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和の伝統文化コース 森 恵子

 江戸時代揚屋制度期の吉原遊郭では中世から続く傀儡や白拍子等にみられる性と芸能とが繋がる形態を「色道」として確立し体現してきた。揚屋が消滅し引手茶屋制度に変わった時期と化政文化の隆興した時期とが重なる点を考慮すると、揚屋制度期とは変容した妓楼経営の在り方・遊興規範の変容に要因があるとみられる。
 文化が隆興した背景には、この時期に身分を超え様々な階層から構成された天明狂歌壇等の多岐に渉る才能を有する集団が形成された事、文化人を吉原に集客可能な環境を有する妓楼が存在した事、色道を伝承する教養ある遊女が存在した事の要因があり、それらが重層的に重なることで文化が醸成されたのではないかと考え、揚屋制度期と異なる客層や繋げた妓楼の在り方、存在価値を明らかにするため研究課題を設定した。 
 更に文化人達の狙いは閉塞感のある現実社会を古典を用いて高尚に風刺するところにあり「色道の舞台」を題材とすることで個人や事実の直截的表現を避け、和歌や古典とは異なる新な文学的価値を見出そうとしたと考えられる。それは吉原という文化的創造力を育む土壌を有した妓楼との関わりの中で混交しあい可能となったのではないだろうか。


埼玉県

文学サロンとしての妓楼
-吉原遊郭における遊女・狂歌壇との関わり-

森 恵子

和の伝統文化コース

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