- 2015年2月18日
- イベント
【卒業展】4回生にインタビュー
今週末からの卒業展に出展する4回生の一人、神田真巳子さんのインタビューを紹介します。
小津安二郎の映画についての研究を行った神田さん。
卒業展の展示も、ちょっとしたシアタールームになっています。
―まず、卒業論文の内容について教えてください。
小津安二郎監督の映画研究に取り組んでいます。小津は娘の縁談を主軸に親と子の精神的葛藤を何度も描いています。そして、そのなかで特に、同じ配役、同じ 場面を作品を越えて繰り返し使用しているという特徴が目を惹きます。私はそれを「類似反復」と呼び、そうした場面が映画にどのような意味を持たせているの かを研究しています。
―小津安二郎のどのようなところに惹かれたんでしょうか。
小津映画は、淡々とした日常風景が映し出されている作品だと言われていますが、私は逆で、むしろ日常と切り離されているような距離を感じました。小津は情動に頼るような役者の演技を極力排除しているので、その結果、画面の前にいる私たちに感情移入させてくれません。
そして、躍動のないカメラワークと物語展開は、私たちにストーリーの中にのめり込む余地を与えてくれず、こうした表現をみるたびに、私は「この映画を一歩引いたところで見ているんだ」と感じ、その言いようのない距離感に惹かれます。
―では、どの作品が一番お好きですか。
どれも好きですが、遺作の『秋刀魚の味』ですね。娘の縁談がメインに描かれた作品で、娘が嫁いだ後に、父親扮する笠智衆が「ひとりぼっちかァ…」と呟き、軍艦マーチを口ずさむ場面が印象的です。
―論文を書く上で気をつけていることはありますか。
論文って自分の考えを自分の言葉で表現するじゃないですか。でも、情けないことに自分の乏しい語彙力だけでは限界があるので、論文を書く前に司馬遼太郎の小説を読んで、その表現や読み心地を参考にしています。
あと、紙の国語辞典も必ず使用するようにしていて、使いすぎてこの前ページが剥がれました。