オキヨメライド
社会規範と「わたし」の境界をデザインする ー「本音」を取り戻すためのコミュニケーションデザインー
(大学院)グラフィックデザイン分野 小島 シティマイ百那
オキヨメライドは、「塩をまく」ことから始まる、「わたし」をリセットするための乗車体験です。
注目した社会課題は「社会規範による生きづらさ」。仕事終わり、親類の多い集まり、婚活でのデート、気を使う飲み会、就職活動など、私たちは日常の中で無意識に社会規範や期待に応じたふるまいを求められ、「自分の本音」を抑えながら役割を演じています。しかし、そうした役割を終えたあとに、気持ちや身体を切り替えるための仕組みやきっかけは、現代の日常にはほとんど用意されていません。その結果、社会的に求められる役割と「自分」そのものとの境界が曖昧になってしまう状況が生じていると考えました。
「オキヨメライド」は、見えない社会規範を祓い、「わたし」に還るための時間と境界をつくることを目的としています。家路につく前に「塩をまく」という所作を行うことを起点に、「タクシー」という個別空間を提供することで、社会的な役割と距離をつくり、自分に還るための移動が始まります。
塩は、古くから清めや境界をつくる象徴として用いられてきました。「オキヨメライド」ではその意味を日常生活の中に取り入れ、「役割を一度手放してもよい」という許可を自分自身に与える行為と見立てました。
また、タクシーは、社会から個人へ移行する途中にあり、他者が存在しながらも干渉されない時間と距離を確保できる個人的な空間として捉えました。
「オキヨメライド」によって期待される効果は、社会に適応すること自体を否定するのではなく、社会との適切なを距離の取り方を個人が主体的に調整することです。「オキヨメライド」は社会規範と個人のあいだに新しい境界をつくることを提案し、「誰もが、自分の本音を置き去りにせず生きられる社会の実現」へ寄与することをゴールとして位置付けています。
社会規範による生きづらさの構造整理。 「こうあるべき」を内面化することで、本音との境界が曖昧になる状態を図解化。
清めの塩まきをモチーフにしたコンセプト設計。 社会と自分のあいだに心理的距離をつくることで、本音を置き去りにしない生き方を目指す。
「オキヨメライド」サービス構想。 塩をまく動作をトリガーに、役割から解放され“わたし”へ戻る移動体験を設計した。
朝の満員電車を起点とした社会での接点づくり。 物理的距離が極端に近づく空間で、心理的距離の必要性を訴求する車内広告を設計。
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小島 シティマイ百那
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