- 2022年6月15日
- イベント
続けることは、思考し続けること 美工教員展に寄せた、髙橋耕平さんの「声」【文芸表現 学科学生によるレポート】
違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。
文芸表現学科・3年生の出射優希です。美工教員展『逸脱する声』についての特集、今回は髙橋耕平さんの「声」をご紹介していきます。会場の生命力を受け取ると、いつもより息を深く吸えるような気がします。外にある緑も、飛んでいるツバメも、ひとつずつの生きているものに、嬉しくなるのです。
教員展についてはこちらから
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=147939
(なお、美工教員展にまつわる一連のレポートでは、一人ずつの教員のみなさんの「つくる人」としての姿をおもに捉えたいので、あえて「〇〇さん」と伝えさせてもらっています)
作品を解釈する環境への興味は、版画を学んだことから
今回ご紹介するのは、髙橋耕平さんの「声」です。
髙橋さんは、主にインスタレーション作品を制作。
取り扱ってきたモチーフについて、「今まで明るみになってこなかったような部分が世界を構成していると思うし、個人的なことと、公に開かれたものが起こすせめぎ合いや摩擦に関心がある」と語ります。
そしてインスタレーションを行う作家として、展示空間、鑑賞環境そのものも、髙橋さんにとっては重要なのだそうです。
なんでこうなったかっていうのは、これは版画でした。大学では版画を学んでいたんですが、版画はいろんなものが隣接する領域なんです。版画は、強い伝統を持った絵画なんかの複製物として、そしてそれを自立させようとしてきたひとつの芸術としても、何かと何かの要請物であるとか、何かと何かの子どもでしかない”
一個物体をつくって、これ見てよって提示するときに、見る環境、どこで見るの、いつの時代で見るの、どの横で見るの、とかで、作品そのものが全然違ってしまうんですよね。ずっとそういう部分を考えてしまう。だから、空間であるとか、キャプションとか、あらゆるものにだんだん目がいくようになったんだと思います”
版画を学んだ経験が、自分自身の現在の関心に繋がっていると気がついたのは、実は最近のことだったそうです。
表現を続ける以外の人生を考えられなかった
今回のインタビューをさせて頂いて感じるのは、ひとつずつの領域、それぞれの作家のルーツが、どこかで必ず重なっているということ。
そうした、考えの道筋や痕跡を追えることも、『逸脱する声』の特徴かもしれません。
髙橋さんは、作家活動をしながらも、あらゆる面できついと感じていた時期があったのだといいます。それでも表現を続けてきたのは、どうしてだったでしょうか。
また、作家であり教員であることを、こう語ります。
芸術や表現を、精神的に、金銭的に「糧」にすること。
それは私たち学生にとっての悩みの種でもあります。
しかし、答えもない正解もない、自分の進む道を探すとき、私たちのずっと前を歩く「作家」の背中を見つめると、自然と視界がひらけていくように思うのです。
もし制作時間が作れなくても、自分が脱落したと思わない
芸術を続けていくこともそうですが、そもそも何かを続けるというのは、誰にとっても難しいことですよね。
作家として、学生とやりとりしながら、続けていくための道筋を見つけていけないかと思いますけど、独立独歩でやっていかないと道は切り開けないなと思ってます。”
立ち止まることも制作に繋げていけると思うような、勇気の出る言葉ですね。
会場でお手にとって頂けるインタビューには、髙橋さんが制作を続けていくための転機になった作品についても触れられています。
ぜひ、そちらもあわせてお読みください。
展覧会は、一般の方もご予約なしでご覧いただけることになりました。
学外の方や高校生の皆さんも、この機会にぜひ、足を運んでみてくださいね。
▼ 髙橋 耕平先生(美術家)
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=00504
▼瓜生通信記事
現役アーティスト22名が集結。「逸脱する声 ― 京都芸術大学 美術工芸学科 専任教員展」
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1002
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