キャラクターデザイン学科

インタビュー

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2019年9月12日  インタビュー

ゼミ通ヒーローズ Vol.10_ 2

 

ゼミ通ロゴ

 

ゼミ通ヒーローズ Vol.10

ゲームジャム座談会の巻 Part2

 

 

 

 ゼミ通10_1

村上

さてさて現場の話に戻そう。

実際にゲームを開発したスタッフの構成とかワークフローの話をしたいんだ。

 

石倉

ゲームジャム当日は、専門学校のナオヤさんを含めプログラマーが2人。

プランナーが3人、あとは全員デザイナーで、デザイナーの内訳としては、

キャラクターデザインが3人、UIデザインが2人、アニメーションが1人、背景画が1人。

あとは現場には来てなかったですけど前日にタイトルロゴを作ってくれた人が1人。

 

村上

来年やるときにはプログラマーを45人連れて行かなきゃキツいね。

デザイナーが多かった点では人海戦術で効率良く作業は進んだけど。

 

石倉

でもそのお陰で仕事を依頼したら物凄いスピードで絵がどんどん仕上がってくるんですよね。

お願いしたら何でも返ってくるっていう安心感は大きかったです。

 

村上

現場での情報共有の仕方は?

 

仕様書を作る時間はなかったので、口頭指示か、ホワイトボードを使ってやってましたね。

 

石倉

上がってきた絵を僕がチェックして、OKであればプログラマーにデータを渡して実装していただくという流れでした。

 

村上

崎と熊澤は?

 

ゲームジャムが始まる前から、正直「音」関係の作業をする人って多分いないんやろうなぁって思ってたし、

編集ツールのPremiereを扱えるのも僕しかいないと思ってたから、

何となく必然的に僕がやる事になるやろなと思ってましたね。

 

村上

開発の終盤になって、「そういや音ってどうする?」

みたいな話になって現場がパニクるのが容易に予想できたから最初に名乗り上げたと。

 

そうです。

 

熊澤

私は、音楽と効果音のフリー素材をネットで拾ってきて、それを崎先輩に確認していただいて、という感じでひたすら素材探しをしてましたね。

 

村上

デザイナーのワークフローはどんな感じだった?

 

奥田

最初に作るべき素材は全部決まってたし、皆それを理解してるところからのスタートだったので、動ける人はどんどん動いてましたね。

私はUI周りを総合的に見てたんですけど、手の空いた人がいたら仕事を振って、

石倉先輩にチェックしていただいてプログラマーさんにデータを渡すという流れでした。

 

村上

ウチの場合、デザイナーといえども1年生の時からみんなゲームプランナーとしての勉強をするから、

2年生にもなると「絵が描けるプランナー」「プランニングができるデザイナー」みたいな感じでゲームデザインを理解してるもんね。

両方分かってるからこそ企画意図を説明するだけでそこから最終イメージまで膨らませて作業をしてくれるから話が速いよね。

 

石倉

企画の時に絵も一緒に考えて、まず最初に画面のレイアウトとUIを整理して必要な素材の工数を出したり。

 

ニュアンスの全体像が見えてたからスタートダッシュは良かったよな。

 

奥田

ちょむ(吉田未来/当日参加していたデザイナー)にゲーム全体のメインカラーを決めてもらったんですよ。

使う色を最初に全部決めてカラーパレットを用意してもらって。

ポップなホラー要素がちょむの作風に合ってるなと思ったので、コンセプトに合わせてゾンビっぽい色とか世界観を決めていってもらいました。

 

菊竹

基本的にこのパレットだけで構成されてたので、あまり悩まないでどんどんデザイン素材を作っていく事ができましたね。

 

村上

こちらからは何も指示を出してないのに、すごい組織力だ(笑)

それぞれの作業の中で苦労したポイントは何かある?

 

石倉

苦労というか、宿泊のときの崎のいびきがうるさかったことくらいですかね。

制作については、チームとしてのまとまりも良かったし、プログラマーのナオヤさんにイメージを伝えた時も、

できる事とできない事をちゃんとメリハリをつけて説明してくれるので意思疎通もスムーズでと、ても居心地の良い環境でディレクターをやらせていただけたなぁという感想です。

 

菊竹

キャラクターを作ること自体はすぐに出来てちゃんと完成したんですけど、点数別に3人のキャラクターを並べたときに、

どれが一番点数の高いキャラクターなのかが一目で分からないっていうところが悩みでしたね。

 

村上

そこだけ各スタッフによって想い描いてたビジョンがバラついてた印象があったね。

髪の毛の色が明るい人は点数が高いっていう設定だったけど、そもそも「明るいって何?」という時点でイメージがズレてたね。

ゲーム画面で見ると、背景色が紫だったから黄色い髪の毛のキャラの方が目立ってて点数が高く見えるし、

でも実際には赤い髪のキャラが一番高かったんだけど、背景色が紫だったから、紫の上に赤を置いてもあまり目立たないという誤算があったね。

 

菊竹

実際にビットサミットの会場でお客さんにプレイしてもらったときに「どれが一番高いの?」て聞かれて…そこは反省点ですね。

作る前に背景も含めてもっとすり合わせをしておけば良かったなって思いました。

 

村上

コンセプトは「採用したくなる就活生」が点が高いという設定だったから、見た目が真面目そうな人ほど点が高くて、ヤンキーっぽいやつが点が低い設定にしてたよね。

 

結局ファンキーなやつほど点が高いっていう設定に変わってしまってましたね…。

 

石倉

デザイン面では、ゾンビとしてどんどん体が崩れていく方ができの悪い人で、欠損の少ない人ほど優秀っていう話もあったんですけど、

表示されるキャラクターのサイズが小さくて、プレイヤーとしてはゲームの展開上そんな細部まで見てる余裕もないので結局視認性優先で色を明るくしましたね。

 

奥田

UIはまだ勉強をしていない領域だったので正直どうしようって思いました。

でもゲーム全体をパソコンのデスクトップ上の世界としてまとめようって話になって、社長キャラがスカイプで出てきたりとか、

別のウィンドウ上で社員を管理してるような構想が出てきて徐々に見せるべきものが明確になってきましたね。

 

村上

あれだけ大勢のスタッフがいて皆がバラバラでデータを持ってくるから、予めパレットが決まってたとはいえ、

実際に画面に配置すると思ってたような感じにはならなかったりするだろうし、整合性を取るのは苦労してたよね。

 

奥田

サンプルを作る時に、大きさとか見てみたんですけど、結構難しかったのと、背景画がほとんどウィンドウで隠れていたので、

メインのウィンドウを半透明にした方が良いんじゃないかとか、色々試しました。UI周りは全体的に色々大変でした。

 

音の領域は、ビジュアルよりも先に遊んでる人の耳に届いて世界観を決定づけるものでもあるから、ゾンビの血生臭い感じを出すことが優先なのか、

デスクトップの世界観というところから電子感を重視すべきか、比重をどっちにするかで悩みました。

クリックしたときの音として、最初は「ピコン!」ていう電子音で進めてたんですけど、

最終的には「グシャ!」ていう汚い感じの音を実装しました。

 

村上

狙いとしてああいうポップな世界観だったので、あえてギャップを持たせてリアルに腐食した肉っぽい音を出すべきか議論してたね。

 

最終的にはボタンを押したときの感覚とか気持ち良さを優先に決めていきました。

 

村上

採用通知を落とすときの音が気持ち良いよね。

通知が当たった時の音はどのゾンビも一緒だったっけ?

 

一緒です。「ぶちゃちょばげ!」ていう北斗の拳っぽい感じの音です。その後で鳴るゾンビの昇天音として

「しょわー…きらきらきら…」って澄んだ感じの綺麗な音を入れる事でプレイヤーに達成感を与えるようにしています。

 

村上

ゲームプレイの気持ち良さは効果音で決まる事が多いし、気持ち良いと病みつきになってついついボタンを押してしまうよね。

マリオがジャンプするときの音が気持ち良いから、障害物が何もない所でもつい意味もなくジャンプを繰り返してしまったりするよね。

 

そうですね。他には合格通知と不合格通知を切り替えるときの「カチャコ!」ていう音がかなり苦労しましたね。

色々試してみて結果的にハンドガンのリロード音を使ったんですよ。あれが一番気持ち良くて。騒がしい展示会場でもちゃんと主張できる音にして、

それが遊びの気持ち良さにつながらないと意味がないので、あの音にして正解だったと思います。

これはプレイヤーが介入できる数少ない要素というか、即時フィードバックを促す大事なところなので、通知の切り替えと、それを落とすときの音はとにかく小気味良くしました。

あとは、熊澤さんに吹き込んでもらった女ゾンビの声を加工してどこまでブサイクにするか(笑)あんまり低すぎるとマツコになるんで。

 

一同

(笑)

 

石倉

最初にあがってきたとき、ゾンビの声が小さくて全然聞こえなかったんですよ。BGMの「天国と地獄」のボリュームが大きくて。

ていうかこの曲を使ってゲームを作ることが昔からの夢だったので、そこに力が入ってしまったんです。

 

村上

は?なにそれ(笑)

 

石倉

卒業までに「天国と地獄」を使ったゲームを作るって決めてたんですよ。だから、今回は「これだけは通してくれ」ってお願いして実装させてもらいました。

 

村上

結果的にあの慌ただしいゲームの雰囲気に合ってたから良かったけどね。

 

石倉

で、かなり調整をして何とか効果音も音楽も両方聞こえやすい音量と音質にしてもらって、綺麗に収まりました。

 

熊澤

でも、「天国と地獄」になると思ってなかったので、最初は背景の色とかビジュアルの雰囲気から、この色だったら可愛い系の音なのかな、

それともちょっとホラーチックな物々しい感じの音がいいかな、とその二択で考えて効果音を探してました。

で、途中で「天国と地獄」に決まったって聞いて、二つのイメージとも全然違ってたから「ど、どうしよう!!」てなりました。

 

石倉

(爆笑)

 

ところで、村上先生が社長役でゲーム内に登場してるけど、これは誰のアイデア?

ゼミ通10_2

 

奥田

私が落書きで村上先生を描いてて、それ見た伊藤舞(デザイナー)が

「あ、これいいやん。これ社長にしたら?」って言い出したのが始まりで、私のラフをもとに伊藤舞が清書していきました。

 

菊竹

先生にバレないように、こっそり描いてたんですよ。先生が近づいてきたら皆でモニター隠して(笑)

 

村上

最初に出てた案を見て、どうも社長のセリフが優しすぎるというかブラック感が足りなくて、「俺ならこう言うな」って言った瞬間に

石倉がすごい嬉しそうな顔するから、隠し事してたのもバレバレだったよ。

 

奥田

社長のコメントとして、村上先生らしい言葉を引き出そうとして、先生ならどう言います?って。先生と先輩との会話が人狼みたいになってました(笑)

 

村上

で、結果的にファミ通の人に「社長がうさん臭くていいよね」って言われた(笑)

ちょっと話は変わるけど、今回、2年~4年のゲームゼミの学生が入り混じって制作をしてみてどうだった?

 

石倉

この企画の前にも学年やゼミをまたいでハッカソンを一緒にやってた経緯もあって、何人かは顔馴染みになってましたね。

 

菊竹

学校終わりの部活みたいな感じで、先輩後輩でワイワイガヤガヤやって、アットホームな感じですごい楽しかったです。

 

奥田

ウチらみたいな騒がしい2年生に混じって、真面目な大瀬先輩が一人黙々とアニメーションを作り込んでるのがなんだか申し訳なくて(笑)

 

石倉

大瀬は職人気質だからひたすら仕事に集中してましたね。

 

村上

彼女は去年までアニメゼミにいたから、そこでの経験を活かして、パターンでのアニメーションを制作してくれたりして、持ち味は活かせたよね。

ただ、表示サイズが小さかったから、拘りのアニメーションがほとんど視認されないという(笑)

 

熊澤

私は中学校の時に部活に入ってたんですけど、中学校って上下関係がめちゃくちゃ厳しいじゃないですか。

最初そのイメージで今回の現場に行ったので、何て話せばいいんだろうって凄く心配でした。崎先輩とか見た目怖いし。

 

 ゼミ通10_3

 

熊澤

でも実際に話したら案外アットホームな感じだったので良かった~って思いました。

 

石倉

アットホームな感じを作るっていうか、「ちゃんと伝える」みたいなことはプランナーの基本なので、

そこは皆できてることが前提になるじゃないですかね。現場の空気作りとか人との接し方とか。

 

村上

あと、今回の作品は何が評価されたんだと思う?受賞は逃したものの、

後から大手の雑誌二社からの取材を受けてメディアで公表していただけた理由っていうのは何なんだろう?

 

それ、一つ僕なりの仮説がありまして。

 

一同

ほほう!

 

僕らがモチーフにした就活のイメージって、子供の頃にニュースなんかで聞いてた所謂就職氷河期のイメージですよね。

それで、今回取材に来られた方たちって、ど真ん中でそれを経験された人達じゃないかと思うんですよ。

いい感じでトラウマを刺激されて気になる作品として取り上げてくれたんじゃないかなって勝手に思ってます。

 

石倉

僕としては、プレイした時の感情曲線が明確だったというかメリハリの効いたゲームだったからかなって思ってます。

「これ、アクションゲームです」て言って渡されたら「あー、こんな感じか」で終わるんでしょうけど、見た目がパズルゲームみたいなのに、

いざ遊んでみると全然イメージが違うっていうギャップでも驚くし、その驚きって、つい誰かに言いたくなる面白さだと思うんですよ。

「これ作ったやつ頭おかしいよ。面白いからやってみなよ」って。

 

うーん、それはあるかもな。

 

菊竹

ゾンビが就活するっていうワケ分からなさとか。

 

西村

私はシンプルにビジュアルがいいなって思いました。まずパッとみて面白そうだなと思うし、情報も整理されてるし、遊んでみたくなるので。

 

村上

人を惹きつける切っ掛けはまずそこにあると思う。「おっ、ちゃんと作り込んである。じゃあ遊んであげよう」って。

そして「なんじゃこりゃ!」ってなる(笑)。このゲームはそういう感情曲線になってるよね。

ファミ通さんに掲載されたみたいに「落ち物ゲームかと思いきやクレーンゲームみたいな遊び方だった」っていう例え話が凄くうまくて、

逆にこっちが「なるほど、我々はそういうゲームを作ってたのか!」て思わされたね。

 

一同

確かに!

 

結局このゲームって、ジャンルは何なの?ポスターにはSSSとか書いてあったけど。

 

奥田

あれは村上先生が急に「就活シューティングシステム、略してSSS」って思いついて、それでポスターを作ったんですよ。

 

村上

嘘でも「前代未聞の××システム!」とか書かれると興味湧くでしょ。Sって付いたらなんかレベル高そうだし。ゲーム開発の仕事をしてた頃は、

毎回「××システム」って名前をつけて、その略語がキャッチーになるように考えて、とにかくお客さんの記憶に残るようにするっていうやり方をしてたもんだから、つい。

 

奥田

あの時先生頭バグってるって思いました。顔にパックしながら仕事してたし、ワケわかんない(笑)

 

村上

バグってるのはいつもの事なんだけど…。そういやポスター作ったのってビットサミットに出展する前日だったよな。

奥田

そうですよ。前日の夜にポスターと取扱説明書を作ったんです。私が通ってた英会話の先生に急遽電話してその場で説明書の英訳してもらったりして。

 

村上

あの時のスケジュールは本当に無茶苦茶だったね。でもそう言える制作の方が後から思い返した時に良い思い出になるもんなんだよね。

 

石倉

勢いがあったからこそ作れたものだと思いますしね。一回立ち止まって吟味してたら多分企画が頓挫してましたよ。

 

トランス状態になるにはあの二日間っていう時間が心地よかったですね。

 

村上

まぁ、そんなこんなで無事に全行程終了したわけだけど、思い出話をし出すと切りがないのでそろそろこの辺でお開きにしましょう。

それでは皆さんありがとうございました。

 

一同

ありがとうございました。

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