写真・映像コース

大切な作品が見知らぬ誰かの手にわたる 写真・映像コースの3年生がブックフェアを開催!【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の取り組みの現場に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科・3年生の出射優希です。梅雨入りしてから、山が放つ湿気に窒息しそうですが、曇り空の下で緑が水を含んでいきいきと鮮やかになるのは見ていて飽きません。

前期も後半に差しかかり、新緑に負けず、学内の活動も活発になってきた様子を、一部ご紹介していきます。

 


 

「KUA P&V BOOK FAIR 2022」開催!

 

写真・映像コースの3年生がアートブックの展示販売を行う、「KUA P&V BOOK FAIR 2022」が20日から23日まで開催されていました。

会場となった人間館1Fのラウンジスペースは、正門側の入り口近くだったこともあり、光がたくさん入る素敵な空間に。

吸い寄せられるようにして足を止め、ページをめくる人の姿が印象的でした。

 

↑観る方向によって展示台の印象が変わる

 

授業での取り組みとして行われたブックフェアですが、展示の方法から販売の仕組み、設営も、学生が主体となって運営しています。
初日に訪れたお客さまからの意見をもとにキャプションの見せ方を工夫するなど、4日間のなかで変化していく様子も、生きている空間だなぁと感じていました。

 

はじめてのブック制作、はじめての販売で新しい課題にも出会う

 

授業は、ブックにしていく過程やデザインについてのレクチャーを経て、実際に2冊を試作することからはじまります。

 

1冊は「210㎜×210㎜中綴じ製本」という規定のなかで、もう1冊は形式自由。

これまでも行なってきた壁面の展示とは違い、本という綴じられたものを手にとって開き、さらに購入してもらうにはどうすればいいか悩みながらの制作だったといいます。

 

誰もがシャッターを押せる時代に、撮られた写真が出発点にものを制作していく感覚は、写真映像コースだからこそ得られるものなのかもしれません。

 

手にとってもらう人に身近に感じてもらうには、丁寧にゆっくりとページをめくってもらうにはといった扱われ方について考えたことが、ブックデザインをしていくための大切な要素になったそうです。

 

↑製本の仕方も十人十色

 

「自分のアイデアが誰かの家にあると思うと変な感じがする」

 

「売り物として制作しているけど自分の大事な作品でもあるから、安売りはしないようにしたい」

 

と、受講生の方が新しいチャレンジのあとの率直な感想とこれからの課題についてお話ししてくださいました。

 

 

私自身、3年生になったとはいえ変わらずに新しい知識や感情に出会う日々を過ごしています。

目が回りそうなときもありますが、だからこそ一人では知ることのできない自分にも出会える。

こんなに嬉しくてありがたいことはないなぁと思うのです。

 

 

写真・映像コースの先生たちも、美工教員展にて活躍中!

 

このアートブック制作の授業を担当されていた多和田有希先生は、現在学内展示スペースギャルリ・オーブで開催中の美工教員展『逸脱する声』にて、総合造形コース福本双紅先生とのコラボ作品を展示中です。

(展覧会について、詳しくはこちらからhttps://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=147939 )

 

きっかけは、コースをまたいで開講された「表現研究」という授業での共同制作。

 

コラボってなに? という部分から向き合い、ジャンルや素材の枠にとらわれないお二人の関係性が、作品をよりエネルギッシュなものにしているのではないでしょうか。

 

↑他にも空間を広く使って展示されています

 

展覧会では作品とあわせ、文芸表現学科の学生が取材した、23名の専任教員の「作家」である姿を捉えたインタビューをお手にとっていただけます。

多和田先生は、授業や制作を通して学生と対話することについて、インタビューの中でこう語ります。

 

  “人間について、しかも私以外の人間の内面についてとか、パッと出てきた考えとかを、すごく濃密に話すことができるこんな機会は、他の仕事をしていたらなかなかないんじゃないですかね。だから私はこの仕事がすごく好きです。革新的な、相手にとっての真実みたいなものを、前置きとかこれからどうなるかとかなしで、その時点その瞬間の話ができる”

 

アートブック制作でも、そうしたやりとりがあったのだと想像します。

写真・映像コースからは他にも、展覧会企画で竹内万里子先生、そして第1期では高橋耕平先生が参加されていました。

ブックフェアは終了してしまいましたが、教員展は6月28日まで開催中です。

ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

 

▼ 多和田有希先生(美術家)

https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=19012

 

▼瓜生通信記事

現役アーティスト22名が集結。「逸脱する声 ― 京都芸術大学 美術工芸学科 専任教員展」

https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1002

 

 

 

取材記事の執筆者

文芸表現学科3年生

出射優希(いでい・ゆうき)

兵庫県立西宮北高校出身

 

大学2年生のときから書きはじめた、この「KUA BLOG」での美術工芸学科に関する取材記事のシリーズが、学内外で人気を博してきた。
個人で記すノンフィクション作品も含めて、地に足をつけ、ゆっくり呼吸しながら取材対象を受けとめ、言葉を深く彫り込んでいくプロセスの切実さに定評がある。
「逸脱する声 京都芸術大学美術工芸学科教員展」(2022年6月に開催)では、文芸表現学科の学生たちが23人の専任教員にインタビューした声の数々も作品として発表されたが、そのうち最多の8人へのインタビューとそのまとめを担当した。

 

 

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