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役行者の造形的変遷の一考察ー平安・鎌倉時代の彫像を中心にー

芸術学コース 稲口 健一

私は、七世紀頃畿内に実在したとみられる呪術師で、後に修験道の開祖として崇敬された、役行者の木造彫像を研究対象として取り上げました。祖師像として平安後期より造像が始まった後、近世以降を中心に多くの作例を残しております。その外観ついては、一見して判別できるほど特色ある存在ですが、これまで美術史的な観点からの研究が進んでおらず、その造形的特徴がどのように形成されたのか、学術的な説明は、なされて来ませんでした。そこで造像開始時期に近い、平安末期から鎌倉時代の役行者彫像を分析した結果、役行者像には「行者」と「仏教」という二つの要素が、特徴として共通することに気づきました。そこから役行者像の造形は、山の霊力を司る日本古来からの呪術者の姿に、仏教教団が主導する修験組織に相応しい仏教的要素が融合して生まれたという結論を導きました。
卒論を完成させて振り返ってみると、世の中には、まだまだ研究の手が付けられていない未解明な分野が残されており、今回その一角に対して関わりを持ち、微力ながらも自分なりに結論を導けたことは、大きな成果だと感じています。そして研究の奥深さや面白さを気づかせていただき、ここまで導いていただきました、羅先生、金子先生に、心から感謝申し上げます。

稲口 健一

芸術学コース

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