Topics

芸術研究の世界#6「能とはいかなる演劇なのか ー世阿弥の『忠度』をめぐって」

2021年10月12日

アクティビティ

日程終了しました

 11月3日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#6 能とはいかなる演劇なのか ー世阿弥の『忠度』をめぐって」を開催します。

 

 このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。

セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。

科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。

 オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。

 

 

芸術研究の世界#6

「能とはいかなる演劇なのか ー世阿弥の『忠度』をめぐって」

講演者:天野文雄(京都芸術大学舞台芸術センター 所長)     

日時:2021年11月3日(水)18:30-20:00

対象:京都芸術大学教職員、学生

 

 

【講演概要】 

一口に能楽研究といっても、その対象はまことに広大です。そもそも、能楽(能と狂言)は700年を超える歴史があり、そこには有名無名の無数の役者たちの活動があり、室町時代にかぎっても500曲ほどの能が制作され、上演の場や形式、観客、演出、さらには能楽観においても多くの変化がありました。また、能はテキスト(韻文の詩的な戯曲)、音楽(謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓)、演技(舞、様式的所作)で構成される演劇(歌舞劇)ですが、これらにも曲ごとに時代による変化があります。

能楽研究の対象は以上のようなことがらについて、現代も含めた各時代ごとの実態や変化の把握ということになりますが、この講義では、このうちの作品をとりあげ、その解釈という点から、世阿弥作の『忠度』をめぐって、私の研究の一端を紹介してみます。

れをとおして、現在、ほとんど無条件に(盲目的に)評価されている感がある能の演劇としての特質を考え、ある時期からー少なくとも400年前からー欠落してしまっている能を観るさいの視点を提示したいと考えています。

 

【講師略歴】

天野文雄(あまの ふみお)

昭和21年、東京都生まれ。京都芸術大学舞台芸術センター所長。

早稲田大学第一法学部卒業後、国学院大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)、大阪大学名誉教授。専門は能楽研究。

著書に、『翁猿楽研究』(和泉書院、平成7年、第18回観世寿夫記念法政大学能楽賞)、『能に憑かれた権力者ー秀吉能楽愛好記』(平成9年、講談社選書メチエ)、『現代能楽講義』(平成16年、大阪大学出版会)、『世阿弥がいた場所ー能大成期における能と能役者の環境』(平成19年、ぺりかん社、日本演劇学会河竹賞)、『能苑逍遥〔上〕世阿弥を歩く』、『能苑逍遥〔中〕能という演劇を歩く』(平成21年大阪大学出版会)、『能苑逍遥〔下〕能の歴史を歩く』(平成22年、同) 『能楽名作選(上下)』(平成29年、角川書店)、『能楽手帖』(平成30年、角川ソフィア文庫)。共著、共編著に、『能を読む(1~4)』(平成26年、KADOKAWA)、『禅からみた日本中世の文化と社会』(ぺりかん社、平成28年)、『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』(平成27年、大阪大学出版会)、『東アジア古典演劇の伝統と近代』(勉誠出版、平成31年)。また、国立能楽堂企画制作課、大槻文藏(観世流シテ方)、福王茂十郎(福王流ワキ方)、梅若実玄祥(観世流シテ方)と協同して、廃絶曲の復活上演や現行曲の見直し上演にも数多く参画。

 

——————————————————–

 

【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)

12月1日 河上眞理  〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究

1月12日 町田香  『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究

1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証

2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発

3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐

※日程は講師の都合等で変更の可能性があります

日程2021年11月3日
時間18:30 - 20:00
費用無料
対象京都芸術大学教職員、学生
申込方法学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください
主催文明哲学研究所
文明哲学研究所

2015年度以前