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芸術学コース 大野 秀子

 現在9作品が知られる歌川国芳《金魚づくし》は、知られ始めたのが近年にもかかわらず、雑貨デザインなどを通じて急速に「カワイイ浮世絵」代表の座を得つつあり、現代に通じる造形感覚を持った魅力的な作品として再受容されています。擬人化表現の展開や文化間比較に興味がありましたが、研究の入口に本作品を選んだのは、長年のダイバー経験から、自然と魚の絵に目が留まりがちであったこともあるかも知れません。生物を見る目も少しは生かせた気がします。
 浮世絵という媒体は、復刻版を通じて江戸の人々と同様に作品を手に取り、その軽やかな佇まいを肌で感じられる研究対象です。関連した展覧会の講演会、国会図書館、江戸期創業の金魚問屋、浮世絵復刻に取り組む会社などに足を運んだことも、貴重な体験でした。先生方の熱意ある御指導と、直接の対面はなかなか叶わなかったものの、同じ条件で研究に取り組む仲間の存在が、最後まで本稿を書かせてくれました。わけても「作品は裏切らない」という武井先生の教え通り、一つの作品を掘り下げることで見えた豊かな表現の源泉や文化交流の一端は、現代につながる作品の意義についての考察を深めさせるものでした。



新潟県

歌川国芳 《金魚づくし》 考 - 動物擬人化表象のフロントランナーとして -

大野 秀子

芸術学コース

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