キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.59 出原遥とアートビット展出品作品『あっぷあっぷ!!』について語るの巻 Part1

 

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

村上

今回はゲームゼミ2年生の出原遥さん(以下出原)と、現在ホテルアンテルーム京都で開催中のartbit展に出品しているゲーム作品「あっぷあっぷ!」について語っていきたいと思います。

 

 

 

出原

ゲームゼミ2年生の出原遥です。普段は、ゲームプランナー…なんですけど、どちらかというとゲームプロデューサーみたいなことをやってます。企画をするというよりも、制作進行とか全体管理みたいなことが得意です。

 

村上

面白いネタを考えるよりも、リソース管理をしたり人を動かすスキルを磨く方が将来的にも有望だと思うよ。

 

出原

一年生の時にもグループでボードゲームを作って、その時も全体管理に徹してました。優秀なメンバーが揃ってたこともあって、ウルトラファクトリーのライセンスを取って結構クォリティの高いゲームができたので、それが嬉しくてゲームゼミに入るきっかけにもなりました。

 

村上

無駄なく的確な指示を出す学生だなと思っていて、ゲームの現場に向いてるなって思ってた。今回のゲーム制作でもそのスキルが発揮できてたので、メイキングも含めて話を聞いていこうと思います。

 

 

 

出原

artbit展は、簡単に言うと現代アートのゲーム性とインディーゲームの芸術性の共通点に着目した何か新しい遊びとか考え方を模索するというか、ゲームシステムが面白いかどうかというよりも、遊びっていう新しい体験を模索するような展示会ですね。「ホモ・ルーデンスの夏休み」と「夏の夜の夢」っていうテーマもあって、そのテーマに合わせて今回は作品を制作しました。

 

村上

artbit展には、ゲームゼミとしては去年から参加させていただいていて、去年は京都を題材にしたシリアスゲームを制作したのに対して今年はよりartbit展の主旨に近づけていこうという狙いで企画を進めていったね。

 

出原

そうですね。ゲームのシステム作りとか勝敗の駆け引きに凝るよりも、触れた時の面白さとか、そこで何を感じるのかっていう体験者への問いかけのような、現代アートとしての側面が強い企画になってると思います。

 

村上

今回はゼミ生11名を二つのチームに分けて、ハーバリウムを使った花組と、宇宙を題材にした星組で二つのゲームを作ったね。宝塚歌劇団みたいなネーミングだけど、今年はゼミ生が全員女子だからしっくりきてる。

 

 

出原

今回制作した「あっぷあっぷ!!」は、ウォーターゲームを基礎として作った作品なんです。

 

村上

ウォーターゲームって言ったら、昔からある、ポンプを押して水圧で動かして輪投げとかをするようなゲームだね。

 

出原

はい、今回の企画を一言でいうと、宇宙船を飛ばして火星に到着すればオッケーというウォーターゲームです。地球の地面に宇宙船があって、ポンプを押すと水圧で宇宙船が飛びます。で、宇宙船にも星の中にも磁石が入ってて、宇宙船がどこかの星にくっつきます。このとき火星につくと「移住成功」ということになるんですけど、火星以外の星、例えば太陽とか金星に着陸したら…死亡です。なので、とにかく慎重に動かして火星に行ってくださいねっていうものになります。

 

 

出原

宇宙から想像できる言葉として、重力、引力、特殊相対性理論みたいな話が出てきて、みんなで映画の「インターステラー」の鑑賞会をして、そこからゲームの着想を得て構想を膨らませていきました。それで、地球を脱出して他の惑星に移住するという設定から、自分たちの居場所について考えるというテーマになっていきました。

それまでは企画が難航して二転三転して、織姫と彦星をモチーフにしたり、その両者の時間のズレについて掘り下げたり、色々考えたんですけど、映画を観てからはわりとすんなりイメージが固まっていきましたね。

 

村上

アナログゲームって空間とか物語は意識するけど、時間の概念を意識して作ったゲームって少ないよねっていう話が出てたね。地球上から見ると織姫と彦星は年に一回出会ってるけど、そうではない時間の流れが彼らの中にはあるんじゃないかと。織姫と彦星と特殊相対性理論を掛け合わせて、時間のズレの面白さをヒントに何か面白いことできないか、とか。

 

出原

特殊相対性理論の話はゲームに反映されてないですけど、ちょっと未来のことも考えてもらおうみたいな感じで時間の要素は意識してます。

最初はゲームシステムを詰める方向で考えていて、もっと直感的に楽しめて更に考えさせられるものを作ろうってなった時に「ウォーターゲーム」っていう案が出て、そこからは急にスムーズに話が進みました。

ゲームを作るとなったら勝敗の条件とか駆け引きの仕組みを先に考えて、そこにストーリーの展開をどう組み込むかって考えるんですけど、その既存の考えを全部捨ててもっと広い視野で見ようってなりました。見る人によっては「なんだこれ」っていう可能性はありますけど。

 

Part2に続く

 

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