- 2022年9月14日
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ゼミ通ヒーローズVol.51 水野優とゲームジャム優勝作品『バタフライ・ループ・ナイト』について語るの巻 Part1
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
村上
今回は、2022年度ビットサミットの学生ゲームジャムの中で『バタフライ・ループ・ナイト』を制作し、見事に優勝したチームを代表して、2年生ゲームゼミの水野優さんに話を聞きたいと思います。
水野
キャラクターデザイン学科2年生ゲームゼミの水野優です。今日は宜しくお願いします。
水野優さん(左)
村上
一年生の頃からゲームプランナーを希望してたと言ってたけど、絵も描くし、それ以上に設定を滅茶苦茶細かく書いてて、そこが印象的だったな。絵を描きたくてこの大学に入る人が大勢いる中で、君はゲームを作りたいって言って入ってきたから、そんな人は珍しいから特に印象に残ってた。
水野
本当は他の大学が第一希望だったんですよ。でもここにはゲームゼミがあるって知って、最初からゲーム以外の道はないって思って勉強してました。プランニングも絵も両方やってきたので、今回参加したゲームジャムでもそれは活かせたかなって思ってます。
村上
じゃあ、今出たゲームジャムについて詳しく聞いていこうかな。
ビットサミット主催学生ゲームジャムの会場の様子
水野
ゲームジャムは、ハッカソンのゲーム版みたいなもので、ビットサミットが主催していて、完成作品はビットサミットの会場内で実際に出品させていただけるっていうものになります。
芸術大学とかプログラミングを教えてる大学、専門学校の学生をシャッフルして10個のチームを作って、決められた時間内にゲームを作るっていうプロジェクトです。学生が100人位いたので、1チーム10人構成くらいでしたね。その中で私はプランナーを担当しました。
村上
いつも声をかけてくれる主催の方が元教育者であり絵描きであり、学生にチャンスを与えようっていう気持ちが凄く強くて、今回はこんな贅沢な場を提供していただけたって話ね。企業とのマッチングもあるから、今回の実績を活用してゲーム業界への就職サポートもしてくれるし、至れり尽くせり。
参加したのは、京都芸術大学、立命館大学、京都精華大学、大阪電通大、京都コンピュータ学院、その他にも他府県の教育機関から学生を集めての制作になったと。
水野
プロジェクト自体は5月から始まって、ここでチーム編成がありました。で、6月にはA4ペラ一枚のゲームの企画書のプレゼンがあって、そこでそれぞれの大学の先生方やゲーム会社の方に講評をしていただいて、二週間後に修正した企画書をもとに再度プレゼンを行いました。
そこまでは全てオンラインで進めていて、ホテルアンテルーム京都さんを会場として、7月2日と3日の二日間で実際に対面でのゲーム開発を行いました。
村上
具体的にはどんなゲームを作った?
水野
私たちが作ったゲームは、『バタフライ・ループ・ナイト』というタイトルで、2D横スクロールの、一言で言うと死に覚えゲーです。
主人公を動かして、爆発が起きてしまう未来を食い止めるために色んなギミックを動かしながら進めていくゲームです。
バタフライ・エフェクトをモチーフとしていて、蝶々の羽根が小さな風を起こすと、やがてそれが色んな要因を含んで、予想もつかない方向に広がっていくっていうやつなんですけど、それがゲーム内で色んな展開をみせる、そんな作品になってます。
例えばネズミのギミックを動かしたら、それが走り出して、それがモノに当たってそれを倒して中身がこぼれて、それが砲台のギミックにかかって…みたいな感じでどんどん展開されていきます。
村上
砲台にかかると、どうなるの?
水野
そこにはお酒がこぼれるんですけど、砲台にお酒がかかるタイミングが重要なんです。良いタイミングでかかると、炎上して研究員たちが逃げていきます。彼らが逃げていった先で、エレベーターが動き出し、後でこのエレベーターを主人公が使えるようになる…というようなイメージです。
まさかネズミを動かすとエレベーターが動き出すことになるとは誰も思わないので、そういったプレイヤーが思いつかないようなアクションが面白さに変わるということですね。
『バタフライ・ループ・ナイト』の画面写真
村上
今回の「死に覚えゲー」というのは、一回では絶対クリアできないっていうか、ミスをすると爆弾が爆発してゲームオーバーになるわけで、じゃあどうすれば爆発せずに済むのかを、繰り返しのプレイの中から徐々に見出していく、てことね。
水野
そういうことです。ビットサミットの会場で展示していた時、平均プレイ時間は45分くらいだったんです。何人かは根気強く何度もやり直しながら最後までプレイしてくれました。
そんなプレイヤーの反応を見ていたら、「あと一歩で別のルートに進めそうだけど、死んだからもう一回やり直してみよう」てなったり、二人で協力しながら「次こそはいけそう!」って楽しんでくれていました。そんな「次こそは!」が延々繰り返されていました。
村上
そして、10チームの中から見事にこの作品が優勝!おめでとうございます。
水野
ありがとうございます。
村上
今年は主催者のサプライズにより1000$の優勝賞金もついたから、かなり白熱したね。
今回のイベント全体のテーマは「クロスロード」ということで、このゲームではテーマをどのように消化した?
水野
クロスロードという言葉から「分岐ゲー」が良いのでは、という話も出てました。
会話劇での言葉の選択肢があって、どちらかを選ぶとストーリーが変化していくっていうパターンが多い中で、これはセリフではなくアクションでそれを再現したところがポイントです。アクションを通して同時にストーリーも展開されていくっていう理想的な形になっていると思います。
Part2に続く