こども芸術学科

卒業生リレーメッセージ5:薮内都さん|学生紹介


京都造形芸術大学 芸術表現専攻修士課程:薮内都さん(1期生)



1期生リレーメッセージ!今回は、大学卒業後、大学院に入学、現在修士課程2年の薮内 都さんです。薮内さんは、障がい者施設での活動も行いながら、制作・研究をすすめられています。では、薮内さんどうぞ!

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こんにちは。こども芸術学科一期卒業生の薮内都です。

卒業生と言っても、まだ在学中の私ですが…。一期生のみんなや、お世話になった(現在もお世話になりっぱなしの!)先生方、後輩の皆さん、そしてまだお会いしていないこのブログを見て下さっている方のことを思い浮かべながら書いていこうと思います。

薮内都さん1

さて、先ほどおはなししたとおり、私は現在、京都造形芸術大学の大学院に在籍しています。
芸術表現専攻、情報デザイン領域で、コミュニケーションデザインを専門に研究・制作を行っています。

コミュニケーションデザインと聞いて皆さんの頭の中にはどんなことが思い浮かぶでしょうか?
色々なことを想像されるかもしれませんが、私の対象は社会福祉です。とくに障がいのある方たちにとってのコミュニケーションデザインについて学んでいます。「芸大で福祉?」なんて質問にも今ではすっかり慣れました。私が今のテーマで制作を始めたのは、学部の3回生のちょうどこれくらいの時期からです。
三回生までに3度の保育実習経験や、学内のワークショップを軸にしたプロジェクトに参加してきたことが、現在のテーマに大きく影響しています。

卒業制作作品を決めるときに、学科の卒業生として、自分自身が学んできたこととは何かと随分思い悩んでいた時期がありました。
当時のゼミで、「考えるより動きなさい!」と繰り返し言われていたのをよく覚えています。その時に思い浮かんできたのは、保育実習やプロジェクトで必ずひとりはいた、体や知的に障がいを持ったこどもたちでした。
彼ら、彼女らは、単純に接していて楽しい気持ちにさせてくれたことが印象的でした。
そして施設の方針や保育士やプロジェクト内のスタッフの接し方によって、こどもたち同士の彼らへの接し方や、その場の空気に違いが出ることを興味深く感じていました。障がい者理解や人権の尊重は、身近なおとなたちによって構築されていくのだと痛感した瞬間でした。
障がいのあるひともないひとも、偏見なく居心地のいい空間や環境を提案したい。そしていずれやってくる自立を支援したいと思いはじめたのが、卒業制作からの現在のテーマに繋がっています。

薮内都さん2
薮内都さん3

こども芸術学科という学科は、アートやデザインの側面と、保育や福祉の側面を包括した立場にあると思っています。
それらの根底に、一個人を尊重することや、ひととのつながりがあることに気付いた時、私のやるべきことへの視界が開けたように思います。
考えるより、とにかく動く!その頃から通い始めた東大阪の「生活介護事業所いっぽ」には、今でも週に一度通わせて頂いています。
ここで、季節の変化や天気ひとつでもカタチを変えていく利用者さんたちのこころの移ろいに気付き、現場に立つことの大切さを教えてもらいました。

そんな経験を経て、私の合い言葉のようになっているのが、「現場主義」であること!
障がい者福祉において、様々な前例やケースは存在しますが、やはり「今、目の前にいる、ひとり」は誰にも似てない唯一無二の存在です。
そんなひとりひとりを大切にしながら福祉のカタチをデザインしていくことが、私自身の役割であると感じています。
モノではなく、コトを作ることの面白さとやりがいは、こども芸術学科での4年間がなければ見出せなかったと思います。

現在は情報デザイン領域に所属していますが、卒業してからの方がより強く学科性を意識するようになりました。
学科にいるときは見えてこなかったようなことが、他分野の人たちとの関わりの中で、浮き彫りになってきたりします。

私の今のメインの活動は、poRiffという福祉施設で生まれた商品のコーディネートを通して、障がい者の社会参加と自立支援を提案することです。
具体的な仕事としては、全国の取扱店舗への商品の納品や検品、百貨店での出店やWSの進行、ギャラリーやショップでの企画プロデュース、施設や団体への提案・プレゼンテーション等、本当〜〜〜に色々とあるのですが、poRiffを制作してもらっている作業所には定期的に通い、制作現場での様子を見失わないよう意識しています。
すべては現場で制作してくれている皆さんやスタッフさんなしには成り立たないことですから!と言うと何だか月並みですが、現場にいる皆さんの、がんばったりやすんだり、何だかうまくいかなかったりな日常を共有しておきたいと言う思いが強いです。
これが現場に立ちたい一番の理由かもしれません。

薮内都さん4

…とっても長くなってしまいました!

まだまだ未熟な私ですが、こんな私をここまで運んでくれたきっかけは、一歩外に出ることから始まりました。
様々な出会いから当たり前の日々を顧みて、小さな気付きを見つけたとき、ありふれた日常が鮮やかな色を持って動き出すと思います。最後まで読んで下さってありがとうございました!皆さんとどこかで御縁が繋がることを楽しみにしています♩

薮内都

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(浦田雅夫/子ども家庭福祉・心理臨床)

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