<今月コノ場所>いつかはロッキーのように。

4月 29日, 2014年
カテゴリー : 過去の情報(~2016.3) 

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私のお気に入りの場所と言えば、やはりこの大階段です。

この大階段を初めて見た時、映画「ロッキー」のテーマソングが流れました。

去年の4月より、京都芸術劇場に通い出してからも毎度「ロッキー」のテーマソングと共にこの階段を登っています。

(※エレベーターは右隣の瓜生館内にあります!)

こちらの写真は、下段を意気揚々と登り始めた私(左端)です。

登り切ったもののヘロヘロ…

中年になった私の膝と心拍数をこの大階段は容赦無く攻撃します。

毎回この大階段に敗北している私ですが、この階段を登るのもあとわずかとなってしまいました。

どうにか それ迄には「ロッキーの様に一気に駆け上がりたい!」っと心に決めております。

 

祖谷
チケットセンター

ピアフとデートリヒ 二人を結びつけている絆…

4月 26日, 2014年
カテゴリー : 過去の公演 

皆様こんにちは。上田でございます。

さて私は現在、5月24日(土)開催加藤登紀子春秋座コンサートに向けて
この公演のキーパーソンである
エディット・ピアフとマレーネ・デートリヒ
の人生を少しばかり調べている最中です。
コンサートにお越しいただく前の予習と言いますか、少しでも皆様の参考になれば幸いでございます。

登紀子さんのインタビューでもピアフについて語ってくださっています。

登紀子さんのピアフへの想い、またこのコンサートにかけてらっしゃる熱意が伝わってくる内容ですので、ぜひぜひご覧ください!
インタビューはコチラ

エディット・ピアフは、現在でも世界中で愛されているフランスを代表するシャンソン歌手。
幼少期から町から町へ歌い歩き、20歳で高級クラブでデビューし、一夜にして大成功を勝ち取った。その人気はフランスに留まらず、世界中で大いに親しまれていました。
華やかな男性遍歴、殺人容疑や4度の交通事故、麻薬と酒に溺れ、波乱にみちた人生を送り、47歳の若さでこの世を去る。
『愛の讃歌』や『バラ色の人生』などの数々の大ヒット曲は、今尚歌い継がれている。

マレーネ・デートリヒは、ドイツ出身の女優・歌手。
ドイツから単身渡米し、ハリウッドで実力を開花させ、1936年アメリカ市民権を獲得。第二次世界大戦勃発後は前線慰問や反ナチ運動に参加し、戦後アメリカ市民最大の栄誉である“自由勲章”を授与される。
53年からは歌で世界各地をリサイタル巡回し新境地を開き、70年大阪万博と74年に2度目の来日コンサートを開催。1992年に91歳で死去。

退廃的な魅力と抜群の脚線美(“100万ドルの脚線美”と讃えられている)で世界中の男性を虜にし、細い眉のメイクや、燕尾服や飛行服、軍服姿といった男装ルックは、世界だけでなく日本の女性(モガたちがこぞってズボンをはいていたという)も大きな影響を与えました。

二人の出会いは、ピアフが初のアメリカ公演を実現させた1947年頃だと言われています。
デートリヒがピアフの歌を聞きにニューヨークへ来ていて、ピアフもまた戦時中にデートリヒの歌を聞いて大きな感動と感嘆を覚えていました。
出会う前からお互い魅かれ合い、アメリカで運命の出会いを果たします。

以後、ピアフの人生におけるキーポイントに必ずデートリヒが側にいます。

1949年ピアフの愛人マルセル・セルダンが飛行機事故で急逝したとき、事故の知らせを翌日ピアフに伝え、その夜ニューヨークのナイトクラブでショーに立ち会ったのもデートリヒでした。
デートリヒは自伝で、ショーで『愛の讃歌』を歌うピアフを見て
「彼女は悲しみの思いを歌に込めて、いつもよりもずっと上手に歌った。」
と書いています。

また、ピアフはデートリヒが贈ったエメラルドの小さな十字架を生涯大事に持っていました。
ピアフが歌手ジャック・ピルスとの挙式時、震える手でずっと握り締め、
(デートリヒはこの結婚式の立会人を引き受け、ドレスの着付けも手伝っていた。)
3度目の自動車事故に遭った時も、その十字架をずっと握っていた。
とピアフは自身の自伝に書いています。

ピアフとデートリヒの自伝や、他の文献を調べていても必ず二人のことがピックアップされています。
ピアフはデートリヒを尊敬し頼りにしていて、デートリヒもまたピアフを支え、尽くしてきた。お互い刺激しあいながらも、なくてはならない存在だったのがひしひしと伝わってきました。

コンサートで登紀子さんがどのようにこの二人を演じ、語り、歌うのか…
どうぞお楽しみに~!

上田

おもてなし!フロントスタッフ研修レポ

4月 24日, 2014年
カテゴリー : KPACへようこそ, 学生目線 

桜が散り、京都もだんだんと暖かくなってきましたね。

本日半袖で出勤して驚かれてしまいました・・・センターの新人スタッフ西田です。

どうぞよろしくお願いします。

 

今回は、先日行われたフロント研修の様子をご紹介したいと思います。

 

春秋座では、学生がスタッフとして働き、お客様をお迎えしています。

一人前のフロントスタッフになるべく、先輩からノウハウを学んでいきます。

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新人のみんなは緊張している様子・・・
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私も参加させていただきましたが、ピシっと立っているだけですでに大変!

ですが、来てくださるお客様をおもてなしする為に

様々な心配りや気遣い、マナーを教わり、身につけていきます。

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二日間に及ぶ実践研修の中で、最初は戸惑いや不安が大きかった皆の顔が、

だんだんイキイキと輝いてきているように感じました。

 

 

先輩スタッフも、皆のお手本としてがんばっています!

培った経験から出るアドバイスの言葉は細やかかつ的確!!
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新人の皆さんも、来年にはぐんと成長して、今度は後輩の指導に当たってくれる

はず。

活躍を期待しております♪

 

劇場の「顔」であるフロントスタッフ。

出演者、スタッフ、裏方、フロントみんながいて初めて公演が成り立つものなのだと

感無量な気持ちになりました。

 

フレッシュな学生を迎えて、五月の公演もますます楽しみになりました。

一同お待ちしておりますので、ぜひ春秋座へお越しください!!!

 

西田

今日はニャンの日パート36 Spring Awakening 春のめざめ

4月 22日, 2014年
カテゴリー : 今日はニャンの日 

ご無沙汰しております。
共同利用・共同研究担当のツカモトです。

ようやくあたたかくなってきましたね!
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今回は3ヶ月ぶりの豪華二本立てです!

暖かい日差しに向かってぼんやりしている、ミラコ、何を見ているのでしょう?
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答えは、桜でした!
(きっと、桜にくる鳥を見ていたと思いますが)
20140422_b
そして、むずむず顔のプイプイ。
20140422_c
「はくしょい!」
20140422_d花粉症ではないと思いますがなかなかの表情です!

しかしやっぱり、とってもかわいいプイプイさん。罪なネコでございます。
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今後も、たくさん癒しの写真中心にアップ使用と思ってます!!
上田さんはどんなネコのことを書いてくれるのか、、、どうぞ引き続きお楽しみください。

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ツカモトさんとバトンタッチをしまして、上田でございます。
ツカモトさん家の猫は相変わらずかわいいですね~!
特に雌猫好きの上田は、ミラコちゃんの後ろ姿がたまらないです!
この背中に顔を埋めたい!

さてさて、春のうららの~♪と歌いたくなる気候になり、
造形大に住んでいる猫達が集団でひなたぼっこをし始めました。
20140422a
毛皮を持つ哺乳類の動物は、毛皮が紫外線の皮膚への到達を妨げているため
ひなたぼっこをすることで、皮膚から毛皮に皮脂を分泌し毛繕いすることで、口からビタミンDを摂取しているそうです。
ですので、猫にとってひなたぼっこはとても重要な役割を果たしているのです。
20140422bみんなとても気持ちよさそうにお昼寝しています♪
写真を撮ろうと近づくと警戒されました…(+_+)
20140422c
すると猫達が突然起きだし、何かを追うように坂を下っていきました。
20140422d何事かと思ったら、ビニール袋を持った学生の後を追っていました。
どうやら、袋のガサガサする音がご飯をもらえるのだと勘違いした様で、その後を追っていました。(ちなみにご飯ではありませんでした。)
ということで、今日のひなたぼっこタイムは終了となりました。
5分程の短い逢瀬でしたが、お猫たちに癒されとても充実しました(*´▽`*)

それでは皆様、また次月のニャンの日をお楽しみに~♪

ツカモト・上田

組踊の原点

4月 19日, 2014年
カテゴリー : 過去の公演 

はい、コンニチハ!ツチヤです。

【琉球舞踊と組踊 春秋座公演】チケット発売が始まりました。

良いお席はお早めに!!琉球王朝時代のおもてなしを良いお席で体験していただきたいと思います。

 

さて、本日紹介するのは公演にさきがけて5月28日(水)に開催します、

関連レクチャーチラシ

関連レクチャー
「道成寺」と『執心鐘入』

 

予約フォーム⇒http://k-pac.org/performance/20140615.php

 

前回のブログで、少しご紹介しました組踊『執心鐘入』。

今回その『執心鐘入』と能や歌舞伎にみる「道成寺」との関係をめぐるレクチャーを開催します!!

能の『道成寺』について当センター所長であり能楽研究家の天野文雄が、歌舞伎の「道成寺もの」について日本史能史でおなじみの田口章子が、それぞれレクチャーいたします。さらに、幼い頃から琉球舞踊を学び、マルチな才能で琉球舞踊や組踊、沖縄芝居などに出演されているほか、新作組踊や歌舞劇などの脚本家・演出家として幅広く活躍する国立劇場おきなわ芸術監督の嘉数道彦さんをお招きし、組踊『執心鐘入』についてお話しいただきます。

 

冊封使をもてなすための踊奉行(おどりぶぎょう)として組踊を創作した玉城朝薫は一体何に出会い、何に影響を受け、『執心鐘入』を書いたのか…

能や歌舞伎と見比べながら、背景や見どころを探ります。

 

さあ、公演前に沢山物知りになって、公演を十二分に楽しみましょう!

私が学生の時分、歌舞伎の特別授業で三代目猿之助、現・猿翁さんがこうおっしゃっていました。知っている事が多い方が、より面白い。だから観る側も少し学ぶともっと楽しめる!と。

皆様もいかがですか??

 

※お申込は、劇場チケットセンター(平日10-17時)の窓口・お電話もしくは、予約フォーム[http://k-pac.org/performance/20140615.php]からお願いいたします。

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次回こそ、琉球舞踊の見どころをお伝えしま~す。

ツチヤ

豪華キャストでお届け!ブロードウェイ・ミュージカルの傑作『王様と私』を春秋座で上演!

4月 14日, 2014年
カテゴリー : 過去の公演 

皆様こんにちは。上田でございます。
4月も半ばに入りましたが、京都の桜はまだまだ見ごろです。
花粉症持ちの上田にはつらい季節でもありますが、天候も暖かくなって心もほころんでおります。

さて、今から3ヵ月後の夏真っ盛り
7月19日(土)に、ミュージカル『王様と私を春秋座で上演します。
『王様と私』は作曲家 リチャード・ロジャースと作詞家 オスカー・ハマースタイン2世(注1)が手掛けた傑作ミュージカルです。1951年にブロードウェイで初演され大ヒットし、映画版も有名です。

日本でも791回の上演回数を誇るこの名作を、一般社団法人映画演劇文化協会による公益事業として、2012年から3年計画で日本全国を巡回上演しています。
全国ツアーの集大成の今年、春秋座で上演が実現しました!

シャム王役には1988年から1990年にかけて211回シャム王を演じた松平健さんが、円熟した演技で王様を見事に演じ、客席を圧倒します。
松平さんと言えば某将軍のイメージがありましたが、松平さんの貫禄と凛々しいお顔立ちは王様にピッタリ! 
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王子・王女のイギリス人家庭教師・アンナ役に元宝塚歌劇団・トップスター、紫吹淳さんが演じ、隣国から貢ぎ物として王様に献上された王女・タプチム役に、歌のお姉さんでおなじみのはいだしょうこさんが花を添えます。
教室
はいだ・石井

名曲「シャル・ウィ・ダンス」と共にシャム王とアンナが手を組み踊りだすシーンは、この作品の見どころのひとつです。
王様と私 シャル・ウィ・ダンス?
また、1980年より『王様と私』に出演し、作品を熟知した真島茂樹さんがオリジナル振付を踏まえ振付を担当。劇中劇「アンクル・トムの小屋」で登場するサイモン王役で出演いたします。こちらも是非注目してください!

春秋座は2012年宝田明さん主演『ファンタスティックス』以来のミュージカル上演!
この舞台は 一般社団法人 映画演劇文化協会による文化事業として、驚きの低料金3500円でご覧いただけます!
ミュージカルを初めて見る方にもお勧めです!

お客様からこの公演のお問合せを沢山いただいています。
12時、17時の2回公演ですが、早々に完売になる回もあるかもしれません。
チケットのお求めはお早ご家族、友達、もちろんおひとりでも楽しんでいただけること間違いなし!

皆様のお越しを心よりお待ちしております!

チケット発売は、友の会先行4月15日(火)10時から、
一般4月16日(水)10時からです。


上田

(注1)リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世
『オクラホマ!』、『回転木馬』、『南太平洋』、『サウンド・オブ・ミュージック』などの作品を発表し、ブロードウェイ・ミュージカルの大御所コンビと言われている。

琉球からの風

4月 12日, 2014年
カテゴリー : 過去の公演 

舞う桜も、もう葉桜となってまいりました、今日このごろ…

あの感動から早2年。

沖縄からあの伝統芸能がやって参ります。

そう…

“組踊(くみおどり)”!!

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手水の縁01
2012年『琉球王朝の華 組踊公演』舞台写真

なんと、今回は、

じゃんっ!
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6/15(日)
琉球舞踊と組踊 春秋座公演

“琉球舞踊”5演目も合わせて!

さらに、“組踊”の演目はなんと!

あの!

『執心鐘入(しゅうしんかねいり)』

ん…??というアナタ、
『道成寺』はご存知でしょうか?
『執心鐘入』は、能の『道成寺』を影響に受けて創作され1719年に上演された、
組踊の初めての作品なのです。

(※1719年、尚敬王冊封之儀の折、重陽の宴で『二童敵討』とともに歴史上はじめて上演された。)

はい、そもそも『組踊』って何??という方は、コチラをご覧下さいませ。
http://www.k-pac.org/performance/20140615.html

そして、『執心鐘入』の醍醐味はなんと言ってもアクロバティック!
執心鐘入

あの鐘にいるのは、そう鬼女でございます。

あれ、あの後どうなるの?!どうしてそうなったの?!

気になりますよね…6月15日、ぜひ春秋座にお越し下さい。

ご存知のように、中国から来る冊封使をもてなすために、うまれた組踊。
これには当時の冊封使も驚いたことでしょう!

 

さてさて、その他にも『執心鐘入』には見どころ、聞きどころが沢山ごさいます!!

もっと知りたいなという方、以下にアクセスしてみてください。

演目や舞台の約束事なども分かり易く、さらに組踊の歴史なども解説されています。

文化デジタルラブラリー<組踊>
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc19/sakuhin/syushin/

 

ところで、琉球舞踊の見どころは…?

と思ったアナタ。するどい!
次回のブログでご紹介します!

お楽しみに。

 ツチヤ

【学生レビュー】演じるシニア企画2013 春秋座サバイバーズ 『レジェンド・オブ・LIVE』

4月 09日, 2014年
カテゴリー : 公演レビュー, 学生目線 

これまで出演者の紹介をしてまいりましたが、森川稔さんと中田貞代さんの紹介をあえてはずしておりました。
というのも舞台の演出上出演者であることを伏せるためです!
ご覧になった方はお分かりの通り、開場中から客席での演技は始まっていました。そんなお二人を改めてご紹介いたします。

 シニア_森川_中田

 

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こんにちわ、お久しぶりです!
前回、池田亮司さんの『super position 』で記事を書かせて頂いた、フロントスタッフのヨコタです!
今回は、3/22と23にありました「レジエンド・オブ・LIVE」についてブログを書かせて頂きます!

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舞台が始まる前から、演技が始まっていたり花道を使用したり、人が飛んだり舞台が回ったりと・・・見ている私達、同時に出演者の方が楽しめるような演出が至る所に散りばめられていました!

 そして!この舞台を語る上でなくてはならないのが、キャストのほとんどが初舞台でしかも、シニアの方ということ!

どの方も初めて感や年齢を感じさせないくらい、素敵な演技やダンスをされておられました。

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当日はフロントスタッフとして場内に入って居いたのですが、良い演技をされても「泣くまい!」と思っていたのですが、最後の最後でとんでもない感動する演技をされる方がおられて涙がポロポロ出てしまいました・・・。他のフロントスタッフに「泣いた?」と聞くと「泣くのを堪えてた!」と言う人が何人もいました!それくらい胸にじーんとくる演技をされておられたのです。

そして!なんと言っても、どの方もものすごく生き生きと楽しそうに演技やダンスをされておられた事が印象深いです!

私達若い世代も、もっと好きなことやりたいことをやっていかなければ!負けてられない!という気持ちにさせられたした!

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素人さんやからと言って甘くみてはいけません!とんでもない演技をされますよー!

是非、みなさんもプロ・アマ関係なく色々な舞台を観てみてください!
それぞれで違った楽しみがあるので!

ここまでのお付き合いありがとうございました!

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(舞台写真撮影:清水俊洋)

横田
春秋座学生フロントスタッフ

はじめまして

4月 01日, 2014年
カテゴリー : プロデューサー目線 

4月1日に渡邊守章先生の後任として舞台芸術研究センタ-所長に就任しました。センタ-には、この4カ月ほど、主任研究員としてかかわってきましたので、右も左も分からないという状態ではありませんが、しかし新米であることに変わりはありません。このコ-ナ-では、プロデュ-サ-(制作責任者)としての立場から、春秋座とstudio21で催される公演等の紹介をしてゆくことになりますが、それは次回からにして、第1回の今回は、まずは自己紹介からはじめます。
私が専門としている能楽-能と狂言のことです-は、世間では、どうも演劇とは思われていないようです。それは能楽界も同様で、演者や研究者で、能楽が演劇だと意識している人はごく少数です。戦後の一時期には、「能は演劇か否か」という、思えば不思議なことが話題にもなりました。そんなことが話題になるのは、「能は演劇とは異なる何かである」という抜きがたい理解が一般的だったからで、その状況は残念ながら現在も変わっていません。そもそも、能や狂言が海外の「演劇」祭に参加し、文化庁の芸術祭の「演劇」部門に能や狂言が参加していることだけでも、答えは自明のはずです。個人的な例をあげるなら、私は現在、日本「演劇」学会の会長であり、4年前まで四半世紀近く勤務していたのは大阪大学の「演劇」学研究室でした。つまり、「能は演劇か否か」という設問自体が問題なわけで、演劇との関係を問題にするのなら、「能(あるいは狂言)はいかなる演劇なのか」ということでなくてはならないと思うのです。
能あるいは狂言はいかなる演劇なのか。それは、同じ伝統演劇である歌舞伎や人形浄瑠璃(文楽)がいかなる演劇なのか、いわゆる西洋近代劇はいかなる演劇なのか、アングラ劇を通過してきた現代劇はいかなる演劇なのか、また、ダンスや舞踊などの舞台芸術としての質を問うのと同じことです。それはおのずから、それらの「質」の違いという問題にもつながります。「能はいかなる演劇か」を考えることは、多彩な領域からなる舞台芸術を理解するについても有効なのです。
専門が能楽研究だと言うと、そのような環境で育ったと思われることもあるようですが、能の舞台にはじめて接したのは、何をやってもうまくゆかず、一念発起して国学院の文学部に学士編入で入学して、中世の日本文学を勉強するうち、能という世界があることを知りつつあった二十代も終わり頃のことです。能を面白いと思い、さらに感動するようになるのは、それからかなり後になります。私の研究上の恩人で、戦後の能楽研究を牽引した故表章先生は、学生時代にたまたま通りかかった神田の共立講堂ではじめて能を見たがまったく理解できず、それが能の研究に入るきっかけだったと、よく言われていました。能に感動して研究を志したのではなく、異物としての能に研究意欲をそそられたわけですが、私の場合もそれに近いところがあります。
私に与えられた仕事は、多岐にわたる舞台芸術のプロデュ-スですが、私の場合、いかなる分野であれ、たぶん無意識のうちに、「演劇としての能や狂言」の「質」と比較しつつ進めることになりそうです。

天野文雄
(舞台芸術研究センタ-所長)