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2016年12月21日  ニュース

卒業生井上さん「URTRA AWARD」最優秀賞受賞コメント

先日「ULTRA AWARD」最優秀賞を受賞された、卒業生の井上亜美さんよりコメントが届きました!

 

井上亜美さんコメント

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私は、こども芸術学科を2014年に卒業し、今年の3月に横浜の大学院を修了しました。4月から京都のスタジオで制作できることになり、また京都に戻ってきました。

今回の展示は、京都に戻ってから最初の展覧会になります。

 

「ウルトラアワード」は今年で6回目となる京都造形大の学生と卒業生を対象としたウルトラファクトリー主催の展覧会で、学部生の頃から存在は知っていました。実は2回生と3回生の時に応募したことがあるのですが、審査に受からず展示はできませんでした。2年ぶりに京都に帰ってきて、今もウルトラアワードがあることを知り、また応募してみようと思ったのがきっかけです。

 

私は大学院在学中に狩猟免許を取得してから、猟師の視点で身の回りのできごとを記録する映像作品を制作しています。私の故郷である宮城県丸森町では、2011年の原発事故以来、今でも線量の高いイノシシを食べる人はほとんどいません。私の祖父も猟師でしたが、震災以降は狩猟を辞めています。一方で、今でもイノシシの駆除をおこなう猟師さんがいます。

今回の展示では、宮城で続いているイノシシの駆除を撮影し、そのイノシシの毛皮を持ち帰り、京都の子どもたちにイノシシのすがたを想像してもらう…という映像インスタレーション作品「イノブタ・イーハトーヴ」をつくりました。

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この作品ができたのは、私自身が京都に戻ってきたということがとても大きかったです。私は京都の都市部に住んでいますが、ちょっと行けばすぐに山で、狩猟をすることと日常生活との距離が横浜に居た頃と比べて一気に近くなりました。その分、故郷で起こっていることとの間にギャップを感じるようにもなって、一度、東北に帰る必要があるなと思いました。福島の原発周辺で野生のイノシシと家畜のブタがこう配した「イノブタ」が増えているというニュースを見て、どうなっているのか知りたいという気持ちもありました。

 

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実際に、私が東北でイノブタに会うことは叶わなかったのですが、京都の子どもたちが想像で描いたイノシシを見たときはとても驚きました。私が使用しているスタジオの建物には児童館も入っていて、今回はそこで活動している小学1年生から4年生まで、16人の子どもたちに協力してもらってあの絵が出てきました。その絵を見ると、いまの子どもたちはほとんどイノシシを見たことがないということがよくわかるのですが、東北で人と自然との距離がどんどん離れていて、誰にもわからないファンタジーの世界のようなものが出来上がっていることにも繋がるような気がしました。

今回の展示では、東北に行ったり、京都に居たり、その時々のいろいろな要素が混ざり合っているのですが、いまを生きている私の視点として伝わればいいなと思い、あまりまとめずに見せることを意識しました。

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今回のアワードに参加できてよかったのは、展示を見てくれた人との出会いはもちろんですが、ウルトラファクトリーや長谷川さん、ヤノベさんをはじめとする新しい繋がりができたことです。

こども芸術学科のように、自分自身や身近にいる相手の日常と向き合う環境は、おそらく表現をする上でもっとも繊細で大切な部分ではないかと私は思います。出身の先輩や後輩を見ていても、他の学科の人とすこし性質が違っているのは、授業で経験する、自分の眠っている感覚がだんだん開いていくような体験が大きいのではないでしょうか。見たことのない表現が生まれる可能性もそこにあるはずで、自分の中にあるものをかたちにするときに、ウルトラファクトリーやこ学の先生方の技術面でのサポートがあれば、とても心強いと思います。

学部の4年間で考えたことは、卒業してからも自分の土台となっています。学生の人には、卒業してからも今やっていることや繋がりはずっと生きると伝えたいです。

 

 

井上 亜美(いのうえ あみ)

1991年宮城県生まれ。2014年京都造形芸術大学こども芸術学科卒業。2016年東京藝術大学大学院映像研究科修了。狩猟をするかたわら、映像作品を発表している。現在、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)スタジオ使用者として京都在住。

http://amiinoue.com

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