- 2022年4月21日
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ゼミ通ヒーローズVol.47「辻村奈菜子と卒制作品『ハコニワ』について語るの巻」Part3
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
ゼミ通ヒーローズVol.47「辻村奈菜子を卒制作品『ハコニワ』について語るの巻」
Part2からの続き
辻村奈菜子さん
ギミックの話
村上
前回のインタビューでは、「絶対位置センサー」の実装によるゲーム進行について話をしてたけど、マイコンボードのアルディーノを使ってジオラマが実際に動くといった仕掛けも面白い要素だったよね。
辻村奈菜子(以下辻村)
ギミックを考えてるときに、「時間があればジオラマを動かせたらいいな」くらいに思っていて、12月の頭くらいに急に実装しようと思い立って先生に相談しましたね。
村上
最終合評まで残り三週間というときに、急にそんな大胆な、しかもやったこともない難しい仕掛けに挑戦したいと言い出したから「こいつ正気か!?」って思ったけど、どうも本気っぽいし…一旦言い出したら退かないし…(笑)。
辻村
そうでしたね(笑)。
村上
とりあえず一緒にヨドバシカメラへ行って、タミヤの工作セットの中からお勧めのギアとモーターの組み合わせを紹介したね。モーターの回転数やらギアを介したタイヤの移動速度を計算して…あれは楽しかったけど大変だったなぁ。
辻村
何とか締め切りに間に合いましたねぇ~(笑)。
村上
結果オーライってやつだね。
あと、「翻訳くん」の機能についても驚いている来場者の方が結構多かったね。
辻村
ジオラマに掘られた謎の暗号文にセンサーを近づけると、モニター上にはそれを日本語に訳したヒント文字が表示されるという仕様なんですけど、絶対位置センサーの「ブロックを置く」機能を応用させただけで、実はそんなに難しいことはやってないんですよ。
これは「座標」を読み取るようにしてるんです。要は、今どの位置のコードを読み取ってるのかを検知して、その座標の内容に合わせた画像を表示させてるだけなんです。
なので、書かれている記号には何の意味もなくて、でもそこにセンサーを当てると文字として翻訳されていくように見えるから、それが驚きになるみたいです。
村上
仕組みは単純でも、遊んでる側からすると物凄く高度なプログラミング処理をしてるように見えるから「一体どういう仕掛けなんだ!?」ってなる。
辻村
そこは演出的に面白くなったかなって思いますね。
村上
これは辻子の性格なのかな。プログラム的には実は単純な仕組みなのに、発想を転換することで物凄いことをやってるように見せるテクニックに長けてるのかも知れないね。
辻村
そうなんですよ。基本的にはどの仕様も同じようなもので、演出によって全然違う機能のように見せてるだけなのに、まず「ブロックを置く」の時点で「1すごい」がもらえて、次にレベルが上がって「置いたブロックを回転させる」でまた「1すごい」、翻訳くんの機能で「1すごい」。
村上
3すごい。
辻村
そうです(笑)。という感じで、全て別々の機能を実装してるように見えてるから驚くんです。
村上
既存商品の面白いと感じられる構造をちゃんと心得てるというか、例えば『ドラゴンクエスト』でも『ゼルダの伝説』でも、レベルが上がったり特殊なアイテムを取得することで行動制限が解除されて次の所へ行けるわけだけど、これも実は単純な話で、元々広く作られているものを、細かく鍵をかけて、フラグが立つごとにアンロックされて世界が拡張されていくように感じるだけなんだよね。そのアンロックの順番や演出が抜群に優れてるから、プレイヤーが自分のチカラで世界を開拓してるように錯覚させることができてる。辻子もこういうゲームが好きだからか、感覚でその構造がでかいできてるんだと思う。
辻村
それはそうかも知れないです。
Part4に続く