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(大学院)写真・映像領域 外川 哲也

『橋梁美』

デジタル/インクジェットプリント



ドイツを起点として世界に伝播した新たな写真動向は、1930年になると新興写真運動として日本国内にも広がりを見せる。この動きは写真をピクトリアリズムから解放すると同時に、写真が自ら持つ能力を発揮することを求めた。
1930年、都市の大型建造物を被写体として写真による機械美の検証撮影が行われた。写真家の堀野正雄(1907-1998)は、機械美を提唱する西洋美術家の板垣鷹穂(1894-1966)を撮影技師としてサポートし、都市に現れたさまざまな建造物を撮影する。1923年9月に発生した関東大震災により崩壊し、再建された隅田川の橋梁群から検証撮影の被写体の一つとして永代橋と清洲橋が選ばれる。そして機材や構図を駆使して巨大建造物の雄大な姿を表現することが試みられる。この検証は変化しつつあった日本の写真制作に大きな影響を与える撮影となった。
今回制作した作品『橋梁美』は堀野の撮影から約100年が経過し、現在も重要なインフラとして存在する構造物に着目した作品である。堀野の時代には物理的に困難であった表現を、進化した「写真の眼」で残すことで、100年という時間経過を表現するという試みでもある。

外川 哲也

(大学院)写真・映像領域

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