こども芸術学科

自然豊かな西会津研究旅行(Aゼミ)の報告です!

2015年7月25日から30日まで、Aゼミの学生と教員で福島県の山間部の西会津に研究旅行で行って来ました。(Aゼミとは、こども芸術学科で3・4回生になると、A・B・Cのゼミに分かれて研究を深めて行きます。各ゼミには2名の教員がいます。Aゼミは、美術家の村山と臨床心理士の浦田が担当しています。)今回の研究旅行は、森のはこ舟アートプロジェクトの西会津エリアに村山が昨年から参加していたことを切っ掛けに、学生(3名)に西会津や芸術村の良さを体感してもらいたいと考え、京都から遠い東北の地に行くことになりました。kogakuDSC_0006

西会津の奥川地区のかなり奥深い所で撮影しました。人があまり入っていない山が、自然な形として見えてとても素晴らしいです。ただ、この周辺にはいわゆる限界集落があり、何軒か残っていたお家も山を下りるとのことです。自然は豊かですが、若い人もいなくなり、年配の方だけと病院などに出るのに時間がかかり現代の社会状況の中では厳しい環境であることは確かです。

 

今回の研究旅行の第一の目的は、東北の自然豊かな環境に抱かれながら様々な活動を介して感性を磨くことです。滞在中は、西会津の保育所で学生が主導してワークショップを行い、国際芸術村主催のワークショップのお手伝いと地元の方との交流、西会津町のフィールドワークなども行いました。

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滞在の拠点は、西会津国際芸術村です。ここは、雰囲気のある木造の中学校の校舎です。中学校が廃校になりその校舎を生かす形で、芸術村として生まれかわり海外からアーティストが滞在制作を行ったり、様々な企画展やワークショップなど展開しながら地元の方とアーティストが交流する、コミュニティアートセンターです。

企業がつくった箱ものスペースではなく、元々あるものを使い、地域の方々に寄り添いながら芸術を介し、新たな価値を生み出そうとしているとても素敵な場所です。近代的で十分な設備があるわけではありませんが、芸術村こそ、それを凌駕する根源的で社会と人と芸術と自然を結び、多くの本質的なことを学べ感じることが出来る、現代社会のこれからのトレンドとなる場なのです。kogakuDSC_2223

 

今回、参加した学生はまず、地元の親子が参加する芸術村主催のワークショップのお手伝いをしました。内容は、ドラム缶窯でピザをつくったり、陶器の笛をつくり、籐細工でえんぴつ立てづくりなどをサポートしました。盛りだくさんな内容で、地元の方々との交流も出来、有意義な時間を過ごしました。

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二日目は、地元の群岡保育所で14名(全員で16名ですが、今回来ていたのは14名でした。)のこども達に、学生が先生となり自然物で絵を描くワークショップを行いました。まず、筆代わりにする葉や枝をこども達が園庭で集めました。

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上の子が下の子を助ける場面や、気にかけているところを何度も見ました。とてもいい雰囲気でした。

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絵具は、手で触れても安全な天然塗料の柿渋と墨渋を使い、布に自由に描いてもらいました。はじめは恐る恐る描きはじめましたが、時間が経つにつれてダイナミックに葉を使いはじめ、自然に工夫しながら、とても素晴らしい作品になりました。作品は、芸術村に展示しています。柿渋は、時間と日光に照らされると色が濃くなるため、展示期間中絵の色彩が変化して行くことになります。

 

このワークショップの様子は、地元のローカルTVで放映され、新聞(福島民報)にも掲載いただきました。kogaku群岡保育所新聞掲載

ワークショップ前日は、遅くまで準備をしたようで、手遊び歌でこどもの心をつかむところから、制作につなげてとても手際がよく、こども達の純粋でのびのびした制作を引き出せている様子を見て、いいワークショップになりました。こども芸術学科では、京都の地で子どもや社会と関わることを行って来ているので、堂々と自然に、子ども達と触れ合うことが出来ていて、さすがこども芸術学科の学生だと誇らしく思いました。

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群岡保育所の出入り口から見える風景です。冬は、雪も多く厳しい環境もありますが、東北の豊かな自然は日本の原風景を見るようです。

ワークショップ後のお昼に、地元の美味しいお蕎麦屋さんに芸術村のスタッフさんに連れて行ってもらい、ツヤツヤのおそばを頂きました。地元の食材を現地でいただくと、その地域をより理解出来ます。

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作品は、芸術村で展示しています。素晴らしい作品です。(福島に来られる際は、是非見に来てください。)

kogakuDSC_4828西会津の街を、時間があいた時にフィールドワークしました。学生は、京都より空が大きいと感動していました。また、地元の方とよくお話をしたようで、皆人が優しく話し好きな方が多いようで地元の方との交流を深めました。

 

※実は、ちょうど研究旅行中芸術村では、京都造形芸術大の工芸科などの大学院の卒業生が、「C塾」として西会津での活動を数年かけて展開する一つのプロジェクトで、滞在制作をしていました。昨年まで、芸術村に京都に関係する人はほとんどいなかったのに、今回は西会津にて社会に出ている先輩とこども芸術学科の在学生で交流も出来ました、これも何かの縁と思います。こども芸術学科の学科長の森本先生が、以前工芸科にいる時に教わっていたアーティストも2人いて、とても親近感が沸き、またどこかでつながるといいですね。

 

限界集落のある地域の中、こどもの存在はとてもとても貴重であって、自然豊かな環境下で生きているこども達の顔や目の純粋性を、学生も見て感じるものが 多々あったのではと考えます。また、芸術村ではたらくスタッフの皆さんが、力を合わせて切実にたくましく生きている姿勢を見て、こちらも感じるものがあったと思います。とても充実した、研究旅行になりました。

 

村山修二郎(教員)

 

 

 

 

 

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