アートプロデュースコース

【特別講義レポート】「カメハメ波は可能か?-中島敦『名人伝』を深読みする」根無一信さん

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今年最後となった特別講義には、哲学研究者の根無一信さんをゲストとしてお招きし、『山月記』でお馴染みの文豪・中島敦の作品『名人伝』をもとに講義を行っていただきました。

「中島敦本人よりも、作品を深く読み解いてみたい」と、根無さん。物語に登場する「不射の射」というワードに着目しながら、老荘思想の「無為自然」/禅仏教の「十牛図」をヒントに『名人伝』を読み解いていきました。

普段様々な「作品」と向き合ったり、関わったりすることが多いASPの学生たちにとって、今回の講義はいつもとは異なった視点で、作品を読み解く面白さを体験できたのではないでしょうか。また、物語の解釈を深めていく中で知った禅仏教の教えから、自分自身を見直す学生も多かったと思います。

 

根無さん、ありがとうございました!

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以下、学生からの感想

  • お話の中にあった、「学んでいき、減らしていく」という話が、得たものを疑い、捨てていくことで、その先に自分のみえていなかったものがみえてくるんだなと思います。

 

  • ひとつの思想に、作品とその作家の人生や同時代の作品、当時の時代背景を重ね合わせることが面白く、そこに自らの人生や考え方を付け加えてもう一度思想や作品と向き合うと、また新たな解釈が生まれてくることが楽しいと思えた。

 

  • 禅・仏教の「十牛図」はアートプロデュース学科の学生には学べることが多いのではないかと思いながら見ていました。「自己」というものについて、作品鑑賞を通して考えるので、アートプロデュース学科に入った当初とまどい、うろたえたことを思い出しました。しかし、未だ人為で分けたものを探しているように思います。つきつめるのか、一度大きく捨てるのか、それとも他の路を行くのか。考えるときに今日の講義を思い返したいです。
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