染織テキスタイルコース

初夏に届く嬉しさ 染織テキ3年生が、「29人の京都」をテーマに手ぬぐいを販売中【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の取り組みの現場に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科・3年生の出射優希です。毎年恒例、染織的スタイルコース手ぬぐい販売が始まりました!一枚買ってみるともう一枚欲しくなり、もう一枚、もう一枚とどんどん増えていくのが不思議です……。誰かがつくった作品を日常的につかえるって、やっぱり染織ならではの魅力だなぁと思います。

 


 

京都芸術大学×「ケイコロール」の手ぬぐいを販売中!

 

染織テキスタイルコースの3年生が、現在オンラインショップにて手ぬぐいを販売しています。今回は2日間対面で手ぬぐいを販売していた様子をご紹介。

 

「テクロール」オンラインショップはこちらから

https://kuatextile.base.shop

制作の様子は前回の記事も→

 

なんと初日から100枚以上販売され、2日目には在庫がなくなった人気商品もあったようです……!

 

 

撮影:髙橋颯子さん

 

手ぬぐいの生産販売を行なう「テクロール」プロジェクトは、この春から専任教員となった山元桂子先生のテキスタイルブランド、「ケイコロール」とのコラボ。

「29人の京都」がみせる景色が、周囲の空気までぱっと明るく照らします。

 

この空間の柔らかさは、テキスタイルの彩りだからだせるものではないでしょうか。

 

褒められるデザインが必ずしも売れるとは限らない

 

この手ぬぐいは、シルクスクリーンという技法を用いてつくられています。

シルクスクリーンは版画のように、同じ柄やデザインのものを複数制作することに適した技法です。

同じものといっても機械作業ではなく一枚ずつ手作業で染めるため、まったく同じ製品がないところが魅力のひとつです。

 

↑こちらも学生のデザイン

 

デザインについての講評も受けるなかで、受講した学生の方が印象に残っていると教えてくださったのは、「先生に褒められるデザインが必ずしも売れるとは限らない」と言われたこと。

 

「売れること」や「褒められること」が、絶対の正解やゴールではないからこそ、いろんなことに挑戦して、自分が納得のいくものをつくってみることができそうですよね。

そうすると、売れた、褒められたという結果の受け取り方もまた変わってくるのかもしれません。

 

グループ活動だからこそできる

 

手ぬぐいの生産以外にも、パッケージのデザインやSNSで紹介していく活動、広報写真を撮ることなど、販売するまでに行うことは多岐に渡ります。

 

日頃から個人制作が多く、今回のようにグループで取り組むなかで、メンバー間でのモチベーションの違いにも悩んだといいます。

 

撮影:髙橋颯子さん

 

3年生になると、多くの学科でグループ活動の機会が増えます。

私も複数人でイベントの企画などを行いながら、1から100まで順調にいかないからこそ出てくる予想できなかった動きを、新鮮に楽しみたいなぁと思うのです。

 

ギャルリ・オーブにて美工教員展『逸脱する声』が開催中!

 

この授業を担当されている山元桂子先生は、現在人間館1Fギャルリ・オーブで開催中の美術工芸学科教員展第2期、『逸脱する声』に参加されています。

 

(教員展について詳しくはこちらからhttps://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=147939

 

↑山元桂子さんの作品、室内ですが気持ちのいい風を感じます

 

教員展では「越境」をテーマにした作品、そして、「作家」として生きる教員の姿をとらえた23名分のインタビューをご覧いただけます。

山元桂子先生はインタビューで、こんなことをお話しされていました。

 

  “専任教員をしていくことになって、ちょっと、人生のハンドルを切りすぎたかもしれんなと思ったところはありましたね。なぜ、自分が教員をさせてもらうのかって落とし所を考えたときに、自分のやりたいことは経営じゃなくてもいいって気がついたんです。ブランドフィロソフィーとして掲げた「ぜんぶの色を、ほめよう」っていう、これを言い続ける方法は、経営だけでじゃなくて教育もあったわって繋がった”

 

  “やっぱりみんな素敵じゃないですか、若い人たちって。だからノウハウを伝えることはあっても、教えるみたいな気持ちはあんまりないです”

 

 

「29人の京都」という手ぬぐいのテーマともつながるお話ではないでしょうか。

こちらの展覧会、会期は6月28日(火)まで。

学内では今日もあらゆる活動がはじまっているところです。

ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

 

▼ 山元桂子先生(染めものブランド主宰)

https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=19012

*染めものブランド「ケイコロール」  https://www.keikoroll.com/

 

▼瓜生通信記事

現役アーティスト22名が集結。「逸脱する声 ― 京都芸術大学 美術工芸学科 専任教員展」

https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1002

第二期

https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1007

 

 

取材記事の執筆者

文芸表現学科3年生

出射優希(いでい・ゆうき)

兵庫県立西宮北高校出身

 

大学2年生のときから書きはじめた、この「KUA BLOG」での美術工芸学科に関する取材記事のシリーズが、学内外で人気を博してきた。
個人で記すノンフィクション作品も含めて、地に足をつけ、ゆっくり呼吸しながら取材対象を受けとめ、言葉を深く彫り込んでいくプロセスの切実さに定評がある。
「逸脱する声 京都芸術大学美術工芸学科教員展」(2022年6月に開催)では、文芸表現学科の学生たちが23人の専任教員にインタビューした声の数々も作品として発表されたが、そのうち最多の8人へのインタビューとそのまとめを担当した。

 

 

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