歴史遺産コース 髙橋 由紀
日本の明治期以降の近代建築物では、大正から昭和初期にかけて工業生産のタイルが普及するまでの間に「美術タイル」と呼ばれた手作りによる陶製タイルが多くの近代建築に用いられました。特に京都の泰山製陶所で制作された「泰山タイル」と呼ばれる美術タイルは、関東では皇室建築や官公庁、個人邸宅などの特別な場所で使用されました。本論では関東に現存する建物の設計や建築の経緯から、それぞれの建物に泰山タイルがどのように使われているのか、その歴史や特徴について調査し、関東での採用の経緯を明らかにすることを目的としました。泰山製陶所の研究や資料は少なく、建物が現存していても目視で泰山タイルと特定することは非常に困難で、泰山タイルを特定する調査資料を探すことに苦労しました。建造物は文化財であっても絵画や彫刻などの美術品とは異なり、人々に利用・活用されるため時間の経過と共に老朽化や機能的価値が衰え、維持管理などの問題から売却や取壊される場合もあります。泰山タイルのような価値あるモノを次の世代に伝え、活用し続けるためにも、古い物の価値を見極めるための調査・研究が課題であると感じました。
日本の近代建築における美術タイルの歴史と泰山タイルについて
ー関東の建造物に残る泰山タイルのモザイク装飾についてー
埼玉県
髙橋 由紀
歴史遺産コース
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