「GIFT CITY」贈与に着目した地域振興企画
(大学院)グラフィックデザイン分野 里川 基
成長志向や消費経済の過剰な進行を背景に格差が拡大しています。所得格差、教育格差から始まり、現在では希望格差や体験格差など、一億総中流といわれた時代を懐かしむことが憚られるほどに格差が日常化してしまいました。
この修了制作では地方ベッドタウンと贈与経済に着目しました。地方ベッドタウンの特徴は、価値観の異なる二層の住民が混住することです。サムウェアズは先祖代々、当地に居住し、農業や工業に携わって文化や習俗を継承しています。一方で、エニウェアズは、都市部への通勤のために転居してきた層で、当地の夜間人口を構成します。人口減少社会を背景に今後の地方ベッドタウンの将来を考える時、当地に居住する人々の共創が必要となります。しかし現在、これら二層の住民の関わり合いは多くありません。今後の共創に向けて関わり合いをつくるために贈与経済に着想を得ました。贈与経済とは端的にいえば、消費ではなく、まず贈り合いで社会構成資本が構築される在り方です。
具体的な企画は「自分ごと化する」「地域活動を知る」「共感を投票する」の3ステップで構成されます。まず、地域の問題を人々の健康問題と捉え、あまり意識することのない地域の問題を身近に引き寄せます。次に、その問題を解決しようとしている活動を紹介します。これらの活動は主にサムウェアズにより営まれているため、エニウェアズはそれを知るきっかけとなります。最後に、投票という仕組みを準備します。地域の問題を解決しようとしている活動に対し、知らなかった!参加したい!などの気持ちを投票することは、自身の態度の顕在化を促します。つまり、地域活動などのボランティアはそれ自体がすでに贈与であり、投票という仕組みは投票権の贈与です。これら贈与の結び付きが人々の結び付きを醸成し、延いては「居場所」をつくるための行動変容を促します。
競争社会から共創社会へ。適度な成長や消費で足りることを知り、誰ひとり取り残されることのない社会、金持ちより気持ちが大切にされる社会をつくりたい。GIFT CITYがその一歩となるよう、取り組みを続けていきます。
地域活動の主体は、5つの共感の分布から周知不足や参加促進の必要性などがわかります。また、推薦する行政団体などは、5つの力の分布から地域における活動の状況がわかります。
5つの力は先行研究を参考にしつつ、最近では定着した感のあるサスティナブルな視点を含めたり、福祉にとどまらず地域商店を含めたり、産学官の連携を見込んで独自に定義しています。
ターゲットは健康診断の数値が気になり、その意味を理解している世代。そこで、さまざまな健康診断の数値から地域の問題をアナロジーで類推させる仕掛けで、興味を喚起します。
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里川 基
(大学院)グラフィックデザイン分野
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