『僕は奇跡しか起こせない』〜わたしのお気に入りの本【学生ブログライターによる執筆】

2024年3月7日
日常風景

こんにちは、文芸表現学科です！

日々、ことばの表現や可能性について学ぶ本学科の学生たちは、いつもたくさんの本を読んでいます。

授業で扱うものはもちろんですが、それ以外のときでも、いつも鞄の中には何かしらの書籍が入っている、というのは、文芸表現学科生あるあるなのです。

そこで、KUA BLOGでの新企画！

「わたしのお気に入りの本」紹介をはじめます！

記念すべき第一回目は、学生ブログライター4年生の生方春佳さんにお気に入りの一冊を紹介してもらいます！

学生ブログライター４年生の生方春佳です。

みなさんは、どんなときに本を読みますか？

わたしは夜寝る前や電車に乗っているときに読書することが多いです。読書をすると日常から離れた世界にいる感じがして、時間を忘れて読んでしまいます。

今回は、そんな私のお気に入りの本をご紹介します。

『僕は奇跡しか起こせない』

著者：田丸久深

出版社：宝島社

発売日：2015年7月4日

宝島CHANNEL：https://tkj.jp/book/?cd=72438001

～あらすじ～

主人公の紗絵は、十歳のときに幼なじみの真広を突然失います。しかし亡くなったはずの真広は、養護教論として働いている紗絵の前に「キセキ」となって現れます。「キセキ」は人々に幸福をもたらす存在。この世で起こる奇跡のほとんどが、じつは「キセキ」たちがこっそり手助けすることによって起こっています。

なぜ真広は「キセキ」となって再び紗絵の前に現れたのか？　彼が最後に起こす奇跡とは？

いろんな想いが交差する、切ないラブストーリーです。

第10回日本ラブストーリー＆エンターテインメント大賞・最優秀賞受賞作。

私がこの本と出会ったのは、高校生のときです。本を買うとき表紙やあらすじを見て決めるのですが、この本はタイトルに惹かれて購入しました。「キセキ」というファンタジーな存在がどのように人と関わっていくのか、とてもワクワクしながらページをめくったのを覚えています。

「キセキ」となった真広の姿は紗絵にしか見えていません。そのため、紗絵は奇跡の瞬間を何度か目撃します。たまたま窓の外に手を出したら落ちてきた携帯をキャッチしたり、告白の成功に立ち会ったり。奇跡は小さいものから大きいものまで。紗絵は次第に奇跡を探すことが楽しみになっていきます。

そして真広が姿を現すのは、決まって雨が降っている日。天気が雨だと気分が落ち込んだり体がしんどく感じたりしてしまいがちですが、雨の日に奇跡が起こると思うと自然に心が晴れやかになります。雨というマイナスなイメージが持たれやすい言葉と奇跡というポジティブなイメージが強い言葉を合わせているのが、とても素敵だなと読んでいて思いました。

そしてこの物語は会話が多く、登場人物の心情に寄り添いながら読み進めることができます。章ごとにメインになる人物が変わってくるので、一人一人に感情移入しながら読んでいくととても楽しいです。幼なじみならではのやりとりや高校生の青春を感じさせる会話などなど。登場人物の関係性がより見えてきて、世界観に引き込まれます。

物語が後半に入ると、紗絵と真広の間に不穏な空気が入ってしまいます。大切にしたい人だからこそ本当のことが言えずに関係が悪くなってしまう。読んでいるともどかしさを覚えてしまいます。しかし最後まで読むと、ここがこれに繋がるんだ！この人はこう関係していたんだ！、と驚かされるばかり。物語のすべてが繋がったとき、とても感動して泣いてしまったことを今でも覚えています。

ファンタジーが好きな方や友情物語が好きな方におすすめしたい一冊です。気になった方はぜひ読んでみてください！

（学生ブログライター／４年生・生方春佳　鹿島学園高等学校湘南キャンパス出身）

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