キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズ Vol.33 特別編! 村上日向とイラストゼミについて語るの巻 Part 2

26-00

「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

今回は、特別編と題し、イラストゼミ十二期生で現4年生の村上日向さんと、卒業制作作品「meconopsis.」の制作を通して、イラストゼミの活動について語りたいと思います。

 

 

村上@アラフィフ

では今度は作品の展示の話をしていこう。

最初、どっち向きに絵を展示するかで色々あったね。

 

33-4

卒業制作展での展示イメージ

ヒナタ

ありましたね(笑)。外から見えないから向きを変えたらって言われましたけど、最後の最後まで抵抗して太木先生(グラフィックデザインの先生)とケンカしちゃって(笑)。

というのも、メコノプシスをめっちゃ咲かせてる所に行ったことがあって、その前にも植物園でメコノプシスを見たことはあったんですけど、そのときは「辺り一面メコノプシスだー!」って感動したんですね。それをどうしても表現したくて。

さっき先生が言った山の上のお花畑と同じで、一面に咲いていて、その中心に自分がいるっていうのが拘りのポイントだったんです。

なので、外には向けません…と(笑)。展示が終わる30分前まで太木先生に抵抗し続けてたら、「あんたそういうところ絶対曲げないね」って諦めて去って行かれました。

 

村上@アラフィフ

いや、それは諦めたんじゃなくて、ちゃんとヒナタのことを認めてくれたんだと思うよ。単に頑固なだけじゃなくて、ちゃんと根拠があってのことだから。

 

ヒナタ

結果的に、中まで入ってきてくれた方は皆「良かった」って言ってくれたし、もし入りにくそうにしてる人がいたら自分から声をかけてました。確かに入りにくいとは思うんですけど、そこは自分の力で引き込むことができる自信があったので、何が何でも内向きの展示を貫きました。

 

村上@アラフィフ

で、奨励賞も獲得したと。

 

ヒナタ

はい、ありがとうございます。ちゃんとイラストで賞を獲りましたよ。

去年の野岸先輩が褒めてくれたんですよ。マンガじゃなくてイラストで賞を獲ったからって。

 

藤本先生

去年イラストゼミで初受賞した作品が、イラストゼミなのにマンガがメインの作品だったので、それを本人が気にしてたみたいで…。

 

村上@アラフィフ

何も気にすることないと思うんだけどなー…。

 

ヒナタ

なので、今年はイラスト作品で賞が獲れてよかったって言ってくれました。

 

村上@アラフィフ

ヒナタはイラストゼミのリーダーでもあり、イラスト作品で賞を獲った最初の学生でもあると。面目保てたね。

 

ヒナタ

来年はもう優秀賞か学長賞を獲るしかないという状況なので、後輩にはそのことを伝えました(笑)。

 

村上@アラフィフ

すげープレッシャーだな…。

ちなみに、リーダーのヒナタから見て、イラストゼミってどういう所なの?

 

ヒナタ

「家」ですよね。皆で集まって好きな絵を描いて、楽しく話して、でもちゃんと互いにライバル意識もあるので切磋琢磨し合えるというか。育つ場所という意味でも家ですね。

 

村上@アラフィフ

藤本父さんにしっかり栄養を与えてもらって(笑)。

 

ヒナタ

藤本先生もみんなのことを「娘だ」って言ってますもんね(笑)。

 

村上@アラフィフ

家か、いいなぁ。グラフィックゼミとゲームゼミは「会社」って言われてる。

やっぱりイラストゼミはこの学科の中でも一番人気があるので、初めての人でも分かるようにイラストゼミの魅力を語ってみて。

 

ヒナタ

魅力と言えるのかどうか分からないですけど、自分が描かなきゃ絶対に結果には繋がらないんですね。何か指示を出されて描くんじゃなくて、自分を保ちながらも絶対に自分で成長してやるぞっていう意気込みがないと落とされますから(笑)。

 

村上@アラフィフ

落とされるっていうのは、進級したときにイラストゼミから外されるってことね。

 

ヒナタ

そうです。確かにイラストを描くのは楽しいし、ゼミ自体も楽しいんです。でも、イラストが好きでこのゼミに入ったからには「私はイラストゼミに入ったんだ」っていう意識をしっかりと持って、成長するぞっていう意気込みがないと生きづらいというか、楽しめなくなってしまうと思います。精鋭たちが揃うことになると思うので。

 

村上@アラフィフ

イラストって、その名称からしてもキャッチーだし、子供の頃からイラストを描くのが好きな人がその延長でこのゼミを希望する人って大勢いるよね。

 

ヒナタ

私たちの時代はまだそんなにガチガチではなかったですけど、今のイラストゼミに入るための倍率だの選考だのかなりえげつないって聞くので、大変だとは思うんですけど、本気の人はぜひイラストゼミに来てくれたら嬉しいです。

 

村上@アラフィフ

なるほどね。

実は、去年あたりから、イラストゼミが新しい段階に入った印象があってね。

 

藤本先生

え!?

 

村上@アラフィフ

藤本先生がめっちゃ驚いた顔してる(笑)

藤本先生

村上@アラフィフ

それは何かって言うと、以前まではキャラクターを作って立ちパネルを置いておわり、ていうパターンが多くて、あとは絵のサイズや数で勝負っていう。それが、今年でいうと絵本の媒体があったり、イラストとしてのイラストではなくて媒体ありきでのイラスト作品っていう形で魅せ方を工夫するようになってきた印象がある。展示の仕方もそうだし、それ以前に表現媒体そのものから変わってきてる。この勢いでイラストゼミが進化すると、来年以降一体どうなってしまうんだろうって、凄く楽しみ。

 

ヒナタ

可愛そう、後輩(笑)。

 

藤本先生

プレッシャーがすごいですね(笑)。

 

ヒナタ

今年のイラストゼミは全員が我が強いっていうか、拘り屋さんばかりだったと思うんですよね。私はデカい作品にしましたけど、絵を描くために研究し尽くした人が奨励賞をもらったと思ってるので、イラストだけじゃなくてその周りのものにもしっかりと目を向けて、最終的にそれをイラストに落とし込むことが必要になってくるのかなって思いますね。

我が強いだけじゃなくて、皆時間をきっちり守るメンバーなので、これまで点呼とるときに困ったことないんです。

 

藤本先生

そういえば、そうだね。

 

ヒナタ

遅刻する人いないんです。連絡がつかなくなるようなこともないし。そういう基本の部分ができてるから、それぞれしっかりやり切ることができたのかなって思いますね。

 

村上@アラフィフ

ゼミリーダーがこう申しておりますが、藤本先生は今年度振り返ってみていかがでしたか?

 

藤本先生

そうですね、画力の高いメンバーが揃ってたので、それぞれ描きたいものとか明確なテーマもあったりして、しかもそれを全員が認め合っているっていう感じがうまいことまとまっていた感じですね。

上手い人が集まると、どうしても描ける人と負い目を感じてしまう人の層が出来てしまうんですけど、今年はそういうこともなく、全員のベクトルがそれぞれ違ってたので、うまくバランスがとれてたゼミだったかなと。そこをうまくまとめてくれたのがゼミリーダーである村上さんだったんだと思います。そこに縁の下の力持ち担当だったり、盛り上げ役だったりっていう学生がいて、良い感じでしたね。

 

村上@アラフィフ

いつもテーマを洗い出すときって難しいんだろうなって思いながら見てるんですよね。

例えばアニメゼミならアニメを作るというようにメディアが決まってるんですけど、イラストの場合は何をするの?っていうところから始めなければいけない。

 

藤本先生

そういう意味では村上さんもメコノプシスに行き着くまでは結構大変だったのかなと。元々「描ける人」だったので、その分やっぱり自分の中でのハードルも周りの人からのハードルも高いので、それを超えるために何を描くのかっていう、他の人とは違ったハードルを自分の中に持ってたのかなって思います。

 

ヒナタ

そうですね。自分で言うのもアレですけど、なんか期待されてるなぁとは思ってて、それにちゃんと応えたいという気持ちもあるし、色々葛藤はあったんですけど、どうせ期待されてるんだったらもう好きな絵を描こうって思ったんですよね。

 

藤本先生

ある意味開き直れた感じだね。メコノプシスが決まってからも、色々と僕もアドバイスをしていて、最初の頃はもっとゴテゴテしてたんですよ。背景画を加えたり、フレームのデザインを入れて周りを囲んだりとか。あと、卓上クーラーを置いて高山のひんやり感を出そうとか、音楽を流そうとか。なんか色々考えてたんですけど、これらは最終的に全部削ぎ落として、あのシンプルな見栄えになりましたね。結果、高山植物の凛とした感じに行き着いたというのは面白かったなぁと思いますね。

 

ヒナタ

ほんとに引き算って大事なんだなって思いました。

 

藤本先生

そこに行き着くまでにも、最初から引き算を考えるんじゃなくて、ゴテゴテ付け足したものがあって、そこから引いていったのが良かったんじゃないかな。それで残ってきたものもあったし。雄しべ雌しべの色とか、花の色をどう使うのか、とかね。なので、面白い作り方だったなって思います。

 

村上@アラフィフ

さっきもモノづくりには技術やセンスじゃなくて性格が大きく関わってくるって話したけど、ヒナタは昔からアグレッシブだった印象が強いんだよね。例えば台湾の研修旅行の参加とか。

 

ヒナタ

わー!懐かしいー!

あのときは1年生でしたね。ちなみに村上先生のLINEアイコン、その時台湾で撮影したものですよね。見るたびに自撮りが下手だなって思ってました(笑)。

 

村上@アラフィフ

オードリー・ヘップバーンのモノマネしたときの写真かな?

 

オードリー・ヘップバーン

オードリー・ヘップバーン

村上@アラフィフ

あとはHappy Elementsさんの授業を受けてたのは2年だったかな?

 

ヒナタ

そうですね、2年の時でした。

 

村上@アラフィフ

あれは基本3年生向けの授業だったところに二人だけ2年生がいて、この時はグループワークで課題をやってたんだけど、先輩に囲まれながらも恐れ知らずな感じでガンガン意見言って対等にやりとりしてたのが印象的だった。

そういう場に自分から首を突っ込んでいく姿勢がクリエイティブにも繋がってるんだと思うよ。

 

ヒナタ

でも私、自分の興味あることしかやらないですよ。

 

村上@アラフィフ

いや、それでいいよ。好きなことをやってたら、拘りも出てくるからもっと調べて精度を上げて、その過程で色んな知識が身についたり人脈ができたりするので。絵がうまくてもそういう場に首を突っ込めなかったら仕事なんかいただけないもん。

 

ヒナタ

それはそうですね。卒展のときはほぼ毎日会場にいたんですよね。そしたら色んな人と話ができて、その中で「めっちゃ絵が好きなんで、仕事を依頼しにいくと思います」って話をいただいたりして。あとは個人で音楽を作ってる人が「ジャケットの絵を描いていただけますか?」って言ってきたり。結局自分が動かないと始まらないんだなって思いました。

 

村上@アラフィフ

おおー、いい話が聞けた(笑)

 

ヒナタ

私、青いキャラクターばっかり作ってたじゃないですか。だから初音ミクが好きな人がいっぱい見てて、中にはボカロPが結構いたみたいで、そういう関連で3人くらいから連絡がきましたね。でもこの人たちって全部自分がその場で声をかけてお話しさせていただいた人たちなんですよ。アグレッシブだったからこそ得られた縁なんだなって思いました。

 

村上@アラフィフ

人間ありきで見てもらってるってことだね。

 

ヒナタ

そうですね。どデカイ布教作品を作ってるので、説明しないと始まらないんですよ。作品の内容についてはキャプションに書いてますけど、でもやっぱり文字で読むのと直接話して説明するのとでは全然違うので。オープンキャンパスもあったから高校生も来てたじゃないですか。イラスト描くのが好きだったらこの学科においでってめちゃくちゃ言ったので。いずれイラストゼミ希望者の倍率がド跳ねしますよ(笑)。

 

藤本先生

村上さんが蒔いた種が実るんですね。

 

村上@アラフィフ

高山植物だけにね。おあとがよろしいようで。

というわけで、今日はイラストゼミの村上日向さんにお話を伺いました。では卒業後も頑張って素晴らしい絵を描き続けて下さい。

 

ヒナタ

はい、ありがとうございました。

 

 

<203204205206207>