2019年9月
2019年9月25日 ニュース
9/14(土)・15(日)の二日間、大瓜生山祭が行われました!
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございます!
今回はその最中に行われた、キャラクターデザイン学科3回生による学生作品展を写真と共に振り返ります。
まずはNA301教室。
アニメーションゼミ・CGゼミ・音楽プロデュースゼミ・ゲームゼミの展示が行われました。
↑アニメーションゼミのブースでは、
グループで制作中のアニメーションの予告編上映と、カットイラストの展示が行われました。本編公開が楽しみです!
↑こちらはCGゼミの展示の様子。
様々なCGソフトを駆使した制作の結果が表れています。
↑音楽プロデュースゼミの展示の様子。
音楽業界人へのインタビュー記事など、平成の音楽の歴史を辿る情報誌「SACHUUUS」は見応えがありました!
↑ゲームゼミではデジタルゲーム・アナログゲーム、全8種類のゲームが勢揃いしました。
小さなお子さんたちにも好評で、クリアするまで諦めません。
そしてNA306教室では企画プロデュースゼミ・グラフィックゼミ・イラストゼミの展示が行われました。
↑こちらはグラフィックゼミ。
屋外広告のクリエイティブ賞「ジャパンシックスシートアワード」への応募作品と、オリジナルのピクトグラムが展示されました。
↑イラストゼミの展示の様子。
ゼミでのテーマは「宇宙」。幻想的なイラストと可愛いミニキャラクター達がブースに訪れる人を出迎えました。
↓企画プロデュースゼミでは、
今年7月に行われたJapanExpoの京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科ブースを再現していました。
↑実は展示会場では、7つのゼミを巡るスタンプラリーを同時開催していました。
スタンプを集めて抽選に参加し、当たるとその場で学生が似顔絵を描いてくれるという企画です!
ただ作品を制作するだけでは終わらない学生作品展。
その後の搬入作業で苦労したり、最大限の魅力を表現するにはどうすればよいか、チームで悩んだ事もたくさんありました。
この経験は、きっと来年4回生になったときの卒業制作展への糧になることでしょう。
3回生の皆さん、各ゼミの先生方、本当にお疲れ様でした!
~番外編~
大瓜生山祭の学科対抗模擬店「フードコロシアム」にて、
キャラクターデザイン学科では「地球焼き」というメニューを販売しました!
↑とてもリアルな地球色。インパクトある見た目ですが、味はおいしいたこ焼きです。
二日間ありがとうございました!
2019年9月20日 授業風景
こんにちは。副手の渡辺です。
9月3日、4日、10日、11日の4日間をかけて、
3年生を対象に「ポートフォリオ研究」という集中授業が行われました。
この授業では自身の進路について考え、
将来目指す領域に対して自分をプレゼンテーションできる、
目的に応じたポートフォリオの作成を目標としています。
そもそもポートフォリオとは何か?ということをまずは理解してきます。
今まで制作してきたものを振り返り、
自分の目指す領域によって作品の順番や、情報量も変わってくるため、
各領域の担当の先生から解説をいただきました。
憧れの企業に就職、内定をいただいた先輩方が制作したものも参考にして、
それぞれ実制作に入って行きます。
また、昨年に引き続き、お二人のゲスト講師の方にお越しいただきました。
葭矢峰世様に就職活動メイクアップセミナーをしていただきました。
葭矢様は化粧品販売を経て、写真スタジオでのメイクなどの美容やカメラを担当。
スタジオ業務と並行し、専門学校・大学でメイクアップ講座を行われています。
国民的アニメのキャラクターをモチーフに、陰気なイメージのキャラクターもメイク次第で、
声を掛けやすいような、やわらかい雰囲気の印象に変えることができるというお話などをしていただきました。
その後、モデルの学生に実際にメイクをしていただきました。
持参したメイク道具一式を使って実践していきます。
初めてビューラーを使う学生もいて、道具の持ち方から丁寧にご指導いただきました。
男子向けのヘアメイクでは、清潔感が重要ということで、
顔周りをすっきり整えていただいたことによって、爽やか度が急上昇しました!
眉の整え方、スーツの着こなし方も教えていただきました。
それぞれのメイクの悩みにもお答えいただき、授業後も葭矢様の元へ学生が殺到していました!
学生は慣れないスーツやメイクに悪戦苦闘していましたが、身だしなみを整えることによって、表情も明るく好印象を与えるということを体感しました。
今回の講座が、就職活動に向けての心構えのひとつになったようです。
そして、「株式会社ビビビット」からマーケティング事業部の井上佳子様にお越しいただきました。
ビビビットとは、ポートフォリオ×就職活動をテーマにしたクリエイター・デザイナー・イラストレーターを志望する方向けの就職サイトです!詳しくはこちら
“短い時間で端的に伝える”というポートフォリオの極意を伝授していただきました。
就活に関するレクチャーの中でクイズが出題され、それに正解した学生には「ビビビットシール」がプレゼントされていました!
ビビビットのポートフォリオサイトを活用して就職活動を行った、昨年度の卒業生のサイトも見せていただきました。ぱっと見たときの最初のヴィジュアルで、その人の特性がわかりやすいと企業からのアプローチも多いようです。
こちらのはたらくビビビットのサイトからご覧いただけます。
サイトに作品をどんどんアップ→企業の方とやりとり→それぞれの企業に合わせた紙媒体のポートフォリオを印刷して持っていく、という活用法が今は主流だそうです。まずはポートフォリオサイトを活用してみるのが就活のはじめの一歩なのですね。
葭矢さま、井上さま、ありがとうございました!
最後に、来年に向けて2年生も参加してポートフォリオの内覧会が行われました。
できたてほやほやのポートフォリオと制作者がずらりと並び、対面式でフィードバックをもらいました。
見られる側は緊張気味の様子。
4日間の授業を経て、今までの制作を振り返り、自分には何ができるのか、どんな方向に向かって行けばいいのか、将来を深く考えることができたと思います。
様々な角度からの助言を元にさらに磨きをかけたポートフォリオは、自信をもって自分をプレゼンテーションできる一冊になることでしょう。
2019年9月13日 ニュース
いよいよ明日から「大瓜生山祭2019」が開催されます。
その中でキャラクターデザイン学科も、3回生による学生作品展が行われます!
学生は今日まで展示の準備に大忙しでした。
今年のキャラクターデザイン学科作品展のテーマは「見つける」です。
アニメーション・CG・ゲーム・グラフィック・イラストレーション・企画プロデュース・音楽プロデュース、
それぞれのゼミの中で学んだ成果を、どのような空間・テーマで表現すれば伝わるのか、
学生同士で話し合い、協力しながら展示を完成させていきました。
↑チームで作品を作ってきた経験を活かし、搬入作業も役割分担。
そして今日は学科展の前日ということで、4回生を招いての内覧会が行われました!
学科展内覧会は3回生の展示作品を4回生が見て、感想や今後の展示についてアドバイスを発信する場です。
↑作品の説明をする3回生とそれに耳を傾ける4回生。
先輩と後輩の大切なコミュニケーションの場でもあります。
さらには授業終了後の1回生も内覧に来てくれて、会場がより盛り上がってきました。
大瓜生山祭当日が楽しみですね!
[3回生の学生作品展] キャラクターデザイン学科は
人間館NA301・NA306の教室でお待ちしています!
★☆大瓜生山祭2019の特設サイトはこちら☆★
2019年9月12日 インタビュー
ゼミ通ヒーローズ Vol.10
ゲームジャム座談会の巻 Part2
村上
さてさて現場の話に戻そう。
実際にゲームを開発したスタッフの構成とかワークフローの話をしたいんだ。
石倉
ゲームジャム当日は、専門学校のナオヤさんを含めプログラマーが2人。
プランナーが3人、あとは全員デザイナーで、デザイナーの内訳としては、
キャラクターデザインが3人、UIデザインが2人、アニメーションが1人、背景画が1人。
あとは現場には来てなかったですけど前日にタイトルロゴを作ってくれた人が1人。
村上
来年やるときにはプログラマーを4~5人連れて行かなきゃキツいね。
デザイナーが多かった点では人海戦術で効率良く作業は進んだけど。
石倉
でもそのお陰で仕事を依頼したら物凄いスピードで絵がどんどん仕上がってくるんですよね。
お願いしたら何でも返ってくるっていう安心感は大きかったです。
村上
現場での情報共有の仕方は?
崎
仕様書を作る時間はなかったので、口頭指示か、ホワイトボードを使ってやってましたね。
石倉
上がってきた絵を僕がチェックして、OKであればプログラマーにデータを渡して実装していただくという流れでした。
村上
崎と熊澤は?
崎
ゲームジャムが始まる前から、正直「音」関係の作業をする人って多分いないんやろうなぁって思ってたし、
編集ツールのPremiereを扱えるのも僕しかいないと思ってたから、
何となく必然的に僕がやる事になるやろなと思ってましたね。
村上
開発の終盤になって、「そういや音ってどうする?」
みたいな話になって現場がパニクるのが容易に予想できたから最初に名乗り上げたと。
崎
そうです。
熊澤
私は、音楽と効果音のフリー素材をネットで拾ってきて、それを崎先輩に確認していただいて、という感じでひたすら素材探しをしてましたね。
村上
デザイナーのワークフローはどんな感じだった?
奥田
最初に作るべき素材は全部決まってたし、皆それを理解してるところからのスタートだったので、動ける人はどんどん動いてましたね。
私はUI周りを総合的に見てたんですけど、手の空いた人がいたら仕事を振って、
石倉先輩にチェックしていただいてプログラマーさんにデータを渡すという流れでした。
村上
ウチの場合、デザイナーといえども1年生の時からみんなゲームプランナーとしての勉強をするから、
2年生にもなると「絵が描けるプランナー」「プランニングができるデザイナー」みたいな感じでゲームデザインを理解してるもんね。
両方分かってるからこそ企画意図を説明するだけでそこから最終イメージまで膨らませて作業をしてくれるから話が速いよね。
石倉
企画の時に絵も一緒に考えて、まず最初に画面のレイアウトとUIを整理して必要な素材の工数を出したり。
崎
ニュアンスの全体像が見えてたからスタートダッシュは良かったよな。
奥田
ちょむ(吉田未来/当日参加していたデザイナー)にゲーム全体のメインカラーを決めてもらったんですよ。
使う色を最初に全部決めてカラーパレットを用意してもらって。
ポップなホラー要素がちょむの作風に合ってるなと思ったので、コンセプトに合わせてゾンビっぽい色とか世界観を決めていってもらいました。
菊竹
基本的にこのパレットだけで構成されてたので、あまり悩まないでどんどんデザイン素材を作っていく事ができましたね。
村上
こちらからは何も指示を出してないのに、すごい組織力だ(笑)
それぞれの作業の中で苦労したポイントは何かある?
石倉
苦労というか、宿泊のときの崎のいびきがうるさかったことくらいですかね。
制作については、チームとしてのまとまりも良かったし、プログラマーのナオヤさんにイメージを伝えた時も、
できる事とできない事をちゃんとメリハリをつけて説明してくれるので意思疎通もスムーズでと、ても居心地の良い環境でディレクターをやらせていただけたなぁという感想です。
菊竹
キャラクターを作ること自体はすぐに出来てちゃんと完成したんですけど、点数別に3人のキャラクターを並べたときに、
どれが一番点数の高いキャラクターなのかが一目で分からないっていうところが悩みでしたね。
村上
そこだけ各スタッフによって想い描いてたビジョンがバラついてた印象があったね。
髪の毛の色が明るい人は点数が高いっていう設定だったけど、そもそも「明るいって何?」という時点でイメージがズレてたね。
ゲーム画面で見ると、背景色が紫だったから黄色い髪の毛のキャラの方が目立ってて点数が高く見えるし、
でも実際には赤い髪のキャラが一番高かったんだけど、背景色が紫だったから、紫の上に赤を置いてもあまり目立たないという誤算があったね。
菊竹
実際にビットサミットの会場でお客さんにプレイしてもらったときに「どれが一番高いの?」て聞かれて…そこは反省点ですね。
作る前に背景も含めてもっとすり合わせをしておけば良かったなって思いました。
村上
コンセプトは「採用したくなる就活生」が点が高いという設定だったから、見た目が真面目そうな人ほど点が高くて、ヤンキーっぽいやつが点が低い設定にしてたよね。
崎
結局ファンキーなやつほど点が高いっていう設定に変わってしまってましたね…。
石倉
デザイン面では、ゾンビとしてどんどん体が崩れていく方ができの悪い人で、欠損の少ない人ほど優秀っていう話もあったんですけど、
表示されるキャラクターのサイズが小さくて、プレイヤーとしてはゲームの展開上そんな細部まで見てる余裕もないので結局視認性優先で色を明るくしましたね。
奥田
UIはまだ勉強をしていない領域だったので正直どうしようって思いました。
でもゲーム全体をパソコンのデスクトップ上の世界としてまとめようって話になって、社長キャラがスカイプで出てきたりとか、
別のウィンドウ上で社員を管理してるような構想が出てきて徐々に見せるべきものが明確になってきましたね。
村上
あれだけ大勢のスタッフがいて皆がバラバラでデータを持ってくるから、予めパレットが決まってたとはいえ、
実際に画面に配置すると思ってたような感じにはならなかったりするだろうし、整合性を取るのは苦労してたよね。
奥田
サンプルを作る時に、大きさとか見てみたんですけど、結構難しかったのと、背景画がほとんどウィンドウで隠れていたので、
メインのウィンドウを半透明にした方が良いんじゃないかとか、色々試しました。UI周りは全体的に色々大変でした。
崎
音の領域は、ビジュアルよりも先に遊んでる人の耳に届いて世界観を決定づけるものでもあるから、ゾンビの血生臭い感じを出すことが優先なのか、
デスクトップの世界観というところから電子感を重視すべきか、比重をどっちにするかで悩みました。
クリックしたときの音として、最初は「ピコン!」ていう電子音で進めてたんですけど、
最終的には「グシャ!」ていう汚い感じの音を実装しました。
村上
狙いとしてああいうポップな世界観だったので、あえてギャップを持たせてリアルに腐食した肉っぽい音を出すべきか議論してたね。
崎
最終的にはボタンを押したときの感覚とか気持ち良さを優先に決めていきました。
村上
採用通知を落とすときの音が気持ち良いよね。
通知が当たった時の音はどのゾンビも一緒だったっけ?
崎
一緒です。「ぶちゃちょばげ!」ていう北斗の拳っぽい感じの音です。その後で鳴るゾンビの昇天音として
「しょわー…きらきらきら…」って澄んだ感じの綺麗な音を入れる事でプレイヤーに達成感を与えるようにしています。
村上
ゲームプレイの気持ち良さは効果音で決まる事が多いし、気持ち良いと病みつきになってついついボタンを押してしまうよね。
マリオがジャンプするときの音が気持ち良いから、障害物が何もない所でもつい意味もなくジャンプを繰り返してしまったりするよね。
崎
そうですね。他には合格通知と不合格通知を切り替えるときの「カチャコ!」ていう音がかなり苦労しましたね。
色々試してみて結果的にハンドガンのリロード音を使ったんですよ。あれが一番気持ち良くて。騒がしい展示会場でもちゃんと主張できる音にして、
それが遊びの気持ち良さにつながらないと意味がないので、あの音にして正解だったと思います。
これはプレイヤーが介入できる数少ない要素というか、即時フィードバックを促す大事なところなので、通知の切り替えと、それを落とすときの音はとにかく小気味良くしました。
あとは、熊澤さんに吹き込んでもらった女ゾンビの声を加工してどこまでブサイクにするか(笑)あんまり低すぎるとマツコになるんで。
一同
(笑)
石倉
最初にあがってきたとき、ゾンビの声が小さくて全然聞こえなかったんですよ。BGMの「天国と地獄」のボリュームが大きくて。
ていうかこの曲を使ってゲームを作ることが昔からの夢だったので、そこに力が入ってしまったんです。
村上
は?なにそれ(笑)
石倉
卒業までに「天国と地獄」を使ったゲームを作るって決めてたんですよ。だから、今回は「これだけは通してくれ」ってお願いして実装させてもらいました。
村上
結果的にあの慌ただしいゲームの雰囲気に合ってたから良かったけどね。
石倉
で、かなり調整をして何とか効果音も音楽も両方聞こえやすい音量と音質にしてもらって、綺麗に収まりました。
熊澤
でも、「天国と地獄」になると思ってなかったので、最初は背景の色とかビジュアルの雰囲気から、この色だったら可愛い系の音なのかな、
それともちょっとホラーチックな物々しい感じの音がいいかな、とその二択で考えて効果音を探してました。
で、途中で「天国と地獄」に決まったって聞いて、二つのイメージとも全然違ってたから「ど、どうしよう!!」てなりました。
石倉
(爆笑)
崎
ところで、村上先生が社長役でゲーム内に登場してるけど、これは誰のアイデア?
奥田
私が落書きで村上先生を描いてて、それ見た伊藤舞(デザイナー)が
「あ、これいいやん。これ社長にしたら?」って言い出したのが始まりで、私のラフをもとに伊藤舞が清書していきました。
菊竹
先生にバレないように、こっそり描いてたんですよ。先生が近づいてきたら皆でモニター隠して(笑)
村上
最初に出てた案を見て、どうも社長のセリフが優しすぎるというかブラック感が足りなくて、「俺ならこう言うな」って言った瞬間に
石倉がすごい嬉しそうな顔するから、隠し事してたのもバレバレだったよ。
奥田
社長のコメントとして、村上先生らしい言葉を引き出そうとして、先生ならどう言います?って。先生と先輩との会話が人狼みたいになってました(笑)
村上
で、結果的にファミ通の人に「社長がうさん臭くていいよね」って言われた(笑)
ちょっと話は変わるけど、今回、2年~4年のゲームゼミの学生が入り混じって制作をしてみてどうだった?
石倉
この企画の前にも学年やゼミをまたいでハッカソンを一緒にやってた経緯もあって、何人かは顔馴染みになってましたね。
菊竹
学校終わりの部活みたいな感じで、先輩後輩でワイワイガヤガヤやって、アットホームな感じですごい楽しかったです。
奥田
ウチらみたいな騒がしい2年生に混じって、真面目な大瀬先輩が一人黙々とアニメーションを作り込んでるのがなんだか申し訳なくて(笑)
石倉
大瀬は職人気質だからひたすら仕事に集中してましたね。
村上
彼女は去年までアニメゼミにいたから、そこでの経験を活かして、パターンでのアニメーションを制作してくれたりして、持ち味は活かせたよね。
ただ、表示サイズが小さかったから、拘りのアニメーションがほとんど視認されないという(笑)
熊澤
私は中学校の時に部活に入ってたんですけど、中学校って上下関係がめちゃくちゃ厳しいじゃないですか。
最初そのイメージで今回の現場に行ったので、何て話せばいいんだろうって凄く心配でした。崎先輩とか見た目怖いし。
熊澤
でも実際に話したら案外アットホームな感じだったので良かった~って思いました。
石倉
アットホームな感じを作るっていうか、「ちゃんと伝える」みたいなことはプランナーの基本なので、
そこは皆できてることが前提になるじゃないですかね。現場の空気作りとか人との接し方とか。
村上
あと、今回の作品は何が評価されたんだと思う?受賞は逃したものの、
後から大手の雑誌二社からの取材を受けてメディアで公表していただけた理由っていうのは何なんだろう?
崎
それ、一つ僕なりの仮説がありまして。
一同
ほほう!
崎
僕らがモチーフにした就活のイメージって、子供の頃にニュースなんかで聞いてた所謂就職氷河期のイメージですよね。
それで、今回取材に来られた方たちって、ど真ん中でそれを経験された人達じゃないかと思うんですよ。
いい感じでトラウマを刺激されて気になる作品として取り上げてくれたんじゃないかなって勝手に思ってます。
石倉
僕としては、プレイした時の感情曲線が明確だったというかメリハリの効いたゲームだったからかなって思ってます。
「これ、アクションゲームです」て言って渡されたら「あー、こんな感じか」で終わるんでしょうけど、見た目がパズルゲームみたいなのに、
いざ遊んでみると全然イメージが違うっていうギャップでも驚くし、その驚きって、つい誰かに言いたくなる面白さだと思うんですよ。
「これ作ったやつ頭おかしいよ。面白いからやってみなよ」って。
崎
うーん、それはあるかもな。
菊竹
ゾンビが就活するっていうワケ分からなさとか。
西村
私はシンプルにビジュアルがいいなって思いました。まずパッとみて面白そうだなと思うし、情報も整理されてるし、遊んでみたくなるので。
村上
人を惹きつける切っ掛けはまずそこにあると思う。「おっ、ちゃんと作り込んである。じゃあ遊んであげよう」って。
そして「なんじゃこりゃ!」ってなる(笑)。このゲームはそういう感情曲線になってるよね。
ファミ通さんに掲載されたみたいに「落ち物ゲームかと思いきやクレーンゲームみたいな遊び方だった」っていう例え話が凄くうまくて、
逆にこっちが「なるほど、我々はそういうゲームを作ってたのか!」て思わされたね。
一同
確かに!
崎
結局このゲームって、ジャンルは何なの?ポスターにはSSSとか書いてあったけど。
奥田
あれは村上先生が急に「就活シューティングシステム、略してSSS」って思いついて、それでポスターを作ったんですよ。
村上
嘘でも「前代未聞の××システム!」とか書かれると興味湧くでしょ。Sって付いたらなんかレベル高そうだし。ゲーム開発の仕事をしてた頃は、
毎回「××システム」って名前をつけて、その略語がキャッチーになるように考えて、とにかくお客さんの記憶に残るようにするっていうやり方をしてたもんだから、つい。
奥田
あの時先生頭バグってるって思いました。顔にパックしながら仕事してたし、ワケわかんない(笑)
村上
バグってるのはいつもの事なんだけど…。そういやポスター作ったのってビットサミットに出展する前日だったよな。
奥田
そうですよ。前日の夜にポスターと取扱説明書を作ったんです。私が通ってた英会話の先生に急遽電話してその場で説明書の英訳してもらったりして。
村上
あの時のスケジュールは本当に無茶苦茶だったね。でもそう言える制作の方が後から思い返した時に良い思い出になるもんなんだよね。
石倉
勢いがあったからこそ作れたものだと思いますしね。一回立ち止まって吟味してたら多分企画が頓挫してましたよ。
崎
トランス状態になるにはあの二日間っていう時間が心地よかったですね。
村上
まぁ、そんなこんなで無事に全行程終了したわけだけど、思い出話をし出すと切りがないのでそろそろこの辺でお開きにしましょう。
それでは皆さんありがとうございました。
一同
ありがとうございました。
2019年9月4日 インタビュー
ゼミ通ヒーローズ Vol.10
ゲームジャム座談会の巻 Part1
「ゼミ通ヒーローズ」とは、キャラクターデザイン学科のゲームゼミに在籍する学生たちのインタビューを行ないながら、
ゲーム・遊びの研究内容について掘り下げていくというものです。
今春、vol.01~09を実施し、この度シーズン2と題して更にコアなインタビューとして復活させたいと思います。
もうかれこれ3か月以上前の話。我がゲームゼミの学生たちがビットサミット主催のゲームジャム(2日間でゲームを開発するコンテスト)に参加しました。
その完成作品「わーきんぐでっど」がゲーム雑誌のファミ通や電撃PlayStationに記事として取り上げていただいたこともあり、
制作に関わった一部のメンバーと共に、当時の制作を振り返ってみたいと思います。
「わーきんぐでっど」とは。
新卒採用したい就活ゾンビに合格通知を与え、よりレベルの高いゾンビを獲得するゲーム。
左右移動で通知を落とす場所を決め、決定ボタン入力で通知を落下させます。合格通知に当たったゾンビは昇天して画面右下の控室へ移動しますが、
不合格通知に当たったゾンビは突然暴れ始め、ゾンビたちの配置をメチャクチャに引っ掻き回します。
ゾンビにはランクがあり、髪の色が「青<黄<赤」で点数が異なります。高得点となる赤い髪のゾンビを獲得するために、
邪魔なゾンビに一旦不合格通知を与えて場所を移動させ、タイミングを見計らって通知を落としていきます。
ノルマの点数を獲得できればゲームクリア、ダメならゲームオーバーとなります。
このゲームは、ファミ通.comと電撃PlayStationにて紹介記事を掲載していただきました。
ファミ通.com https://www.famitsu.com/news/201906/05177330.html
電撃PlayStation https://dengekionline.com/articles/2559/
村上
ていうか、今回の収録はプランナー4人だけでゲーム企画の話をする予定だったんだけど、
デザイナーの菊竹と奥田が乱入してきたので、急遽6人での収録となります。では皆さん宜しくお願いします。
一同
はい、お願いします。
村上
では、まずは一人ひとり名前と役職を教えて下さい。
石倉
3年の石倉凛太郎(鹿児島工業高等専門学校出身)です。今回はディレクターをやらせていただきました。
3年生のリーダー。
最近眼鏡を外して髪型を変えたが、これがお年頃的なアレなのかリーダーとしての心変わりなのかは本人のみぞ知る。
菊竹
2年の菊竹茉由(福岡県立八幡中央高等学校出身)です。キャラクタ―デザイン兼プランナーでした。
プランナーとしては、企画立ち上げの時に案出しをしたくらいですけど。
2年生のリーダー。絵も描けてプランニングも出来る、所謂歌って踊れるゲームデザイナー。
高校がかなり厳しかったらしく、すっかり心身共に打たれ強くなった。
奥田
2年の奥田菜陽(広島県立広島観音高等学校出身)です。ゲームの中のUIデザインを担当しました。
UIデザインを授業で習うのは後期からなのでまだ先なんですけど、一足先にやってしまいました。
2年生で代議員という大役を司るプランナー兼デザイナー。
とにかく辛いものが大好物で、出された料理には悉く大量の一味唐辛子をまぶし、
RBG値でいうところの「255.0.0」くらい真っ赤に染め上げる。
崎
3年の崎佑輔(奈良県立桜井高等学校出身)です。プランナーという名の声優をしました。効果音・音楽含め音周り全般の編集もやってました。
2年次はプロデュースゼミに在籍していたが、3年次よりゲームゼミに転籍。次々にアイデアを広げ、
遠慮なさすぎる発言でチームを鼓舞するアグレッシブなプランナー。
熊澤
2年の熊澤優依(京都市立銅駝美術工芸高等学校出身)です。崎先輩のサポートという形で音関連のプランナーをやってました。あと、女版ゾンビの声も担当しました。
ゲーム音楽とノベルゲームに興味を持ち、普段はシナリオ作りを中心に勉強しているゲームプランナー。
残念ながら今回の企画ではシナリオは必要なかった…。
西村
2年の西村涼(大阪府立港南造形高等学校出身)です。授業の関係でゲームジャムの現場には行けなかったんですけど、今回はプランナーを担当しました。
物静かな性格ながら内に秘めた熱い向上心から休むことなく技術的な実験を繰り返すなど日々鍛錬を怠らない。
ゲームゼミが誇る静かなるリーサルウェポン。
村上
では、今回のゼミ通ヒーローズはこの面々で対談形式という形で進めていこうと思います。
実際にはゲームジャムの現場で制作に携わったメンバーは、プランナー、デザイナー、プログラマー合わせて12名で、
その他にも、開催前の準備として仕様を考えたりタイトルロゴを作ったりした人を含めると総勢17名くらいになるのかな。
ゲーム開発の中身について触れる前に、そもそも今回のこの企画が何だったのか、プロジェクトの全容について触れておこうか。
まず、今回「ゲームジャム」というイベントに参加したんだけど、このゲームジャムとは「ハッカソン」のゲーム版のことね。
元々ハッカソンはIT関連の企画としてプログラマーを集めて、24時間以内とか48時間以内という制限の中で何か社会に役立つ技術を開発しようっていうイベント。
エンジニアリング用語のハックとマラソンを足した造語ね。ゲームジャムもこれと同じで、
48時間以内に企画・デザイン・サウンド全てを含めてコンピュータ上で動作するゲームを作るコンテストってことになる。
そしてビットサミット(日本最大級のインディーズゲームの祭典)が京都で開催される関係で、京都=学生の町、
歴史文化と最新テクノロジーの混在する町、そして任天堂のお膝元、みたいなところから、
ビットサミットの運営スタッフが関西の大学や専門学校に呼び掛けてゲームジャムを行なうことになったわけ。
で、そこで参加したのが、立命館大学、京都精華大学、大阪電通大、京都コンピュータ学院、ECCコンピュータ専門学校、そして京都造形芸術大学の6校。
その6校の中でゲームデザインやアート、プログラムに興味のある学生たちをシャッフルして、いくつかのチームを作ってそこで出来を競い合うというのが概要です。
石倉
他の教育機関からの参加者はバラバラにしてシャッフルしてましたけど、うちはシャッフルしませんでしたね。
京都コンピュータ学院からナオヤさん(メインプログラムを担当した学生)を吸収しただけっていう。
崎
おいしいところだけ取ってったな(笑)
村上
たった二日間でゲームを完成させたわけだけど、結果的には我々の作ったゲームが「ファミ通.com」さんと「電撃PlayStation」さんの取材を受けて
記事を掲載していただけるという大変ありがたいお話もあったので、ぜひこれは皆さんの実績としてポートフォリオに載せるなど大いに利用しちゃって下さい(笑)。
ではゲームの中身の話をしていこうかな。
石倉
まず今回は参加した全チーム共通で「渾然一体」というテーマが与えられたので、それを元にゲームゼミの2年~4年全体のグループLINE上で企画のコンペをやりましたね。
村上
40人もゼミ生がいるとはいえ、ゴールデンウィークのど真ん中だったし、せいぜい5~6個のネタが集まったらいいなと思ってたんだけど、
皆やたらムキになってどんどん企画を考えて、結局半日で32個ものゲーム企画が上がってきた。あの時のゼミ生全体のテンションの高さはヤバかったよね。
このノリとスピード感がゲームゼミの特徴だなって痛感したよ。
コンペ形式で2年生~4年生の企画草案を集めたところ、6時間で32案ものゲーム企画が集まりました。
石倉
あのコンペが始まった時、僕は東京観光で秋葉原にいたんですけど、後輩が頑張ってアイデアを出してるのをLINEで見てて、
ネットカフェにこもってずっとゲーム企画のネタ出しをやってました。
村上
観光しろよ。せっかく東京まで行ってるのに(笑)
石倉
結局僕は10個くらいゲーム企画案を出しましたね。
村上
ここでゼミ生全員で投票をして、西村の作品が見事1位に。
西村
はい、ありがとうございます。
村上
一番最初の企画案には何て書いてあった?
西村
「降り積もる屍に魂を入れていくテトリス型ゲーム。屍に魂が入ると奇声が鳴り、動き出す。入れる度徐々に音が増えていく。
ステージクリア後には1つの曲(不協和音)が出来上がっている。ステージの進行と共に、蘇った人間と、
この世を滅ぼさない為に人を蘇らせる神(プレイヤー)の苦難のストーリーが展開していく」という内容の提案でした。
村上
不協和音を渾然一体と解釈した企画だったね。
西村
プロットでは抽象的な表現も使ってたので言葉だけじゃ理解してもらえないかもと思って、イラストを描いてアップしたり、
あとはもっと具体的に伝えるためにUNITYで実際に動いてるところを作ってみて、その動画をアップしたりしました。
ゾンビたちがポップコーンみたいに弾けて暴れてたら面白いな、と思って。
これがイメージ画です。
村上
これがアップされた瞬間に全員のイメージががっちり共有できたね。
不思議なことに、抽象的な文章でありながら他の学生が出してきた具体的な案よりも感覚的に「あれ、なんか面白そうだぞ」って思ったんだよな。
みんなは何に魅力を感じた?
崎
僕は厨二心を刺激されました。特に不協和音のくだりが。
菊竹
私は、他の企画よりも内容が想像しやすかったです。
奥田
先生も大絶賛してましたけど、そもそもゾンビっていうモチーフがみんなの共通意識としてあるし、
現代社会へのアンチテーゼとしても使いやすいと感じたからですかね。
崎
村上先生が最初に大絶賛しちゃったから全員バイアスがかかった可能性はありますね(笑)
村上
それは言えてる。反省するわ(苦笑)
石倉
このプロットをもとにどうやってゲームにするかを考えた時に、ちょうどJapan Expoに持ち込むゲーム企画も同時並行で進んでいて、
しかもゲームジャムはテーマ発表から開催まで一週間を切ってる状態だったからとにかく時間がなくて、
リーダーだけ集まって大まかな仕様の方向性を決めることになったんです。
パッと見た感じは普通の落ち物ゲーム(テトリスやぷよぷよみたいなもの)なのに、
実際に遊んでみたらかなりぶっ壊れた印象のゲームにするっていうのを狙ってました。
そして、ゾンビゲームのシチュエーションとして「就活」をモチーフにしようとか、画面構成なんかを固めていきました。
その他にも遊びの要素としてどんなものがあれば面白くなるかを話し合いながら詰めていきました。
その後全メンバーを集めて仕様の詳細を固めていって、UIを含めた画面レイアウトもこの段階で決めました。
菊竹
その時既にゲームジャム開催の二日前でしたね(笑)
作品のテーマとは別に「多様性」っていうイベント全体のテーマがあって、そこにも就活の要素を結びつけてましたね。
なんでこの国の就活生はみんな同じスーツを着て同じ髪型をしなきゃいけないのかっていう疑問から、
そんな就活生に「多様性」を感じる事ができないっていうアンチテーゼをゲームの中に盛り込んでいきました。
多様性を奪われた立場からの、多様性を取り戻すゲームみたいな設定でしたね。
村上
最終的にその設定をゲームストーリーとしてシステムに絡めていったのね。
崎
ゲーム自体のテーマとなってる「渾然一体」は、就活ゾンビの呻き声の不協和音という意味合いと、
暴れるゾンビたちが画面中を混ざり合って弾ける様子に込めたんですよね。まるでミキサーの中身を覗いてるみたいな感じで。
西村
そこは私が想い描いていた通りのゲームになってたと思います。
村上
完成したゲームはビットサミットに出品させていただけたけど、他のライバルチームの作品はどうだった?
熊澤
今回優勝した、赤と青の色眼鏡をつけて遊ぶゲームが感動しました。これは二人で遊ぶゲームだったんですけど、画面の中に青い障害物と赤い障害物があって、
赤い眼鏡をつけてる人には赤い障害物が見えなくて、青い眼鏡をつけてる人には反対に青い障害物が消えるという状況で、
お互いに声を出し合いながら障害物の位置を説明し合って、協力してゴールを目指すゲームになってました。
そんな協力プレイの感覚に渾然一体感があって凄く良かったです。あとはビジュアルも可愛くて、この作品の受賞は納得でした。
ゲームジャムの会場にて、他のチームが制作したゲームを試遊する奥田(左)とちょむ(右)。
村上
個人的には、あの作品が受賞したのは、まず単純に嬉しかったなぁ。ていうのも、ゲームジャムの現場に企画の女の子が一人で乗り込んできて
「仲間が誰もいないので誰か手伝って下さい」って言いながら企画のプレゼンをする姿がたくましかった。
でも最初はそのプレゼン内容が正直あまり面白いと思わなくて少し心配だったんだけど、
徹夜状態で試行錯誤しながら完成まで漕ぎつけて、更には優勝するっていうサクセスストーリーに感動した。
菊竹
なんか、完全にお父さん目線ですね(笑)
崎
それ聞くと、我々は悪役ですね。事前にガチガチに仕様を固めて、しかも11人もの大所帯で乗り込むっていう(笑)
石倉
しかも京都コンピューター学院さんからプログラマーのナオヤさんだけいただいて更に組織力を強化して。
村上
でも彼は石倉の企画プレゼンが面白かったから我々のチームに協力したって言ってたよ。
石倉
本当にありがたい限りです。
菊竹
11人もいるチームに1人で入ってくる勇気が凄いですよ。普通怖いですよね。
奥田
髪染めてるのもウチらだけで浮いてたしね(笑)
村上
ガラの悪い大学だと思われただろうな。
一同
(爆笑)
ゼミ通ヒーローズ Vol.10 Part2に続く
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