はんぶんの杜
植木鉢からはじまる都心の里山づくり
(大学院)空間デザイン分野 浅田 英司
SKETCHUP
研究テーマ
ランドスケープにおける中動態的アプローチ手法の研究
ー既存ストックと生態系を活用したコミュニケーションデザインー
風景は誰のもの?
「あなたはそこにあった風景を覚えていますか?」
本施策は、筆者自身が身を置く建設業界が「つくる」ことで解決策を前提としていることを疑問点としたことからスタートしています。スクラップアンドビルドやそのことに慣れて、いつの間にか消えてなくなっているビルの風景に鈍感になっている私たちがまちの環境や風景を壊れることに加担していると捉え、既存のストック(建築物)を減築と植木鉢をコミュニケーション媒体とした緑化という形で引き継ぎ、多世代の交流を生むスペースを確保し、人々が再び老朽化したストックと新しい関係性(かかわり)をつくることを目的としています。コミュニケーションで建物利用の延命化を図り、時が経てもその場所が持つ大事な風景を滑らかに繋ぎ続けることができる施策です。
「あなたが感じる風景は供給されるものだろうか?」
今取り壊されている高度経済成長期に生まれた建築は単一的な機能、用途のものが多く、ユーザーとの関係性が一方向(建築が供給、ユーザーが受給)になっていることから、風景を介して双方向的な関係性に転換するための「かかわりしろ」づくりを、中動態的アプローチ(「積層的デザイン」「無作為的デザイン」「普請的デザイン」「予定不調和的」デザイン)により実現し、人々の活動が風景として意識されることを目指します。
「これまでの風景を引き継ぎながら これからの風景を築きつづけていく。」
具体的なデザインとして、古いビルの形状を一部残しながら環境時代に適合する“減築緑化”を提案しています。風景を引き継ぎながらこわしつくる。ビルのはんぶんを「杜」化し、機能と風景の保全の両立を目指します。
「まちの風景をつくるのは誰?」
また杜の要素となる緑は、人々が植木鉢を持ち込みことで、つくられて行きます。一人のデザイナーが一瞬でデザインするのではなく、人々が時間をかけながら、人々の意思に左右されながらかたちづくられます。「かかわりしろ」がつくられることで、自身が風景に参加する意識を持つことで、人々の行動変容を促し、消費的ともいえるスクラップアンドビルドの風景からの脱却を図ります。
屋上の様子(SKETCHUPにて制作)
ピロティの様子(SKETCHUPにて制作)
都市の緑の中に生まれる多様なコミュニティ(SKETCHUPにて制作)
Tag
建設コンサルタント、土木デザイン事務所を経てランドスケープデザイン事務所勤務。事務所以外に個人としても造園設計、施工に携わっています。
受賞歴:
第28回福岡市都市景観賞ランドスケープ部門受賞
第38回都市公園等コンクール国土交通省都市局長賞
土木学会デザイン賞奨励賞(2022)
第21回環境・設備デザイン賞受賞
掲載:
マルモ出版LANDSCAPE DESIGN (no.138,148,157,165)
日本造園学会ランドスケープ作品選集(2022,2026)
資格:
登録ランドスケープアーキテクト/技術士/1級造園施工管理技士/1級ビオトープ管理計画士
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