- 2021年9月27日
- イベント
ゼミ通ヒーローズVol.36 土木田彩と学科展について語るの巻 Part2
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
村上
今回のゼミ通ヒーローズは、3年生のゲームゼミリーダーである土木田彩さんのインタビューの続きをお送りします。
土木田彩さん
村上
前回のインタビューでは、学科展のリーダーとしての舞台裏を聞きましたが、今回は、土木田さん自身が学科展用に制作したゲーム作品について話を聞いていこうと思います。
土木田
はい、宜しくお願いします。
村上
今回は歴史超大作もののノベルゲームということで、土木田は去年もプロデュースゼミとの合同企画としてノベルゲームを作ってたから、制作のノウハウはある程度理解してると思うけど、まずは学科展用に作ったゲームの内容を説明してくれる?
土木田
はい、今回私はシナリオとプログラミングを担当し、デザイナーの入来里奈さんとチームを組んで作りました。タイトルは『悠久の夢』といって、戦国時代の戦国大名である島津四兄弟を題材にしたノベルゲームになります。
村上
島津家ということは、九州地方の?
土木田
そうですね、薩摩武士といわれる島津になりますね。で、物語は関ケ原の戦いで結末を迎えることになります。
村上
映画の『関ケ原』にも最後に島津兄弟が出てきてたな。
土木田
そうなんです。島津家が関ケ原の戦いで「前に退く」っていうえげつない戦術を使ったんですね。それが後世にも「島津ヤバい」っていう(笑)逸話として伝わってるんですけど。
村上
島津ヤバい…?
土木田
はい、徳川本陣をかすめて撤退するっていう。しかもその撤退の方法が、武将の島津義弘を守るようにして兵士たちが死ぬまで戦い続けるっていうのを繰り返しながらの撤退だったので、なかなか壮絶な退き方だったと思いますね。「島津の引き口」とか、今でも言われてます。
村上
その点に惹かれてこの題材を選んだ?王道路線でいうと石田三成とかを主役にして描きそうなものを、あえて島津四兄弟を、まあ言ってしまえばマイナーな武将に着目して超大作の物語を作ったというのは、その辺りの生きざまに感銘を受けたっていうこと?
土木田
そうですね。確かにそういった生きざまには魅力を感じました♡
謀反だったり家族同士の殺し合いが当たり前の時代に、この四兄弟は死ぬまでお互いを裏切らずに生き延びたっていう点にも魅力を感じます。
でも島津家のゲームを作ることになったきっかけは、相方の入来さんの方なんですね。彼女の地元が九州なんですけど、九州の大名…特に島津家が元々好きだったみたいで。
企画の初期段階では織田信長だったり石田三成の話も出ました。ただやっぱりその生きざまが魅力的だったことと、あとはマイナーじゃないですか。マイナーな武将にスポットを当てる機会にもなればいいかなって気持ちもありました。島津家ってよほど歴史が好きな人じゃないと名前すら知らないっていう。なのでこのゲームを通して名前だけでも覚えてもらえればっていう気持ちがありましたね。
村上
なるほどね。京都に島津製作所っていう有名な企業があるけど、ここも関係してるのかな。
土木田
それは存じてないんですけど、どうなんでしょう。
村上
島津製作所の社章と島津家の家紋が同じだもんね。後でネットで調べておこう。
で、ゲームの方の話に移ろうかな。
まず、歴史超大作ということで、このゲームのボリュームというか、プレイ時間はどのくらいを想定してた?
土木田
学科展に展示したものは短い方のバージョンなんですけど、副手の方は30分くらいやってくれてたかな。戦のシーンを極力カットして、30分から40分程度で読めるものを最終的に展示しました。
村上
それでも結構なボリュームあるよね。しかも短縮版で。
土木田
Wordで書き込んだシナリオは5万文字くらいになってたので、さすがにこれは難しいなと思って、かなりカットしました。
村上
選択肢による分岐のストーリーを含めるとかなりのボリュームになるね。
土木田
選択肢はあるんですけど、戦の視点が変わるだけで、結局ストーリーは同じになり、結末も同じになります。
村上
マルチエンディングとかそういう膨らませ方ではなく、一旦分岐するけどすぐに収束する形になってるってことね。物語の広がりを楽しませるというよりは、プレイヤーの参加意識を盛り上がるための仕掛けになってると。
土木田
そうですね。それこそ島津家の動きや流れを見せるための手段として、ノベルゲームのジャンルを選択したっていう感じです。
別にノベルゲームではなく小説でも良かったんですけど、小説だとなかなか読んでいただけないので、選択肢等のゲーム的特性を含めたり、入来さんの立ち絵が入ることで興味を示してくださる方も増えますし。
村上
ゲームとしての長所を生かして「参加できる小説」「感情移入度の高い小説」を作ったってことね。
土木田
入来さんのイラストのお陰で女性客のウケも良かったので、媒体としてゲームを選んだのは正解だったと思います。
村上
なるほど。では、これから後期授業も始まるので、この制作での経験を活かして、ターゲットに刺さる企画をどんどん進めていってほしいと思います。
土木田
はい、頑張ります♡
村上
いや、頑張るんじゃなくて楽しんでください。
土木田
はい、ありがとうございました。