環境デザイン学科

卒業生インタビュー 〜Vol.2〜

環境デザイン学科「卒業生インタビュー」。
第2回は、家具職人であり、現在は本大学に非常勤講師として環境デザイン学科1年生の演習課題「私の小さな椅子」の指導もしてくださっている竹田慎一先生にインタビューします。

 

竹田先生は京都出身。本大学の環境デザイン学科を卒業後に、香川県の「桜製作所」に就職、家具職人として経験を積んだのち、2020年に京都に戻って来られて「komorik」を立ち上げられました。

 

竹田先生が学生だったのは15〜6年前。当時から竹田先生を知る先生方に聞いたところ、ちょっぴり「やんちゃ」な印象、勉強嫌い、でも学校大好き!!!な学生さんだったようです。

 

さて今日はどんなお話が聞けるでしょうか?

 

ー竹田先生、よろしくお願いします!

 

本当に僕でお役に立てるかどうか笑

 

ーいえいえ笑

まず、どうしてこの大学へ入ろうと思ったのでしょうか?

 

僕はラグビーがしたくて、ラグビーの強豪校である伏見工業高校に入りました。そして勉強が好きじゃなかったという理由だけで笑、普通科じゃなくて建築科に入ったんです。

 

工業高校の建築は構造から入るんですよね。工業高校で建築を学んでみて、改めて建築をデザインから学んでわけわからん建物とか作ってみたい!と思ったんです。

 

ラグビー推薦でも大学には行けたのですが、僕は芸大に行きたいと思いました。

 

ーわけわからん建物、いいですね笑

 

ラグビーやりながらも冷静に考えた僕の選択でした笑

 

ーどのような形で受験されたのですか?

 

芸大の入試のために高校3年生から画塾でデッサンを学んでいたんですが、なかなか難しくて・・結局、当時の推薦入試の面接で入りましたね。面接の他に、作品提出とディスカッションもありました。

 

実は、ラグビーで一つだけ京都の他の芸大に行ける推薦があったんですが、その試験日と全国大会の決勝が被ったんです。決勝は、京都テレビで生放送。絶対映りたい!と思って試験を諦めて決勝を選んだのに、決勝で負けたんです。

 

その1週間後に本当にいいタイミングでこの大学の推薦入試があって笑、めちゃくちゃ落ち込みながら面接を受けたのを覚えています。

 

忘れもしない3人の先生の面接で、真ん中に座っていたのが当時いらっしゃった中村勇大先生。中村先生が僕にラグビーの質問をしてくれて、後々聞くとラグビーやってて芸大に来ようと思う僕をおもろいと言ってくれてたと聞きました。

 

ー入学してみて、本大学で過ごした4年間ははどうでしたか?

 

めちゃくちゃ楽しかったです!!遊びに来てる感覚で毎日学校に来ていましたね。

 

先生には叱られてばっかりでしたが、叱られてても楽しかった。課題の合評も毎回コテンパンにされてましたが頑張ってました。

 

時代も違うので、今の大学とはまた雰囲気が全然ちがっていたと思います。

 

ー今はそんなに叱られている学生はいませんよね笑

 

そうですね笑

 

大学時代はいろんなアルバイトをしていて、みんなで白川通りの「ベリーベリーカフェ」さんの家具を作ったりもしました。今もその家具を使って営業されていらっしゃると思います。

 

いろんなアルバイトをしていたことは本当によかったし、もっとしておけばよかったと思うくらいです。

 

懐かしい校舎で。

ー今の学生はどんな印象ですか?

 

今の学生は真面目だなと思います。

 

うらやましいのはパソコンとかCAD(設計ソフト)が授業にあるところ。大変やなあと思うのは課題とか就活とかをしているところを見ると思いますね。

 

ー当時の環境デザイン学科で竹田先生はどんな勉強をしていたのでしょう?

 

当時在籍されていた前田博先生のゼミで、地域デザインを勉強していました。卒業制作は街をひとつ作って提案するような大掛かりなもので、模型も作りましたよ。

 

前田先生には大変お世話になって、ひどく叱られたこともありました笑

 

ー笑。大変お世話になってますね。

 

はい笑

僕は半年だけ留年してしまっているので、先生方や事務の方にはご心配をおかけしてしまいました。9月頃卒業して就職活動をしました。

 

まさにその当時ご心配をおかけした荒川先生と。

ー大学に通っているときから家具に興味はお持ちだったんですか?

 

この大学で勉強する中で気づいたこととして、自分は机にずっと座って作業することができないタイプ、そして作業を自分1人で最初から最後まで完結したいタイプだということに気づきました。それで家具の仕事に興味を持ちました。

 

実際は違いましたけどね。今は代表ですし、机に座る作業めちゃくちゃありますよ笑

 

ーどういう経緯で今のお仕事に就かれたのでしょう?

 

香川県で家具職人の修行を積んで、2020年から京都に戻ってきて会社を立ち上げました。

 

大学時代にジョージ・ナカシマという家具デザイナーが好きで、彼がデザインした家具をつくるライセンスのある香川県の会社にどうしても入社したかった。その会社は、そのとき求人募集していなかったんですが、気合いで入りましたね。

 

ー気合いで、とは?笑

 

まず電話をして、採用はないと言われたんですがお願いして香川県まで会社に見学に行きました。履歴書も持って行って、社長さんや会長さんとお話しました。

 

職人でなく事務職でもどの部署でもいいから採用してくださいと伝えましたが、やはりそのときは採用はないと言われましたね。

 

その1週間後に御礼の手紙を持って再度香川県まで伺ったんです。

 

ーすごいですね!

 

実は、ずっと就職の相談に乗って下さっていた当時の学科事務室の職員の方が、「御礼の手紙を持ってもう一度行ってきなさい」と背中を押して下さって。

 

その方に背中を押されて、学生だからお金もなかったんですが1週間後に御礼の手紙を持ってもう一度香川に行きました。

 

社長は不在だったんですが、事務の方に手紙を渡して帰って来ました。

 

そしたら、先方から検討しているから少し待ってくださいという電話があって、程なく事務職で採用されたんです。

 

ーすごい話!最初は事務職だったんですね。

 

とにかく最初は外回りをして自分の名前を覚えてもらって、あとは会社の人の名前を全員書き出して覚えました。職人さんたちにも積極的に話しかけましたね。

 

半年後に、別の事務員さんが入社したことをきっかけに希望していた職人の仕事につくことができました。結果的に、会社のことをとにかく覚えた半年間になったんです。

 

ーすごい!したい仕事に就けて本当に良かったですね!

 

その職員の方のサポートがなかったら今の僕はないですね。本当に恩人です。

 

1年生の演習授業の木工課題で椅子制作を教えてくださっています

 

ーお話を聞いているとすごいエネルギーでお仕事への道を切り拓いていっていますよね。何が原動力だったんでしょう?

 

僕は先生方や事務の方に本当に迷惑をかけて、4年間みなさんに叱り励ましてもらったんです。

 

同級生は一足先に社会へ出てやりたいことをやっている。カッコ悪い自分が嫌だったし、「見返そう」という気持ちもありましたね。

 

ー母校にいま非常勤講師として帰って来ていかがですか?

 

内心「やったな」と思っていますよ笑

香川から京都に戻ってきて独立のタイミングでちょうど声がかかって、すごく嬉しかったです!

 

ただ、もう1年着任が早かったら恩師の前田先生と先生同士という立場で肩を並べることができたのに、と思っています。

(前田博先生は2019年度まで在職)

 

作り手となってからは先生とは違った意見も持てるようになったので、先生とこの大学で再び討論がしたいです。

今からでも叶えたい夢ですね。

 

ー大学時代に先生からいただいて今も大事にされているお言葉があると聞きました。

 

前田先生の言葉で、「心のデザイン」という言葉が印象に残っています。

 

「デザインってなんすかね」と聞いたら返ってきた言葉です。何を作っても結局人は心のデザインをしているというようなお話で、デザインは相手ありき、対人に対するものと教えてもらったんです。

 

卒業式の打ち上げで先生に御礼の挨拶とともにこの言葉を忘れません、と伝えました。家具を作っている今、より一層その言葉がわかるようになりました。

 

授業でお世話になった河合先生と肩を並べて。

 

ー今の学生(後輩たち)に何かメッセージをいただけますか?

 

失敗を恐れないでほしい。学生は失敗しても許される存在で、抜け道を探したり、もっとぶっ飛んだことをしてもいい。失敗しないと、失敗した後のことが学べない。

 

もちろん失敗しないに越したことはないけど人間だから失敗はあります。成功しているときはいいけど生きていたら失敗の方が多いです。

 

仕事をする上で、今でも失敗はするけど、同じ失敗は取り戻せる、失敗したときに立て直すことができる。この失敗ならこういうふうにやり直せる、というふうに判断ができるようになります。

 

100%やっても失敗するときはするし、思い切りやって失敗するのはすごくいいことだと思います。記憶に残りますからね。

 

ーでは、竹田先生の学生時代の最大の「失敗」を教えてください!

 

それはもう「留年」です笑

大失敗です!

 

高校の部活もレギュラー、大学受験もうまく行き芸大に入れた、と今まで要領よく来ていたのに、必修の1科目だけうっかり落としてしまった。

 

なんとか通してもらおうと思ったけど、そんなことは勿論できるわけもなくて笑

この時ばかりは手詰まりになりましたね。

 

それを悪い思い出にしたくない、正解にしたいと思って頑張りました。その悔しいという気持ちが就職活動の後押しになってやりたい仕事に就けたと思います。

 

ー叱られてばかりだった、勉強が嫌いだったというお話ですが、竹田先生からは愛校心としか言いようのないものが感じられるのですが笑

 

それはやっぱり人ですね。お世話になった先生方や職員さんたちがいるから。

 

さっきのお話の学科事務室の職員の方にも本当に温かいお叱りを何度も頂きましたしね。就職した後、香川まで会いに来てくれたんですよ。すごく嬉しかったです。今もこの大学に来た際にはご挨拶に伺っています。

 

本当にこの大学のみなさんにお世話になりました。あったかく叱っていただいた。本当に義理人情ですよ。

 

お世話になった先生方と同じ教職員証!

ー竹田先生、本日はありがとうございました!

 

■インタビューを終えて
修行された香川県の桜製作所さんとの繋がりは今でもあり、今年度竹田先生が教えた1年生の中には、現在竹田先生の製作所時代の後輩の方が教えている高松工芸高校から入学した学生がおり、連絡を取り合ったりしたそうです。

 

勉強嫌い、先生に怒られていたというやんちゃなお話ばかりが出てくる中で、竹田先生から愛校心としかいいようのないものが立ち上ってくるのがとても印象に残りました。

 

京都芸術大学には、先生方や事務の方がまるで学生のことを自分ごとのように陰日向となって親身になってくださる暖かさが今も変わらずあります。

 

恩師である前田先生との競演がいつの日か叶いますように!

 

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「学長賞および大学院賞」受賞作品紹介 ― 2021年度 京都芸術大学卒業展・大学院修了展

 

◆「瓜生山通信」環境デザイン学科の学生作品展(オーブ展)が取り上げられました。

 

 

 

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こういう家具、ありますよね。

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