッパー』って『ビートマニア』の前に出てたんですね。

 

村上 うちら世代がど真ん中なのは日本ファルコムっていう会社で、昔「ゲーム音楽といえばファルコム!」っていうほど一時代を築いてた。PCゲームの『イース』っていうタイトルは聞いたことあるかな?後にコンシューマゲームとして8作目まで発売されてるけど。

 

土木田 はい、それは分かります。

 

村上 中学生とか高校生の頃だったけど、この『イース』とか『ソーサリアン』シリーズの音楽を聴きたいためにFM音源のボードを買ってきて、それを取り付ける上でパソコンのことを色々知った。このタイトルは音楽だけでじゅうぶん作品になり得るどころか、音が物語を引っ張っていくようなイメージすらあった。

 

土木田 最近のゲームだとそういうの少ないかも知れないですね。音よりもビジュアルが十分語ってしまうので。

 

村上 世界観やキャラクターを補足するような形で音が存在するものが主流になっているけど、当時は完全にメロディだけで引っ張っていて、音楽に浸っている間にストーリーが進んでるみたいな感覚さえあった。

 

土木田 なるほど、昔のゲームもチェックしておかなきゃいけないですね。

 

村上 実は、自分は元々ゲームミュージックに憧れてこの世界に入ってる。

 

土木田 え?そうなんですか?

 

村上 やっぱり『イース』に始まって、ゲームの音楽なのに鑑賞に堪えうるっていう点で、当時「ピコピコ音楽」なんて揶揄されてたものへの価値観が変わった。その後『聖剣伝説2』のタイトル画面で流れてる曲を聞いた時に、その楽曲の美しさもあるんだけど、音楽一つでストーリーや世界観を感じて衝撃を受けて、その辺りからゲーム音楽の植松伸夫さんや下村陽子さんに注目して、この業界で働くモチベーションになった。『ファイナルファンタジーⅥ』のラスボス戦なんか、三頭身のドット絵キャラが戦ってるだけの絵なのに、スーパーファミコンの音源でありながらコーラスを使ってたりと野心的なことをやってて、「ゲームミュージックって、この先凄いことになっていくんじゃないかな」って思った。

 

土木田 あー、その感覚分かります。『ビッグブリッジの死闘』って曲ありますよね。あれって『ファイナルファンタジー』の何作目でしたっけ。

 

村上 5作目だね。あの曲、物凄く人気あるよね。でもあれはスーパーファミコンだから通用する曲なんだよね。キャラクターは16ドットの二頭身だし、当時ビジュアル的には最先端と言いながらも、やっぱりマップチップの使い回しで今のゲームには到底及ばないわけで、そうなると音楽の力で引っ張るしかない。

 

土木田 逆に言うと、スーパーファミコンのドット絵の画面にアンビエント系の音楽を重ねたって「なんのこっちゃ」ってなりますよね。『ファイナルファンタジーⅦ』のリメイク版くらいビジュアルに力のあるゲームで『ビッグブリッジの死闘』が流れたら、色々うるさくなりますよね。

 

村上 その辺の演出はハードの進化に合わせて確実に変わってきてるね。

じゃあ、ゲームの音楽だけじゃなくて、音響効果としてはどう見てる?

 

土木田 メイキング動画なんかでよく見るやつですね。格闘ゲームの効果音を作るときにセロリを折ったりキャベツ切ったり。

 

村上 ただ、ゲームで効果音をリアルにすることは逆効果になることが多くて、「まさかここにこの音を足すか!」っていう驚きがある方が面白みに繋がりやすい。「リアルにする」と「面白くする」は意味が違うんでね。そこの匙加減はこれから色んな実験をして学んでいってもらえればいいんじゃないかな。もちろん、フォトリアルな表現を追求するゲームの場合ならリアルな音にした方が効果的な場合もあるよね。

 

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土木田さんが最初に作ったゲームの企画書から抜粋。

 

 

村上 1年生のときに初めてゲームの企画書を作る授業をやって、土木田はリズムゲームの企画書を出してきたけど、その時にサンプルの音楽も一緒に作って提出したよね。企画書を作るだけの授業なのに音楽まで作ってきて驚いたよ。

 

土木田 少しでもイメージが伝わればと思って作ってみたんですけど、今聞き返すと恥ずかしいですね。

 

村上 改めてこの企画書を見ると、ウィルスを撃退するリズムゲームになってて、時代を反映したというか(笑)

 

土木田 結構トンチキな発想だったんですよね。ウィルスを防御したいと思って、そこから「弾く」っていう動作が思い浮かんで、それがリズミカルに展開されたら面白いんじゃないかっていう。ちょっと突飛だったかなって思ったんですけど、これ考えるの結構楽しかったんですよね。

 

村上 スマホを使ったリズムゲームということで、ウィルス撃退のアクションとして、タップ、長押し、スワイプっていう3種類の動作をリズミカルに繰り返す感じがすごく小気味良くて、よく考えられてる。作れるんだったら実際にやってみたいと思ったね。

 

土木田 やったー(笑)

 

村上 ただ、リズムゲームとしての古典的なフォーマットに則り過ぎてるっていうか、『ビートマニア』から一切変わること無く今まで来てるから、そこが突破出来たらもっと面白くなるんじゃないかな。リズムゲームとはこういうもの、っていう固定観念に縛られすぎてる。

あとは、音楽に合わせて何かをするんじゃなくて、その音だからこそ体験できるゲーム性を何か発掘できれば画期的な遊びになりそう。昔からある「音あそび」みたいな考え方とか。

 

土木田 古典も含めてそう解釈すると色々出てきそうですね。「はないちもんめ」もリズムゲームですよね。

 

村上 あと、子供が絶対に避けては通れない「アルプス一万尺」とか。

 

土木田 「アルプス一万尺」は特に女子は避けて通れませんね。あれ、私めちゃめちゃ速くできますよ。超得意でした。

 

村上 なんで女子はあの遊びにハマるのかな?

 

土木田 なんで…?暇な時に何となくできる長さだったし、リズムがいいし、子供って手遊びが好きじゃないですか。友達と手を合わせて遊ぶのが楽しかったのかな。うーん、なんでと聞かれると難しいですね。

 

村上 息が合うかどうかっていう面白さ?

 

土木田 それは大きいですね。自分がリズムに合わせるだけじゃなくて、それが他人とピッタリ合うかどうか。相手が速すぎるとついていけないし、遅いとイライラしちゃうし。そんなちょっとしたコミュニケ―ションとか駆け引きみたいなものが面白かったのかもしれないですね。

 

村上 これ、コンピュータゲームとして面白くしようと思ったらかなり大変だろうね。多分、理不尽にしか思えない。自分は一生懸命合わせにいってるのにコンピューターが合わせてくれないとか。それで息があった時に面白いと感じられるような何らかのシステムが思いつけば、音ゲーとしての枠を飛び越えられるかもしれない。

 

土木田 複数人で遊ぶリズムゲームってないですよね。『太鼓の達人』とか?

 

村上 でもあれって二人並んでスコアを競うのであって、結局は一人プレイでしょ?『ポップンミュージック』は、二人の真ん中の赤いボタンがあるお陰で、うっかり手と手が触れ合ってちょっとドキドキできる体験デザインが新しかった。全然発想は違うけど、リズムゲームの応用例として面白いのはPS4の『SEKIRO』かな。

 

土木田 はい!あれは紛れもなく音ゲーですね。タイミング間違えると一瞬で死にますから。

 

村上 バトルの中でリズムをとりながら遊ぶものとしては、HappyElementsさんの『ラストピリオド』もそうかな。戦闘システムとしては、敵の上に円形のUIが表示されて、それがある大きさまで縮まった瞬間にボタンを押すと大ダメージを与えることができる。

 

土木田 それは気持ちよさそうですね。

 

村上 シンプルだけどリズムゲームの良さをRPGに応用したらこうなるっていう良い例だと思う。

 

土木田 で、さっき出た「アルプス一万尺」って、結局のところあれはなんで面白かったんでしょうね?そんなの考えたことなかった。

 

村上 間違いなくみんなが通る道だということは、そこに何かがあるんだろうね。うちの娘に聞いてみても「楽しいから」としか言わない。そりゃまぁ小学生なんで深く分析しながら遊んでるわけじゃないし当然なんだけど。

 

土木田 たまに超高速バージョンとかやって遊んでました。そうやって自分でルールを作ったり、スピ―ドを自分で変えられるから楽しかったのかもしれないですね。スピードが変わるリズムゲームって何かありましたっけ?

 

村上 それコンピューターにやられたらゲームにならないね(笑)。理不尽としか思えない。

ちなみに、昨年度の立命館大学の卒業制作展に行ってきたんだけど、そこで音ゲーを作ってる学生がいて、それが面白かったのが、SwitchJOY CONについてる赤外線センサーを使って、脈拍を計測をして遊ぶ仕組みになってるのね。最初のうちは平常心で遊ぶので、一定の感覚でオブジェクトが飛んできて、それに合わせてリズムを叩く、所謂普通のリズムゲームなんだけど、徐々にスコアが上がるに連れてプレイヤーが緊張し始めるから、そうなると脈拍が上がっていって、それに応じてゲームの速度も上がっていく。プレイヤーの緊張度合いとゲームが連動するっていうシステムになってて、緊張すればするほどゲームが難しくなっていく。だからどれだけ平常心を保てるかが問われるゲームになってる。あと少しでハイスコア更新!と思うとプレッシャーを感じる人間の弱さを利用したゲームになってて、その発想に驚いた。

 

土木田 なるほど。コンピューターは悪くないですね。勝手に緊張するプレイヤーの責任だと。

 

村上 そういうこと。絵のクォリティを上げましたとか曲を差し替えました、じゃなくて、こういう人間の本質に向き合った発想が新機軸を生むんだと思う。

 

土木田 リズムゲームの在り方そのものを変える発想ですよね。

 

村上 新機軸といえば、もうお亡くなりになったけど、飯野賢治さんっていうゲームクリエーターがいたの、知ってる?

 

土木田 あー…分からないです。

 

村上 毎度過激な発言で業界を騒がせてきた尖ったクリエーターで、この人が作るゲームが賛否両論真っ二つになるんだけど、個人的にこの人大好きで、こういう人が次代を築いていかなきゃいけないんだって思ったね。

飯野さんが作った『エネミー・ゼロ』ってタイトルのゲームは「エイリアン」と「プレデター」を合わせたようなものなんだけど、宇宙船の中に透明のエイリアンが紛れ込んでしまって、姿が見えないから音だけを頼りに位置を特定しながら撃退するっていうホラーゲームなのね。当時は敵が見えないゲームってどうよ、って散々叩かれたんだけど。でも『メタルギア・ソリッド』だって、「戦っちゃいけないアクションゲームってどうよ」って批判を受けるところから始まったわけで。

 

土木田 それでも批判を乗り越えて世界レベルのヒットコンテンツになりましたね。

 

村上 そう。そしてその後に飯野さんが『リアルサウンド/風のリグレット』っていうゲームを作ったわけ。タイトルからして音を使った挑戦的なコンテンツなんだけど。

 

土木田 それも初めて聞くタイトルです。ちょっとググってみますね。

 

村上 画面検索しても何も出てこないと思うよ。真っ暗な画面しか表示されないゲームだから(笑)。

 

土木田 は?真っ暗なんですか?

 

村上 所謂ラジオドラマとして音声のみの会話劇が展開されていく形で、ある程度物語が進んだところで選択肢が示される。と言っても画面は真っ黒なんで「ピロリ~ン」て鈴の音が聞こえて、これが聞こえたらコントローラーのボタンを押してどのルートを選ぶかを決める。で、また暫くコントローラーを放置して物語に入り込む。

 

土木田 全く視覚情報に頼らないゲームなんですね。

 

村上 これ、ゲーム会社で働いてた時に結構周りで盛り上がったんだよね。まず単純にストーリーが素晴らしく面白い。そしてエンディングを迎えた後に周りのスタッフたちと「ヒロインってどんな人だった?」って話をして、プレイヤーそれぞれの中で想像で出来上がった人物像の答え合わせのようにイメージを話し合うのが物凄く楽しくて。

 

土木田 音しかないから生まれるゲーム性っていうか、そういう体験をデザインしたってことなんですね。

今のゲームってそういう感覚はないんじゃないですかね。美麗グラフィック、美男美女、豪華声優、みたいなものが求められてるし、私もそういうゲームしか知らなかったです。

 

村上 実際売ろうと思ったらそうするしかないよね。でもソーシャルゲームで画面真っ暗とか言ったら怒られる(笑)。あの当時だから通用しただけなのか…逆に飯野さんが生きておられたらどんなソーシャルゲームを作るんだろうって想像しちゃうけど。

 

土木田 逆に今『リアルサウンド』みたいなゲームを出したら新しいゲームとして流行るかもしれないですよ。

 

村上 そういう尖った企画がもっとヒットしてほしいとは思うけどね。

ちなみに土木田自身が作ってみたいゲームのイメージはあるの?将来の夢とかでもいいけど。

 

土木田 大雑把なんですけど、人を驚かせたい、人を怖がらせたい、っていう感じでジャンルを問わず人の感情を動かす側の人間になりたいっていうのが大きな目標としてあって、今まで自分がゲームとか映画とかドラマとかを見て感情を動かされる側だったので、今度は逆になりたい、というところまでですね。。目前の目標だと、コーエーテクモに就職したいなぁって。

 

村上 そういや歴史シミュレーションゲームが大好きだもんね。今回のゼミ通ヒーローズでも歴史シミュレーションについて語らせてほしいって言ってきたくらいだし。

では、これからゲーム作りだったり、ゼミリーダーとしての役割だったり、色々あって大変だけど、ぜひ頑張って下さい。

 

土木田 はい、ありがとうございます。

 

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