キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.59 出原遥とアートビット展出品作品『あっぷあっぷ!!』について語るの巻 Part2

 

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

ゼミ通ヒーローズVol.59

出原遥とアートビット展出品作品『あっぷあっぷ!!』について語るの巻Part1の続き

 

 

村上

実際に作る上で苦労したポイントはある?

 

出原

水を扱うゲームだから重量に耐えられるかとか、そういう物理的な問題も不安材料としてはありましたね。人間が最も制御しにくいものをゲームの中に取り入れるっていう。作るだけでいっぱいいっぱいになって締め切り直前までテストができなかったっていうのもあったし、本当に大丈夫か?っていう(笑)しかもみんな何もわからない状態から始めて、つなぎを着て、ノコギリとかインパクトドライバーを持って作業をして、完成したのが奇跡なんじゃないかなって思いますね。

 

村上

いつも思うけど、君は機転が利くよね。1年の制作でもそうだったんだけども、なんか良いものを作ろうとしてただ頑張るだけじゃなくて、制作でピンチに陥った時に全部それをチャンスに変換していくっていうところが最大の強みなのかな。

例えば、ポンプで宇宙船を飛ばしてある星にくっついた後、当初の予定だともう一回ポンプを押して水圧を与えたら宇宙船がポロッと下に落ちてきてもう一回遊べる…っていうのを想定してたんだけども、思いのほか磁力が強くて水圧だけでは宇宙船が戻ってこなくなってしまったと。でもう締め切り目前でヤバいと。そんなときに落ち着いてルールを変更したよね。

 

出原

一つの宇宙船を何回も繰り返して打ち上げるんじゃなくて、宇宙船をたくさん用意しておいて、惑星にくっついたらそのまま放置して次に遊ぶ人は新しい宇宙船を打ち上げるという形にしました。そうすると、過去に打ち上げた人が無事に火星で生き延びてたり太陽で死んでたり、そういう情報が蓄積されていくので、artbit展が終わる頃にどれだけの数の屍が出来ているのか、ていう楽しみ方ができるんじゃないかって考えたんです。見た目にも面白いし。

 

村上

この考え方は素晴らしいと思ったね。締め切り直前のピンチの状況なのに、臨機応変に切り抜ける底力を見ることが出来たのが今回の制作の中でも一番印象の残ってたな。

 

出原

でも私の中では、宇宙船が取れないんだったら逆に溜めていくしかなくない?って気持ちでしたけどね。どんどん宇宙船が溜まっていって、その様子に対して意味付けをするのは作り手である私じゃなくてプレイする人なので、例えばその過去の失敗した人たちを反面教師みたいに見習うっていうテーマだと捉える人もいれば、単に取り外すのが面倒臭くてただ溜まってるだけみたいに捉える人もいると思うし。私が考えたゲームのルールに意味を付けるのはもう後付けっていうか、プレイヤーが遊んだ結果として得られるものみたいな感じで考えました。

 

村上

完璧な回答だね。そこがゲームの中の芸術性だったり現代アートとしての問いかけの部分になるわけで。答えをこっちで用意するから、その通りレールの上を走ってくれっていうゲームではないってことだね。

 

出原

もっと簡単に言うと、星にくっついた宇宙船が外れなくなってしまったなら、そこで失敗だとパニクるんじゃなくて、じゃあくっついたままにしといて、その失敗した状態が面白く見えるようにそれを生かした演出を考えたらいいじゃないっていう、それだけなんです。ネガティブな要素を全部ポジティブに変えるだけなので1ミリもヤバいとは思わなかったです。

 

村上

みんなが大変だと思ってても、「じゃあこうしましょう」って冷静に対応できる点が良いね。

 

 

出原

この間ストレングスファインダーで自分の特性とか素質をテストしてみたんですけど、その場に適用していく力が強いって出て、何となく納得しました。

 

村上

なるほどね。行動力も高いよね。春休みに一人旅でシンガポールに行ってたけど、英語は話せるの?

 

出原

中学生レベルも喋れないです。でもとりあえず何でもやってみようみたいな感じで動くことが多いですね。ちなみに来月は台湾旅行に行ってきます。

 

村上

度胸があるというかアグレッシブというか。色々経験してるからトラブルを解決できる力があるのと、その経験値がチームリーダーとしての信頼になってるんだろうね。

 

出原

褒められると嬉しいですね(笑)

そもそも私自身高校まではリーダーがやれるタイプっていうこと自体知らなかったんですけど、みんなで制作する時に色んなことをやってきて、気付いたら1年の時にチームリーダーになってて、気付いたらゲームゼミに入ってました。

 

村上

指示の出し方が明確だから人が動きやすいってのはあるかもね。

 

出原

アイデア出すだけじゃなくて、じゃあそのためにはこういうものが必要だから何月何日の何時何分までにあなたはこれをやってその間にこのあなたはこれを準備してちょうだいみたいな感じでとにかく具体的にビジョンを持たせるようにしています。

チームリーダーって、とにかく色んなことを考えないといけないじゃないですか。みんなで案出しをするけど案が出ない。出たと思ったら今度はどうやって作るかっていう物理的な問題が起こる。実験をして成功したら今度は材質とか予算の問題が発生する…。でもメンバー全員が常にフルパワーで手を動かして、ウルトラファクトリーに行ってこんなん作ってきたとか新しい素材を手に入れたとか、積極的に動いてくれたから良い感じで制作が進みました。

 

村上

仕様、スケジュール、備品、領収書の取りまとめも全部やってたから神経すり減らして大変だったろうなって思いながら、まあ何とかしてくれるだろうって放置してた(笑)

 

出原

今考えれば楽しかったですね。別にそんなに張り詰めて大変だったってわけではなかったので自分のポジティブさっていうか自己肯定感みたいなのに助けられてた感はあります。

こういうプロジェクトって、やっぱり大学でしかできないし、アイデア出しとか諸々含めてゲームゼミって感じがしてすごい面白かったです。

 

村上

これからはどんなものを作っていきたい?

 

出原

大きい会社の二番煎じよりも大きい会社があんまり作らないスペースというか、個人ならではの場所をもっと耕していくというか、そっちの方向で新しいものを作ろうみたいなのを意識しているので、良い意味で型にはまらない作品作りがしたいです。だからあんまりキャラは使いたくないって言ってました、みんなに。

 

村上

そうだね。ゲームを企画するときに構造としての面白さは何なんだっていうね。プレゼンのときはストーリーの説明とかキャラクターの設定とか後でいいから「何が面白いのか」だけを言ってくれと。ストーリーに頼った時点でゲームである必要性はないわけで。だからプリミティブな仕組みだけで面白さを吟味して、その仕組みを面白く盛り上げるためにストーリーとキャラクターで脇を固めていきましょうよ、っていうね。

 

出原

ストーリーを読むためにボタンをただ押すだけのゲームってちょっと辛いですよね…。でも私もゲームを学ぶ前まではそうでしたよ。まずはストーリーを固めようって。

 

村上

これもよく言ってるけど、スーパーマリオで遊ぶ時にピーチ姫を助けたいと思ってプレイしてるんですか」っていうそれだけの話だからね。

 

出原

確かに、ゲームしてるときにピーチ姫のことなんて意識しないですもんね。

 

村上

だから「面白い」を真剣に考えて、遊びとしてどんな体験をプレイヤーに提供するのかが重要になってくるね。

というわけで、今後も面白い作品をどんどん生み出していって下さいね。

 

出原

はい、ありがとうございました。

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