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芸術学コース 金子 恭子

 ジュエリー制作を趣味としているため、サンドロ・ボッティチェッリ《春》に描かれた女神たちが身につけたジュエリーの表現が気に掛かったことが本研究の出発点である。ギリシャ神話の神々を題材にした寓意的な絵画として世界中で長きに渡り論じられてきた最も有名な作品の1つであるが、先行研究ではこのジュエリー3点について具体的に言及しているものを見つけることはできなかった。
 そこでこの絵画が特異なのかルネサンス期の常態なのかを知るべく、事実として現代の私たちでも得ることができる情報=現存している絵画の表層を分類、ボッティチェッリ全作品と1450~1500年のフィレンツェの画家の絵画からジュエリー表現の傾向を把握した。またその一方、ボッティチェッリのパトロンであるメディチ家を中心とした当時の富裕層の宝石についての考え方や役割、絵画の描かれた環境などを文献によって把握した。
 宝石は、紀元前から多くの権力者がその力の証として、また現代の我々はその美しさに魅了されてきたが、本稿では、この作品に描かれたジュエリーはまた違った役割を果たしていたとの結論を導いた。


15世紀末ルネサンス絵画に描かれたジュエリー表現の指し示すもの
―ボッティチェッリの《春(プリマヴェーラ)》を中心に―

金子 恭子

芸術学コース

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