キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.38 竹内彩梅と学科展について語るの巻

「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

村上

今回のゼミ通ヒーローズは、ゲームゼミ3年生の竹内彩梅さんのインタビューの続きをお送りします。

ではここからは学科展を振り返りながら話をしていこうと思います。

 

竹内

はい、宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹内彩梅さん

 

村上

今回竹内が作ったゲームは、二人協力プレイで、二つのモニターにはそれぞれ別々の画面が映っていて、お互い会話をしながらヒントを出し合って迷路を脱出するゲーム。

お互い見てる画面は別々だけど、ちゃんと場は共有されていて、その上で人間関係をどうデザインするかが問われる企画だね。なんか任天堂っぽい発想とも言える。

 

竹内

片方のプレイヤーは実際に3Dのマップ内を歩き回って、もう一人の画面には俯瞰の地図だけが表示されていて、この人はゴールの位置が分かってるわけですよ。それでお互いに対話のみで協力しながらゴールを目指すゲームになっています。

ゲームの展示の様子

 

村上

向かい合った形になってるからお互いのモニターは見えないと。

 

竹内

なので声を出し合わないといけないんです。

 

村上

一人が地図を見てるなら簡単にゴールへ導けそうな印象を受けるけど、たまに似たような地形があったり紛らわしい地形があるので、いかに状況を観察をして地形の特徴を掴むかが大事になってくるね。

 

竹内

そうです。ちゃんと見たものを正確に言葉で描写するっていうことですかね。

実際に来場していただいた方のプレイを見てたんですけど、「あ、わかんない!わかんない!」ってなっちゃうと、地図を持ってる側も焦ってディスコミュニケーションっていうか、なかなか意思疎通がとれなくなってしまうので、いかに冷静に対応するかも求められますね。

 

村上

マップの中に所々高い塔みたいなものや立体交差があって、絵が単調にならないような仕掛けが施されてるから、そういう目立つ部分をどういう言葉で描写するかが大事だね。

 

竹内

しかも誘導役のプレイヤーが見ている地図は俯瞰なので高低差が分からないわけですよ。例えば細い円柱があって、それは歩いている側のプレイヤーから見ると確かに細い円柱に見えてるんですけど、地図側だと高さが見えないので、ただの小さな丸にしかなっていないんです。

 

村上

お互いに「ここはきっとこうだろう」っていう予測を含めて指示し合ってても、いつの間にかすれ違いが起こってて、しかもそのすれ違いにすら気付いていなくて、どんどんゴールから遠ざかっていくみたいな現象が起きるのね。

 

竹内

そういうことです。

 

村上

これって時間制限ってあったっけ?

 

竹内

それはないですね。でもあった方が良かったかもしれないですね。

 

村上

制限があれば焦りも大きくなって、逆に制限時間がなかったらいずれは誰でもクリアできてしまう。何らかのペナルティになる要素を足してやればもっと面白くなるんだろうね。例えば、一度踏んだ道を二回踏んだらダメージを食らうとか。

 

竹内

それ、めちゃくちゃ難しくないですかね…。

 

村上

え?あ、うん。難しすぎる…かもね…。

じゃあ、ゴールに行く過程でいくつかのチェックポイントを通過すると得点アップとか。

獲らなくてもクリアはできるけど、早くゴールするか高得点でゴールするかの葛藤が生まれたら面白いかなと。目の前に見えてるゴールへ駆け込むのが先か、反対側に見えてるお宝を手に入れるのが先か、とか、そんな駆け引きもデザインできたらアツいよね。

 

竹内

それはいいですね。

 

村上

学科展の二日目に幼い子供と一緒にお父さんが一生懸命プレイしてくれてたよね。

 

親子のプレイの様子

 

竹内

あれは息子さんの方が映像を見て興味をもっていただけて、「遊びたい!」って言ってくれて。それで私含めて学生スタッフ何人かで「ここに何が見える?」とか「見たものをお父さんに言葉で伝えてみよっか」って促して。今度はお父さんの方に「お子さんがこう言ってるんですけど、どこだと思います?」とかサポートして遊んでいただきました。

 

村上

結構長い時間頑張ってたよね。

 

竹内

途中でかなり詰まってたんですけど、お父さんもお子さんも夢中になって声を掛け合いながら、頑張ってゴールインしてくださいました。

 

村上

親子の間で鑑賞と対話が生まれるゲームなんだね。

息子が頑張ってたら、お父さんとしては諦めるわけにいかないもんね(笑)

 

竹内

「そろそろ終わろうか」ってなるんじゃなくて、「最後までいくぞ」ってなってくれたので、すごく根気強いお父さんだなって思いました。

 

村上

親子での対話が生まれる感覚だったり、観察をしてそれを自分なりに解釈して、言語化して相手に伝えるっていう、ただ単にゲームで遊んでるだけなのに、実はその中に学びの色んな側面が含まれたゲームシステムになっていて、もしかしたらあのお父さんはそこに気づいたから息子に最後まで付き合おうってなったのかも知れないね。

 

竹内

楽しんでいただけで本当に良かったです。

 

村上

竹内自身、このゲームを作ってるときはどうだった?結構難航してたけど。

 

竹内

そうですね。一人での制作で、しかも初めてのゲーム作りだったので、プログラミングで少し詰まったり、あとはグラフィックデザインが得意な方ではないので、ワクワクする画面の構成ってどんなのだろう?ってなったり。ビジュアル作りはかなり手間取りましたね。

でも展示一日目の来場者の遊び方を見て、その日のうちに改良して二日目にようやく完成しました。

 

村上

一日目で何を改良した?

 

竹内

当初は白黒のマップとして表示してたんです。ただこれが難しすぎたみたいだったので、その日のうちにマップに色を付けることにしました。そしたら次の日は「そこに黄色い何かがある」とか「ピンク色の壁が右にあって、左側が青くて」っていうような感じで、色を使って説明するようになったので、これによって結構クリア率が上がって、一日目に比べると想定通りに盛り上がりました。

急ピッチでしたけど修正して良かったなと思いましたね。

 

村上

色とか形状でものすごく紛らわしい要素を散りばめておいて、プレイヤーがミスリードして焦るみたいな仕掛けができればもっと面白くなったかもね。作り手の掌で踊らされてる感が出るっていうか。なんて考えると、本当にゲーム作りには終わりがないなって感じるね。

 

移動する側のゲーム画面のイメージ

 

村上

今回の表現は3DCGということで、そこはCGの授業で技術を培ってきた成果なのかな。

 

竹内

去年はCGゼミに所属していて今年からゲームゼミに移ったんですけど、私はCGツールよりはむしろAfter Effectsに触れる時間の方が長かったですね。

 

村上

いずれにしても映像制作のノウハウはあるもんね。ていうか、一年生のときの「ゲーム制作基礎」で竹内の発想力と表現力とプレゼン力がズバ抜けたものがあったから、間違いなくゲームゼミのエースになるんだろうなと思って楽しみにしてたらCGゼミに行ってた(笑)

 

竹内

いや、すごく迷ったんですよ。でも入学当時はCGをやりたかったので、初志貫徹でいこうと思ってCGゼミに行って、でもやっぱり遊びとかゲームに関わってみたくて、3年からゲームゼミに移籍しました。

 

村上

先に技術を身につけて、その技術をゲームの分野でどう応用するか、という意味では良い流れかもね。RPGでいうところのジョブとアビリティの組み合わせみたいな。

ゲームゼミは人数が多いので途中からの移籍はかなり厳しいけど、竹内くらいポテンシャルが高ければ無理やりでも受け入れる。

次年度はもう卒業制作と就職活動なので、今年のうちにたくさん経験を積んで実力を伸ばして、これから先もぜひ色んなことに挑戦していって下さいね。

 

竹内

はい、ありがとうございました。

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