キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.58 鎌田楓とアートビット展出品作品『Flower Spread』について語るの巻

 

 

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

村上

今回は、現在ホテルアンテルーム京都で開催中のイベント「artbit展」にゲームゼミとして作品を出品した2チームのうちの1つ、『Flower Spread』について、チームリーダーの鎌田楓さん(以下鎌田)に聞いてみたいと思います。

 

鎌田

ゲームゼミ2年生のリーダーをやっています、鎌田楓です。

私は、ゲームに触れてたいなって気持ちで勉強をしていて、ゲームのプランニングについてはデジタルでもアナログでも、楽しければ何でも良いと思っています。

 

村上

今回はartbit展に参加させていただくことになって、そこで出品するためのゲーム制作を行ったので、その作品についての紹介をしていただこうかと思います。

 

鎌田

まず、今年のゲームゼミ2年生は11人いるので、それを5人と6人のチームに分けて二つのゲームを制作しました。私たちが作ったのは「Flower Spread」というタイトルのボードゲームになります。2チームもしくは4チームに分かれて戦い、ボード上に花を広げていって、相手のキングを奪った人が勝ちとなります。

 

村上

要は将棋に近い遊び方ってことだよね。

 

鎌田

そうですね。将棋と違う所としては、コマを移動させていくのではなく、増殖させていくっていうところです。

最初に「つぼみ」を置くんですけど、次の手でつぼみをレベルアップさせて花を咲かせるのか別のつぼみを配置するのかを選びます。また、相手の花を一回つぼみにレベルダウンさせることもできるし、「雑草」を配置して相手がそのパネルに対して何もできないように邪魔をすることもできます。とにかく自分の陣地に攻め込まれないようにしながら、自分は相手のところに攻め込んでキングを取るというルールになってます。

 

村上

その中の見せ場ってどこ?

 

鎌田

ボードのビジュアルが、最初は何もない状態のときは色がなくてちょっと殺風景なんですけど、カラフルな花のコマが置かれていくにつれてどんどん賑やかになっていくんですよ。

見た目はそんな感じなんですけど、ゲームの展開としては、例えば4人で対戦をしてるときに、ヤバい勢力がいた場合に協力して倒そうとするんですよ。

 

村上

ヤバい勢力っていうのは具体的には?

 

鎌田

例えば一人だけ守りがガチガチで更にそれが広がっていくような状態ですね。そうなると残りのチームでこれに対抗して何とか潰さなきゃいけないわけで、じゃあ今は休戦してそっちのチームを先に倒さなきゃいけないよねっていう状況になったとかがあるんですよ。

 

村上

手を組んだり裏切ったり、そこに駆け引きもあって面白いと。

 

鎌田

そうですね。守りも攻めもずっと考えつつ攻めなきゃいけないんですけど、常に頭を使ってる感じが凄く面白いです。

 

鎌田

企画は最初の頃はかなり難航しましたね。「再会」というテーマだったり、「夏の夜の夢」だったり。色んな要素を盛り込んで、とにかく楽しいゲームを作ろうと進んでいきました。

企画段階ではとりあえず皆でワードをたくさん出してみて、そこからどういうゲームにしたいのかっていうのを考えていこうってなって、全員で共通してたのが「綺麗なもの、美しいもの」を前面に出したいっていうのがありました。

 

村上

ハーバリウムの画像を見ながら、凄く綺麗だし、これを使って何かできないかって話になったね。

 

鎌田

そうですね。チームメンバーの中でハーバリウムを作ったことがある子がいたので、それを見ながら企画を練っていきました。手触りとか重量感とか光の透過具合とか、色々見ていきました。次にその中身をどうしようっていうのが一番大きくて、とりあえず個人個人で一旦ゲームの企画を作って持ち寄ったんですよ。

花から派生したアイデアとして、雑草とか虫とかの要素が出てきました。虫なら受粉とかもゲーム要素として盛り込めるんじゃないか、とか。更に雑草の要素がジョーカー的な意味合いを持っていて場を荒らしたり。そんな感じでゲームとしての要素を煮詰めていきました。

 

村上

そこでartbit展のテーマとして「ホモ・ルーデンスの夏休み」が掲げられていたから、そこに結び付けようという話になって、ホイジンガが提唱する遊びの原点に立ち返って考えようと。そこで人間の基本本能と掛け合わせて、生存本能としての領地拡大をゲームの基本ルールに据える形になったね。

 

鎌田

そこで野生的な要素が加えられないかとも考えました。弱肉強食といった方が自然かもしれないですけど。

 

村上

このゲームの場合は弱肉強食も当てはまるけど、どっちかというと権力誇示の意味合いの方が強いかな。要はその領土の拡大を通して自分をアピールするためには、より多くの敵を倒して自分の権力を誇示する人の本能というか狩りの本能みたいなものを軸にした方が面白いんじゃないか、という話になっていったね。生存のための遊びっていうところが一番近いのかな?ホイジンガの言う遊びの原点にも共通するし。

 

鎌田

自分が領土を拡大させる上で、一方向だけ詰めようとしてたら自分が詰められて負けちゃうんですよ。だから全体の動きに気を遣いながら自分も守って勝たなきゃいけないっていうのがあって、そういう個人的にいろんなものに目を向けるっていうのも面白いかなって思ってます。

 

村上

このゲームを制作する上で苦労したポイントは?

 

鎌田

とにかく簡単なゲームにしようって考えてたんですよ。

 

村上

簡単といっても、ルールを覚えるのが簡単ってことなのか難易度が低いっていう意味なのか、それはどっちの意味合い?

 

鎌田

ルールを覚える方ですね。

 

村上

最初の企画段階では遊びの手数としてはオセロと将棋の間ぐらいかなっていう話もしてたよね。

 

鎌田

そうですね。なんかそのゲームとして楽しくなることを考えてたんですよ。そしたらこれじゃこうなって面白くないよね?みたいなアラがどんどん出てきて。

 

村上

ゲームというより単純作業になっちゃうってこと?

 

鎌田

単純作業になったり勝負がつかなかったり。それじゃあダメだよねっていうのが多くて。結果的に出来たのがこれなんですけど。実際にテストプレイをして、こういうのも説明しなきゃいけないなって思うこととか次々に出てきました。

 

村上

まあアナログゲームって説明がすごく難しくて、一回目のプレイでは「この場合どうしたらいいんですか」って聞いて、「こういうときはこういうことは出来ません、でもこれは出来ます」とか言われながら遊ぶよね。ゲームの流れは分かるんだけど、まだ「面白い」っていうところまで行かずに終わることが多い。このチームは皆で「カタン」で遊びながら交流を深めていったけども、あの「カタン」でさえも一回目のプレイでは覚えることが多すぎて全然面白くない。ほとんどの人が3~4回繰り返すうちに戦略性が見えてきて、先の展開を予測しながら遊べるようになってやっと面白いと感じられるようになる。これはもうある程度アナログゲームの宿命と捉えていいんじゃないかなとは思うけどね。

 

鎌田

実際の制作工程の中では、華やかさを出したかったから、そこはかなり気を遣いましたね。

ハーバリウムの中の花を水に漬けるのかオイルに漬けるのか、とか。それによって造花の色が落ちて水と混ざって違う色になっちゃったりするので。今回は造花を使ったので水に漬ける形にしましたけど、例えば黄色とか青とかめちゃくちゃ綺麗になったんですけど赤と紫がほとんど同じ色になっちゃったとか。

キングはその上に宝石みたいなものを使って王冠を作ろうってなったからめっちゃいいものになったなって思ってます。

 

村上

ゲームゼミの今の2年生は全員女子ということで、それぞれが普段使ってるようなアクセサリーやらメイク道具を持ち寄って、メイク道具のこれが使えるんじゃないかとか、日頃集めてるアクセサリーだったり意味不明なキラキラするやつ(笑)とかをうまいこと組み合わせながら議論が進んでいくのが新鮮だったな。男子だけのチームだったら絶対出てこないアイデアばかりだから、女子だけのチームならではのゲームといえるかも知れないね。

 

鎌田

まあ、かわいいとか綺麗を全面に押し出してます。

 

村上

見た目は可愛らしくて綺麗なんだけど、実際に遊んでみたら結構骨太なゲームになってて、ボードゲームが好きな人だったらハマれるんじゃないかな。

今回作品をホテルアンテルーム京都のBARカウンターに展示させてもらうことになって、照明効果なんかも相まって凄く綺麗なビジュアルに映るから、お酒を飲むつもりでカウンターに座って、とりあえず何かよくわかんないけどこのゲームに触ってみようっていう気にはなるかもしれないね。

 

鎌田

はい、まずは一個一個手に取ってじっと見てほしいなとは思います。すごく綺麗なので。あと、こういうプレイをしたらもっと強くスタートできるんじゃないかなとか、将棋みたいにちょっと定石とかを考えながらプレイしてみてほしいなって思います。とにかく考える楽しさを味わってほしいです。

 

村上

というわけで、今回は鎌田楓さんに話を聞きました。では後期もぜひ頑張って面白いものを生み出していって下さいね。

 

鎌田

はい、ありがとうございました。

 

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