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ロベルト・カンピン《悲しみの人》 ―図像的特徴とイエスが流す血の役割について―

芸術学コース 佐藤 千穂

 ベルギー・ゲント美術で偶然出会った《悲しみの人》。15世紀フランドルの画家、ロベルト・カンピンによって描かれたとされる作品です。
 中央に描かれたイエス様はドロドロとした血を流して苦しそうだし、隣にいる天使も涙を流して悲しそう・・・でも、眺めているうちに、真っ赤な血が背景の金色に映えてキラキラと輝いて見えてきて、とても美しい絵だなと感じました。そして、なんだかとても敬虔な気持ちになりました。
 どうして血がこんなに美しく見えるのだろう?この絵にはどんな意味が隠されているんだろう?ーーそんな素朴な疑問への答えを見つけるために、図像的特徴を比較分析し、中世ヨーロッパにおけるイエスの血(聖血)の役割を探り、ひとつひとつの図像の持つ意味について考察しました。
 その結果、《悲しみの人》はカンピンが人びとの幸せと救済を願って描いた作品であるという自分なりの答えを出すことができました。最初はただ「美しいな」と感じた絵でしたが、そこに秘められた意味や制作者の想いを読み解くことができたことは、大きな喜びとなりました。
 何百年という時を経てもなお現代の私たちに届く作品の持つ力を感じずにはいられません。

佐藤 千穂

芸術学コース

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