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技術は、私たちを孤立させたのか、それともつなぎ直したのか?

RIPPLE

(大学院)映像デザイン分野 于 士琪

都市を越えてロボットを通じて感情的なジェスチャーが伝わるグローバルリレー。テクノロジーが私たちを再接続する力を。

SNSで「いいね」を押したあと、胸の奥に残るのは満足でしょうか。それとも、うまく言葉にできない空白でしょうか。画面の中の絶景を「保存」するたびに、私たちは人生の「参加者」から、誰かの生活を眺める「観察者」へ少しずつ寄ってしまってはいないでしょうか。

テクノロジーは本来、人と人をつなぐためのものだったはずです。しかし、便利さや効率を追い求める中で、私たちはいつの間にか、「関わる」よりも「眺める」ことを選ぶようになってはいないでしょうか。生活者の行動は、テクノロジーをどう捉えているか——それが“消費するための道具”なのか、“誰かと関係を結ぶ媒介”なのか——その見方によって、静かに形づくられていきます。

『リップル』は、テクノロジーを分断の装置としてではなく、誰かの気配や想いを「届けるための媒介」として捉え直す試みです。二段階の映像表現とWebプラットフォームを通じて、見る人自身の行動を見つめ直すきっかけをつくります。Phase1(鏡)では、受け身のまま情報を集め続けてしまう私たちの姿を、
夢のような映像として映し出します。Phase2(窓)では、遠く離れた場所に置かれた複数のロボット同士がつながり、表情や手の動きといった小さな「気配」を受け取り、別の場所でぎこちなく再現します。

高解像度の再現ではなく、あえて不完全さを残すことで、受け取った人の想像力と、「応えたい」という気持ちを呼び起こします。ホームページのQRコードから映像を共有すると、その小さな行為が次の誰かへ届き、感情の波紋として広がっていきます。

あまりにも自然だった。 だからこそ、あなたは気づかなかったかもしれない。

なぜ人は技術を求めるのだろう。 その答えは一つではない。 これは、私自身の答えである。

林要の「温もりテクノロジー」、 岡田美智男の「弱いロボット」、 そしてPortals.orgによる都市間ポータル。 それらの思想と実践に触発され、 私のロボットは形づくられた。

実際の社会実験までに至らなかったが、良かったら映像を見て体験してみてください。

注:左半側の画像は生成系AIを使用して出力されたものである。プロンプトは非公開。

Phase 1 - Ripple and Mirror

Phase 2 - Ripple as Window

于 士琪

(大学院)映像デザイン分野

CONTACT

1993年生まれ、ロボット工学者。
工学と芸術を横断する制作を行っています。ロボティクス研究を背景に、テクノロジーと人の感情、関係性とのあいだに生まれるズレや余白に関心を持ってきました。
効率や機能性を追求する工学的思考と、言葉にならない感覚を扱う芸術表現のあいだを往復しながら、「人にとって技術とは何か」を問い続けています。

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