- 2026年5月13日
- ニュース
【クロステック】身の回りの見え方が変わると、植木鉢一つでも一生楽しめるようになる話。
クロステックデザインコース / Podcast「クロスラジオ(くろラジ) 」#01
── 白石晃一先生 × 牧田先生 インタビュー
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クロステックデザインコースに新しく着任した牧田先生が、コースのことを本気で知るために始めたポッドキャスト「新任教員がゆく」。
第1回のゲストは、プログラミングからデジタルファブリケーション(レーザー加工機・3Dプリンターなど)の授業を担当している白石晃一先生です。
「白石先生の授業も専門も、正直まだあまり知らないんです」と話す牧田先生が、素直に聞きたいことを聞いていくスタイルで進むこのPodcast。
今回はその中から特に面白かった場面をピックアップしてお届けします!
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▲左:白石晃一先生、右:牧田恵里先生
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どんな授業をしているの?まず基本から聞いてみた
白石先生が担当する授業は、ひとことで言うと「ソフトウェアからハードウェアまで」。その全体像を牧田先生が確かめるところから会話がスタートしました。
牧田先生: 早速なんですが、白石先生って今クロステックでどんな授業をされているんですか?
白石先生: プログラミングの部分を担当したり、パソコンを使ったデザイン作業を導入的に学生と一緒にやったりしています。それからクロステックはプロダクトデザインのコースなので、形のあるものを作るためにデジタルファブリケーション機器——レーザー加工機とか3Dプリンターを使った授業もやっています。
牧田先生: プログラミングというソフトウェアの部分から、実際にハードとして表現するところまで、一通りやられるんですね。
白石先生: そうですね。道具を作っていくことが目的としてありつつも、実際に稼働させてみてどうなのか、というところをとても重視しています。コンセプト通りになっているか確かめるための「試作」ですね。ソフトウェアもハードウェアも関係なく、手に触れるものから形のないものまで、試作をしていくところを授業では担当することが多いです。
デジタルファブリケーションとは? :コンピューターのデータをもとに、レーザー加工機や3Dプリンターなどの機器を使ってものを作る技術。かつては工場でしか使えなかった加工が、近年では個人や学校でも扱えるようになってきた。
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「3Dプリンターで陶芸」って、どういうこと?
試作の話から自然と広がったのが、これまで学生が生み出してきた作品の話。3Dプリンターというと樹脂やプラスチックをイメージしがちですが、白石先生が紹介してくれた事例は少し違いました。
牧田先生: 試作ってテンション上がりますよね!これまで学生からどんなものが出てきているんですか?
白石先生: 卒業制作が一番わかりやすい例なんですが、2年前に卒業した学生が3Dプリンターを使って陶芸をやっていましたね。最近3Dプリンターも試作機としてパッと使えるものから、工芸的な使われ方ができるものが出てきていて。その子は粘土を注射器みたいにニューっと出せるプリンターを——ちょうど研究費があったので買ってみたんです——一緒に使ってみようと声をかけたら、それがそのまま卒業制作の作品につながって。
牧田先生: すごい!そんな3Dプリンターもあるんですね。素材って、樹脂とかかなと思っていたんですけど……。
白石先生: プラスチックが基本なんですけど、建築用でコンクリートを出せるものも近年実用化されつつあって。あと金属溶接機を使って、金属をソフトクリームのようにニュニュっと積み重ねながら形にしていく、というチャレンジをしている人たちもいます。オランダではそれで橋が作られているんですよ。
牧田先生: 橋!? それはすごい。うちの学生でも、陶芸以外に特殊な素材を使った子はいるんですか?
白石先生: 特殊なものはうちでは陶器が唯一かな。ただ最近は外注でいろんな素材が選べるので、「3Dモデルを設計する技術はあるけど実際に出力したことがない」という学生が、卒業制作のタイミングで初めてプリンティングしてみる、ということはよく起きます。
授業でCADを使って設計図を書いて3Dモデルを作ることはやっているので、あとはやってみるだけ、という感じで。芸術系の大学って「自分で作ることが正義」みたいな雰囲気になりがちなんですよね。僕自身もそういう風土の中で芸術系の大学を卒業したんですけど、現実的に考えると、自分で作りきるというのはむしろ最後の手段というか。頼めるところは頼んでしまおう、というのがありきだと思っていて。
デジタルファブリケーションを使った授業でも、自分で作ることでの発見ももちろんあるんですけど、外注という選択肢もあるよ、ということは伝えています。卒業制作になってくると、自分で出力することを頑張る子もいれば、そこは人に任せるという子もいて。
牧田先生: でも、自分で作れるとか作り方を知っていると、外注もしやすかったりしますよね。的確に依頼できるというか。
白石先生: それはそうですね。こんなふうに作ってほしいという指示の出し方もそうだし、実際に自分で作った経験があると「ここ失敗しそうだな」「ここは弱いな」というのが設計の段階でわかるんですよね。だから自分で作る経験をしておくことは、外注する時にもちゃんと活きてくる。
牧田先生: 卒業制作でそれぞれのやり方につながっていくんですね。
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「足で稼いだデータ」が、街の見え方を変えた
続いて話題になったのが、白石先生が1年生の授業で大切にしている「リサーチ」と「記録」。ある学生のエピソードが、クロステックの授業の核心を教えてくれました。
牧田先生: 授業の中で、最近一番「おっ!」となった学生の反応や成果ってありますか?
白石先生: 試作だけでなくリサーチ、調査をすることを1年生から大事にしていて。その最初のステップとして記録を取ることから始めるんですが、集めてくる記録がなるべく「独自なもの」であってほしいとお願いしているんです。インターネット上には落ちていない、その人本人にしか取れないデータ、というイメージですね。
牧田先生: その人本人にしか気づけなかった、みたいな?
白石先生: そうです!2年生の進級研究・制作で、プライベートな空間とパブリックな空間の境目を調査したいという学生がいて。その2つの間にはグラデーションがかかっているはずだという仮説のもと、その場所がどんなふうに活用されているか、どんな性質を持っているかを自分の足で歩き回って集めて、地図にプロットしていったんです。やってみると想像通りのこともあるんですが、見えていなかったものもたくさん出てくる。
牧田先生: 見えていなかったもの、たとえばどんなことが?
白石先生: 公益性の高い取り組みだと思っていたものが、実は個人発信だったとか。行政が頑張っていないわけじゃないんだけど、住んでいる人たちが自分たちで自発的にすごく動いているというのが地域として見えてきたりとか。そうするとその土地の見え方がまるっきり変わってくるんですよね。
牧田先生: 素敵!その学生、実際にやってみて自分の中で変化はあったんですか?
白石先生: 「目配りするようになりました」って言っていましたね。これまで気にしていなかったものに気づくようになって。「この辺にベンチがありそう」「仮設のゴミ箱がありそう」というのが歩きながら想像できるようになったと。目が良くなるとか腕が伸びるとかそういう話じゃないんですけど(笑)、身体の感覚が変わった、という感じで話してくれていました。
牧田先生: 私も学生時代にそんなふうに見られるようになりたかったな〜。その授業で学生に気づいてほしいことも、まさにそういうことなんですか?
白石先生: そうですね。別に公共空間じゃなくても、解像度を上げて身の回りを見たり聞いたりできるといいなと思っていて。その辺にある植木鉢一つ見ても、鳥が止まっている木を見ても、解像度が高ければ一生楽しめると思うんです。根源的なことを言うと、多くの人が気づけなかった何かに自分は気づけて、それをデザインの分野として他の人と共有していく。気づけなかったものを、ほかの人が再利用できるように、同じように体験できるようにしていく。そこが重要なのかな、と。
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続きはPodcastで!
今回紹介したのはほんの一部。Podcastのフルバージョンでは、この後もまだまだ話が続きます。
- ・白石先生がクロステックデザインコースの先生になるまでの話
- ・白石先生がファブラボ大阪を共同設立した話
- ・そして……クロステックコースを「一言で表すとしたら?」への答え
ぜひPodcast「クロスラジオ(くろラジ) 新任教員がゆく」#01 を聴いてみてください!
▶ クロスラジオ(くろラジ) #01 を聴く(Spotify)
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※ この記事は Podcast「クロスラジオ(くろラジ) 」第1回の内容を一部抜粋・編集したものです。
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第3回:8/6(木) 18:30-19:30
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クロステックデザインコースの最新カリキュラムや進路について紹介|先生によるコース紹介動画2023
クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー
京都芸術大学クロステックデザインコース公式ページに、授業内容の詳細を掲載中!
ぜひそちらも覗いてみてくださいね!
クロステックデザインコースでの日々の授業風景、
イベント等はtwitterとInstagramで日々更新中です。
ぜひそちらもチェックしてみてください!


